賃貸物件で生活している際、浴室の換気扇が突如として故障し、気づかないうちにカビが大量発生してしまったというトラブルは少なくありません。このような状況で、退去時や修繕時に高額なカビの補修費用を請求された場合、一体どちらの責任になるのでしょうか。
今回は、換気扇の故障が原因でカビが生えた場合の法的責任と費用負担について、分かりやすく解説します。
【不当請求への対処法と注意点】ただし、換気扇の故障を知りながら放置した場合や、報告を怠ってカビを悪化させたときは、借主の「通知義務違反」や「善管注意義務違反」として一部費用を請求されるリスクがあります。高額なカビ補修費用を請求された場合は、故障時の報告履歴(メールや連絡記録)を提示し、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を根拠に支払いを拒否・減額交渉を行いましょう。
換気扇の故障とカビの発生における法的責任
賃貸物件の浴室に備え付けられている換気扇は、一般的に大家が所有・管理する「設備」にあたります。そのため、経年劣化や自然故障など、借主に過失がない原因で換気扇が動かなくなった場合、その修理や交換の義務は大家側にあります。
それでは、換気扇が動かなくなったことによって浴室にカビが繁殖してしまった場合、その原状回復費用は誰が支払うべきなのでしょうか。判断の大きな分かれ目は「借主が速やかに故障を報告したかどうか」と「適切な使用・管理をしていたか」という点にあります。
大家の負担になるケース
換気扇の故障を発見した直後に、大家や管理会社へ速やかに連絡し、修理を依頼していた場合、その後に発生したカビは「換気扇の不具合という設備不良」が直接の原因と言えます。
この場合、換気扇の修理費用はもちろん、換気ができずにやむを得ず発生してしまった浴室のカビの除去費用やクロス張替費用についても、原則として大家側の負担となります。借主に過失がないため、退去時にこのカビの費用を請求される筋合いはありません。
借主の負担(あるいは責任が問われる)ケース
一方で、以下のような状況では借主の責任や負担と判断される可能性があります。
- 換気扇の故障に気づいていたにもかかわらず、長期間放置して大家に連絡しなかった場合
- 換気扇の故障とは関係なく、日常的な入浴後の換気や掃除を全く行わず、著しく衛生状態を悪化させた場合
民法上、借主には「善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)」が課されています。故障を放置して被害を拡大させた場合、拡大させた分の損害については借主が責任を負う可能性があるため注意が必要です。
トラブルを防ぐために借主が取るべき対応
もし賃貸の浴室で換気扇が故障した場合は、泣き寝入りや自己判断での放置をせず、以下の手順で確実に行動することが重要です。
- 速やかに大家や管理会社へ連絡する 口頭だけでなく、証拠が残るようにメールやLINE、書面などで「いつから換気扇が動かないか」を通知します。
- カビの状況を写真に残しておく 換気扇の故障によってどのようにカビが広がっていったのか、証拠となる写真を日付入りで撮影しておきましょう。
- 無理に自己修繕しない 勝手に業者を手配して修理すると、後から費用トラブルに発展することがあるため、必ず事前に大家側の承諾を得てください。
万が一、換気扇の故障によるカビの修繕費用として高額な請求を受けてしまった場合は、安易に支払いに同意せず、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルガイドライン」などを参考に、専門家に相談することをおすすめします。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。