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後遺障害診断書の正しいもらい方と医師に書いてもらう際の注意点

交通事故のケガが完治せず、これ以上治療を続けても症状が改善しない状態(症状固定)になった場合、次のステップとして「後遺障害の等級認定」を目指すことになります。

この等級認定の審査(損害保険料率算出機構による審査)は、原則として提出された書類のみで行われる「書面審査」です。そして、提出書類の中で圧倒的に重要な意味を持つのが、主治医に作成してもらう「後遺障害診断書(自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書)」です。

どんなに辛い痛みを抱えていても、この診断書に「後遺障害に該当する要件」が正しく記載されていなければ、認定を受けることはできません。本記事では、診断書の正しいもらい方と注意点を解説します。

後遺障害診断書を作成してもらうタイミングと流れ

1. 「症状固定」の診断を受ける

事故から一定期間(むち打ちの場合は一般的に約6ヶ月)治療を継続し、医師から「これ以上治療しても大幅な改善は見込めない(症状固定)」と診断されたタイミングで作成を依頼します。

2. 指定の用紙を入手する

後遺障害診断書は、通常の診断書とは異なる専用のフォーマット(自賠責保険指定の書式)を使用します。相手の保険会社から送ってもらうか、ご自身の保険会社(または依頼している弁護士)から用紙を入手し、病院に持参します。

3. 医師に作成を依頼する

用紙を主治医に渡し、作成を依頼します。作成には数週間かかるのが一般的であり、文書料(数千円〜1万円程度)がかかります。

医師に書いてもらう際の「3つの絶対注意点」

医師はケガを治療するプロですが、「後遺障害認定を勝ち取るための書類作成のプロ」とは限りません。中には簡素な記載しかしてくれない医師もいるため、患者側からの働きかけが重要になります。

1. 自覚症状は「具体的かつ正確」にすべて伝える

診断書の「自覚症状」の欄は、患者自身の訴えをベースに記載されます。「なんとなく痛い」「調子が悪い」といった曖昧な表現ではなく、「雨の日や朝方に、首の右側から右腕にかけてピリピリとしたしびれと痛みが出る」など、部位・頻度・痛みの種類を具体的にメモなどにまとめて医師に渡すのが効果的です。

2. 神経学的検査の実施と結果の記載をお願いする

特にむち打ちの場合、レントゲンやMRIで異常が見えにくいため、ジャクソンテストやスパーリングテストといった「神経学的検査」の実施が不可欠です。医師がこれらのテストを行っていない場合は、「後遺障害の申請のために必要なので検査をしてください」とお願いし、その結果(陽性・陰性など)を診断書に明記してもらう必要があります。

3. 「見込み」や「治癒」などのネガティブな表現に注意

診断書の「予後(今後の見通し)」の欄に、「今後改善の見込みあり」「時間の経過とともに緩解する」といった記載をされてしまうと、審査機関から「将来にわたって残る後遺障害ではない(治るケガである)」と判断され、非該当になってしまいます。「症状は固定しており、今後も残存する」という趣旨の記載になっているか確認が必要です。

完成した診断書は「そのまま提出」する前に弁護士へ!

病院から完成した診断書を受け取ったら、すぐに保険会社へ提出してはいけません。 一度提出して非該当(または低い等級)になってしまうと、異議申し立てで結果を覆すのは非常にハードルが高くなります。

まずは交通事故に強い弁護士に診断書を見せ、「認定されるための要件を満たした記載になっているか」「不十分な記載や不利な記載がないか」をチェックしてもらうことを強く推奨します。記載が不十分な場合は、弁護士を通じて医師に加筆や修正を打診することも可能です。

夕陽ヶ丘法律事務所では、後遺障害診断書のチェックや医師への作成依頼のサポートを重点的に行っておりますので、症状固定の時期が近づいてきたらお早めにご相談ください。

後遺障害診断書の正しい書き方と医師への依頼のコツ

交通事故の治療が終了(症状固定)し、痛みが残ってしまった場合に行う「後遺障害等級認定」の申請。この審査において、合否を決定づけると言っても過言ではない絶対的な書類が「自動車損害賠償責任保険 後遺障害診断書」です。

