賃貸物件を退去する際、子供が襖(ふすま)や障子を破いてしまったり、落書きをしたりしたというトラブルは非常に多く見られます。子育て世帯にとって頭の痛い問題ですが、弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所には「数万円〜十数万円の高額な請求を受けた」というご相談が後を絶ちません。
今回は、子供の遊びによって生じた襖や障子の破損・落書きについて、法律上の観点および「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を踏まえて、適正な負担額の考え方を解説します。
子供が襖や障子を破いた!退去費用の負担はどこまで?
【法的根拠と対処法】国土交通省のガイドラインにおいて、襖紙や障子紙は消耗品とされています。経年劣化や耐用年数が考慮されるため、入居期間が長い場合は残存価値が下がり負担額も減少します。高額な請求書に納得できない場合は、安易に署名・押印せずガイドラインを根拠に部分的な実費精算への減額を交渉し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しましょう。
賃貸借契約において、借主には「善管注意義務(良き管理者の注意をもって物件を使用する義務)」があります。そのため、子供が不注意や遊びで襖や障子を破ったり、落書きをしてしまったりした場合は、借主に原状回復義務(修繕費用の負担)が発生します。
しかし、だからといって大家や管理会社が請求してくる金額をそのまま支払う必要はありません。法律や国土交通省のガイドラインに基づき、適正な算定方法を知ることが重要です。
国交省ガイドラインにおける襖・障子の考え方
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、襖紙や障子紙は「消耗品」に位置づけられています。
日照や経年変化による変色などは原則として貸主負担(家賃に含まれる)とされていますが、子供の落書きや不注意による破れといった「借主の故意・過失、または通常の使用を超えるような損耗」については、借主が費用を負担する必要があります。
ただし、ここで重要なのは負担の範囲です。例えば、子供が1カ所だけ障子を破いた、あるいは1枚の襖に落書きをしたという場合に、部屋中すべての襖や障子を張り替える費用を請求することは原則として認められません。修繕が必要となった該当部分、あるいはその1枚分の実費が基本となります。
襖紙・障子紙の張り替え費用の相場
一般的に、襖紙や障子紙の張り替え費用は、1枚あたり数千円程度(一般的な普及品であれば2,000円〜5,000円程度)が相場です。
- 襖の表面的な破れや落書き:1枚ごとの張り替え費用(数千円程度)
- 下地(木枠など)まで折れている場合:造作物の破損として別途協議
管理会社から「全面張り替えで5万円です」などと高額な見積書を提示された場合は、内訳を細かく確認し、本当にそこまでの工事が必要なのかを精査する必要があります。
経年劣化と耐用年数にも注意
クロス(壁紙)と同様に、襖紙や障子紙にも耐用年数や価値の減少(経年劣化)の概念が適用されます。
長年入居している物件であれば、もともとの襖や障子の価値は時間の経過とともに下がっています。そのため、入居期間が長いほど、借主が負担すべき割合(残存価値に応じた割合)は低くなります。
もし、数年間暮らした古い状態の襖であったにもかかわらず、新品に張り替える全額を請求されたような場合は、減額交渉の余地が十分にあります。
高額な請求に納得がいかない場合の対処法
退去時に「子供がやったことだから仕方ない」と、高額な請求書にそのままサインや捺印をしてしまうのは禁物です。一度支払ってしまうと、後から取り戻すのは困難になります。
- 見積書や請求書の細部を確認し、全体工事になっていないかチェックする
- 破損箇所や落書きの範囲を写真に残しておく
- 不当に高額な場合は、国交省のガイドラインを根拠に適正な金額への見直しを求める
もし管理会社や大家との交渉が難航している、あるいは法外な請求をされてお困りの場合は、一人で抱え込まずに専門家である弁護士にご相談ください。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。