交通事故でケガをした場合、最も基礎的(最低限)の補償となるのが「自賠責保険(強制保険)」の基準による賠償です。
自賠責保険では、入通院による精神的苦痛に対する慰謝料(傷害慰謝料)の単価が、法律によって「1日あたり4,300円」と明確に定められています(※2020年3月31日以前に発生した事故の場合は4,200円)。
しかし、この「1日」の数え方に、多くの被害者が勘違いしてしまう大きな落とし穴(ルール)があります。
「実通院日数×2」と「治療期間」の少ない方を採用する
自賠責保険の入通院慰謝料の計算式は、単純に「通院した日数に4,300円を掛ける」ものではありません。以下の2つの数字を比較し、必ず少ない方の日数を採用して4,300円を掛けます。
- 治療期間:治療を開始した日から、治療を終了(または症状固定)した日までの全日数
- 実通院日数×2:実際に病院(整形外科や整骨院)に通った日数に2を掛けた数字
計算シミュレーション例
【例1:まめに通院した場合】
- 治療期間:90日(3ヶ月)
- 実際の通院日数:50日
- 計算:50日 × 2 = 100日
- 比較:「90日」と「100日」を比較し、少ない「90日」が採用される。
- 慰謝料額:4,300円 × 90日 = 387,000円
【例2:仕事が忙しくてあまり通院できなかった場合】
- 治療期間:90日(3ヶ月)
- 実際の通院日数:20日
- 計算:20日 × 2 = 40日
- 比較:「90日」と「40日」を比較し、少ない「40日」が採用される。
- 慰謝料額:4,300円 × 40日 = 172,000円
同じ3ヶ月間の治療期間であっても、通院頻度が少ないと、慰謝料の金額が半分以下になってしまうことがお分かりいただけると思います。慰謝料は「痛みを抱えながら通院の労力をかけたこと」に対する補償でもあるため、適正な頻度(最低でも月に10日程度)で通院することが重要です。
自賠責保険の「120万円の壁」に注意
自賠責保険には、傷害(ケガ)に関する補償の上限額が「被害者1名につき最大120万円まで」と厳格に定められています。
この120万円の中には、慰謝料だけでなく、「治療費(病院代)」「通院交通費」「休業損害」など、すべての費用が含まれます。 そのため、MRIなどの高額な検査を何度も受けたり、治療期間が長引いて治療費が高額になると、あっという間に120万円の枠が埋まってしまいます。
枠が使い果たされると、どれだけ痛い思いをして通院しても、自賠責保険からは「これ以上は1円も慰謝料を出せません」という状態になってしまいます。
弁護士基準に切り替えれば「120万円の枠」は関係ない
この「120万円の壁」を突破し、本来もらうべき正当な慰謝料を受け取るためには、自賠責基準ではなく「弁護士基準(裁判基準)」で慰謝料を再計算し、相手の任意保険会社に請求する必要があります。
弁護士基準の慰謝料計算は、「1日4,300円」といった日割り計算ではなく、「通院した月数」に応じた相場表(赤い本)を用いて算出されるため、自賠責保険の120万円の枠にとらわれない高額な請求が可能になります。
「保険会社から提示された慰謝料が、自賠責の4,300円で計算されているようだ」「治療費がかさみそうで心配だ」という方は、示談書にサインをする前に、必ず夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください。弁護士が介入することで、最も高額な弁護士基準での慰謝料獲得を実現します。