賃貸物件の退去時、納得のいかない高額な原状回復費用を請求され、話し合いが決裂した結果、民事裁判に踏み切るケースがあります。裁判で勝訴した場合、「訴訟費用 相手方負担」という言葉を目にすることになります。この言葉が具体的に何を意味し、どのような費用を相手に請求できるのか、法律の観点から分かりやすく解説します。
【不当請求への対処と費用回収のポイント】通常損耗や経年劣化(耐用年数)を無視した高額請求に対しては、国交省のガイドラインや民法の原則に基づき減額交渉を行います。裁判で勝訴した場合は「訴訟費用額確定処分」の申し立て手続きを行い、正当な実費を確実に回収しましょう。
訴訟費用の相手方負担の基本ルール
民事裁判で判決が言い渡される際、主文には「訴訟費用は〇分の〇を被告(または原告)の負担とする」という一文が記載されます。全面勝訴した場合であれば、基本的には「訴訟費用は被告の負担とする」という判決が出ます。
これは、裁判を行うために必要となった公的な実費について、敗訴した側が最終的に支払うべきであるという民事訴訟法の原則に基づくものです。
請求できる「訴訟費用」の範囲
訴訟費用として認められるのは、裁判所に対して支払った以下のような実費に限られます。
- 訴状や申立書に貼る収入印紙代
- 裁判所からの通知や書類送達のための郵便切手代
- 証人を呼んだ場合の旅費や日当(実費部分)
- 裁判所で行う勘定手続きにかかる費用
一方で、注意しなければならないのは、「弁護士に支払った報酬や相談料は、原則としてこの訴訟費用には含まれない」という点です。日本の法制度では、弁護士費用は原則として自己負担(各当事者負担)とされています。ただし、悪質な貸主に対する裁判などで、例外的に一部の弁護士費用を損害賠償の一部として請求が認められるケースもあります。
勝訴後に貸主(相手方)へ費用を請求する手順
裁判で勝訴判決を得ても、自動的にお金が手元に戻ってくるわけではありません。相手が自主的に支払わない限り、こちらから手続きを行う必要があります。
具体的な手順は以下の通りです。
- 判決が確定するのを待つ(判決書の送達後2週間以内に控訴がなければ確定)
- 裁判所に「訴訟費用額確定処分」の申立てを行う
- 裁判所が具体的な金額を計算し、「訴訟費用額確定決定」を出す
- 決定書に基づき、相手方に支払いを求める(あるいは強制執行を行う)
この手続きでは、自分が立て替えた印紙代や切手代の領収書、切手の使用明細などを正確に証明する必要があります。裁判期間中のレシートや控えは、必ず大切に保管しておきましょう。
一部勝訴の場合の負担割合に注意
原状回復トラブルの裁判では、借主が「全額支払う必要はない」と主張し、貸主が「全額支払え」と争うことが多くあります。その結果、裁判所の判断によって「請求額の〇割を認める(一部勝訴・一部敗訴)」という判決になることも少なくありません。
このような一部勝訴の場合、訴訟費用は「勝訴・敗訴の割合に応じて按分(あんぶん)される」ことになります。
例えば、借主が100万円の請求を棄却するよう求めて裁判を起こし、結果として「50万円の支払いを命じる(半々)」という判決になった場合、訴訟費用も原告と被告で折半(2分の1ずつ負担)とされるのが一般的です。そのため、自分が実際に回収できる訴訟費用もその割合に応じて減額される点に注意が必要です。
原状回復トラブルの裁判を検討している方へ
原状回復の裁判は、国交省のガイドラインや過去の判例に基づいた法的な主張が必要となります。訴訟費用の相手方負担のルールを正しく理解し、見通しを持った上で臨むことが大切です。
「高額な退去費用を納得いかないまま支払いたくない」「裁判の進め方や費用対効果について専門家の意見を聞きたい」という方は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
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