後遺障害の審査は「書面審査」であり、被害者が直接面接を受けることはありません。つまり、審査員にとっては「後遺障害診断書に書かれていること=被害者の症状のすべて」なのです。ここでは、適正な等級を獲得するための診断書作成のポイントを解説します。

医師は「後遺障害のプロ」ではないという大前提

被害者の方は「お医者様が書くのだから、全て完璧に書いてくれるだろう」と期待しがちですが、これは大きな誤解です。

医師の仕事は「ケガを治すこと(治療)」であり、損害賠償のための「後遺障害の認定基準」を熟知しているわけではありません。そのため、以下のような問題が頻繁に起こります。

  • 患者の訴え(自覚症状)を軽視し、診断書に十分に記載しない。
  • 「他覚的所見なし」「症状の改善が見込める」など、審査において致命的に不利になる言葉を無意識に書いてしまう。
  • 関節の可動域測定において、労災保険の基準に則っていない適当な測り方をしてしまう。

これらを防ぐためには、被害者側から医師に対して「必要な情報をしっかりと書いてもらうための働きかけ」が必要不可欠です。

医師へ依頼する際の「3つの重要ポイント」

1. 自覚症状は「メモ」にして必ず手渡す

後遺障害診断書の「自覚症状」の欄に、あなたが感じている痛みや痺れが漏れなくすべて記載されている必要があります。首、腰、腕、足など、複数箇所に症状がある場合は要注意です。

診察室で口頭で伝えても、医師はカルテを見ながら要約して書いてしまうため、重要な症状が抜け落ちることが多々あります。依頼する際は、「〇〇が痛い」「雨の日に痺れる」「首を右に曲げると痛い」といった具体的な症状を箇条書きにしたメモ(A4用紙1枚程度)を作成し、「自覚症状欄を書く際の参考にしてください」と手渡すのが最強のテクニックです。

2. 必要な検査(画像所見・神経学的検査)が記載されているか

むちうちで14級9号を獲得するためには、「ジャクソンテスト」「スパーリングテスト」「深部腱反射」などの神経学的検査の結果が記載されていることが非常に重要です。 もしこれらの検査が未実施のまま診断書が書かれようとしている場合は、「後遺障害の申請で必要なので、ジャクソンテスト等の検査も行って結果を書いてもらえませんか」とお願いしてください。

また、「画像所見」の欄には、レントゲンだけでなくMRIの所見(「C5/6に椎間板膨隆を認める」など)が具体的に記載されている必要があります。

3. 「見込み」に関する不利な記載を避ける

診断書の「予後(将来の見通し)」の欄に、「時間の経過とともに緩解する見込み」「就労に制限なし」といった記載があると、審査機関は「じゃあ後遺障害ではないね」と判断して非該当にします。

弁護士による「診断書の事前チェック」が必須

作成された後遺障害診断書は、封がされていても必ず自分で中身を確認してください(コピーを取って控えを手元に残すのは絶対の鉄則です)。

もし記載漏れや不利な記述があった場合、被害者本人が医師に「書き直してくれ」と言うとトラブルになりがちです。ここで交通事故に強い弁護士が介入していれば、弁護士の目から見て「認定に必要な要件を満たしているか」を法的にチェックし、不十分であれば弁護士から医師へ丁寧な「医療照会(追記の依頼文)」を送付して修正を図ることができます。

「診断書をもらってしまった後」でも遅くはありません。相手の保険会社に提出してしまう前に、必ず夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士に内容のチェックをご依頼ください。

FAQよくある質問

Q. 医師に「後遺障害診断書は書けない」と断られてしまいました。どうすればいいですか?

A. 医師が作成を拒否する理由としては、「通院期間が短すぎる(まだ治療中である)」「他院からの転院直後で経過がわからない」「医学的な異常が見当たらない」などが考えられます。まずは拒否された理由を丁寧にヒアリングし、必要であればセカンドオピニオンや弁護士を通じた打診を検討する必要があります。

Q. 整骨院の先生に後遺障害診断書を書いてもらうことはできますか?

A. できません。後遺障害診断書を作成できるのは、医師免許を持った医師(整形外科医など)のみです。整骨院の柔道整復師は医師ではないため、法的効力のある診断書を作成する権限はありません。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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