少額訴訟・民事調停にかかる「裁判所実費(収入印紙代・予納切手)」の計算

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」、民法(通常損耗・経年劣化の減価償却ルール)、および多数の退去費用減額・敷金返還交渉の裁判実務に基づきわかりやすく解説しています。

退去時の原状回復トラブルで貸主から法外な請求をされ、話し合いが決裂してしまった場合、最終的な法的手段として「少額訴訟」や「民事調停」を検討することになります。裁判所を利用するとなると、「弁護士費用が高そう」「費用倒れになるのでは」と心配される方が多いですが、実は裁判所に納める実費(収入印紙代や予納切手代)自体は、想像以上に安価です。

この記事では、少額訴訟や民事調停を起こす際にかかる裁判所の実費の計算方法について、弁護士がわかりやすく解説します。

Q 少額訴訟や民事調停の裁判所実費(収入印紙代・予納切手代)はいくらかかりますか?
A 【裁判所実費の目安】原状回復トラブルで一般的な数十万円程度の請求であれば、収入印紙代は数千円(例:10万円で1,000円、30万円で3,000円)、予納切手代も数千円程度となり、合計でも1万円前後と比較的低額な負担で申し立てが可能です。
【費用倒れを防ぐポイント】弁護士を代理人に立てず本人訴訟で行うことで弁護士費用を抑えられ、不当な高額請求に対して少額訴訟や民事調停は費用対効果の高い法的手段となります。

少額訴訟・民事調停とはどのような手続きか

退去費用の返還請求や、不当な高額請求の拒否において、貸主が話し合いに応じない場合の法的手段には主に以下の2つがあります。

  • 少額訴訟:60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる、原則として1回の期日で審理を終えて判決を出す簡易な裁判手続きです。
  • 民事調停:裁判官と民間から選ばれた調停委員が間に入り、双方の話し合いによる解決を目指す手続きです。

どちらの手続きを利用する場合でも、裁判所に対して手数料としての収入印紙と、郵送費用のための予納切手を納める必要があります。

収入印紙代(手数料)の計算方法

裁判所に納める収入印紙の金額は、請求する金額(「訴訟目的の価額」または「訴額」といいます)によって細かく定められています。原状回復トラブルでよくある数十万円単位の請求における目安は以下の通りです。

  • 10万円の請求:1,000円
  • 30万円の請求:3,000円
  • 50万円の請求:5,000円
  • 60万円の請求(少額訴訟の上限):6,000円

※民事調停を申し立てる場合の印紙代は、通常の訴訟(少額訴訟を含む)の半額となります。例えば、30万円の返還を求める調停であれば、印紙代は1,500円です。

予納切手代の計算方法

裁判所が相手方(貸主など)へ期日の呼出状や書類を郵送するための費用として、「予納切手」をあらかじめ納付します。

  • 予納切手の金額は裁判所ごとに異なります(東京簡易裁判所などの主要な裁判所では、当事者が原則として原告1人・被告1人の場合、合計で4,000円〜6,000円程度が目安となります)。
  • 余った切手は、手続き終了後に原則として返還されます。

このように、実費の合計は数千円から1万円程度で済むことが多く、金銭的なハードルはそれほど高くありません。

費用倒れを防ぐために弁護士へご相談を

実費自体は安価であっても、ご自身だけで書類の作成や証拠の整理、裁判所での主張を行うのは大きな負担となります。また、相手が弁護士を立ててきた場合や、法的な反論をしてきた場合に適切な対応ができなければ、せっかくの裁判で不利になるおそれもあります。

賃貸借契約における適正な原状回復費用や敷金返還のための交渉から、訴訟・調停に至る法的手続きの対応にあたっては、専門の弁護士などの法律専門家に相談することが有効な解決手段となります。請求内容に疑問や納得がいかない点がある場合は、早期に法的観点からの見解を確認することが推奨されます。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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