高齢者の高次脳機能障害と「認知症」の鑑別のポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 事故前の日常生活自立度の立証。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。
交通事故に遭った高齢者が、受傷後に記憶障害や注意障害といった認知の不具合を示したとき、加害者側の保険会社から「それは事故による高次脳機能障害ではなく、加齢による認知症である」と主張され、損害賠償請求で不利な扱いを受けるケースが後を絶ちません。
高齢者の事故における「高次脳機能障害」と「認知症」の混同問題
頭部外傷を負った高齢者が記憶力や注意力、感情のコントロールを失った場合、医学的・法的に高次脳機能障害と診断されるべきケースが存在します。しかし、高齢というだけで、保険会社は安易に「単なる認知症の発症・進行である」と主張しがちです。
認知症と診断されてしまうと、交通事故との因果関係が否定され、慰謝料や逸失利益などの賠償金が大幅に減額されるリスクが生じます。この不当な主張に対抗するためには、事故前後の状態を詳細に比較し、因果関係を証明しなければなりません。
事故前の状態を証明する「日常生活自立度」の重要性
高次脳機能障害と認知症を法的に鑑別する上で最も強力な武器となるのが、事故前における日常生活自立度の立証です。被害者が「事故前はどれほど自立して社会生活を送っていたか」を証明できれば、事故が原因で脳機能が低下したという事実を突きつけることができます。
介護保険の要介護認定資料の活用
事故前の日常生活自立度を客観的に証明する上で、最も信頼性が高い資料の一つが介護保険の要介護認定記録です。
- 事故前に要介護認定を受けていない場合:「自立」していた客観的な証明になります。
- 事故前に軽い要介護状態であった場合:当時の認定調査票に記載された「認知機能」や「日常生活自立度」のランクを確認し、事故後にどの程度悪化したかを比較・立証します。
事故の直前まで地域社会で問題なく暮らしていた事実があれば、事故後の急激な変化は外傷による高次脳機能障害であると強く主張できます。
周囲の証言と客観的資料の収集
介護保険を利用していなかった場合でも、事故前の日常生活が自立していたことを示す証拠を集める必要があります。
- 家族や友人、近隣住民による詳細な陳述書(家事、買い物、金銭管理、服薬管理などを一人で行えていたことの証明)
- 事故前の趣味のサークル活動の記録、日記、手帳、仕事の成果物
- かかりつけ医の過去のカルテ(事故前には認知機能の低下を指摘されていなかったことの記録)
これらを総合的に集めることで、事故前の生活実態を裁判所や自賠責保険の調査事務所に対して説得力をもって示すことができます。
画像所見と受傷機転の重要性
日常生活自立度の立証に加えて、脳の器質的損傷(目に見える脳のダメージ)を証明することも、高次脳機能障害の認定には不可欠です。
頭部MRIやCTによる脳損傷の確認
高齢者の場合、脳の萎縮がもともと進んでいることがあるため、外傷による変化が画像で見落とされる危険性があります。
- 受傷直後の救急搬送先の病院での頭部CTやMRI画像を取り寄せる
- 専門医による画像再評価(受傷による脳挫傷、脳梁損傷、びまん性軸索損傷の有無の確認)
画像上の器質的変化と、事故前の高い日常生活自立度、そして事故後の著しい変化という3つのピースが揃うことで、認知症との鑑別において高次脳機能障害の成立を優位に立証できるようになります。
弁護士とともに適正な賠償金を目指すために
高齢者の高次脳機能障害の事案は、医学的知見と法的な立証技術が高度に要求される領域です。保険会社の「認知症である」という主張を覆すためには、被害者側から積極的に証拠を提出し、因果関係の壁を突破しなければなりません。
泣き寝入りせず、交通事故と損害賠償法に精通した弁護士に早い段階で相談し、適切な医療記録の収集と立証活動を進めることが、適正な後遺障害等級の獲得と正当な補償への第一歩となります。
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