交通事故の治療が症状固定となり、後遺障害の等級認定申請を行う際、被害者は「事前認定(じぜんにんてい)」と「被害者請求(ひがいしゃせいきゅう)」のどちらかの方法を選択する必要があります。
この選択は、後遺障害が認定されるか(あるいは何級になるか)を左右する極めて重要な分岐点です。ここでは両者の違いを詳しく解説します。
1. 事前認定とは?(加害者側保険会社に任せる方法)
「事前認定」とは、被害者が主治医に書いてもらった「後遺障害診断書」を相手の任意保険会社に渡し、その後の審査機関(自賠責損害調査事務所)への申請手続きをすべて保険会社に任せる方法です。
事前認定のメリット
- 被害者の手間が全くかからない(診断書を1枚渡すだけで終わる)。
- レントゲンやMRI画像のCD-ROMの手配なども保険会社がやってくれる。
事前認定のデメリット(注意点)
- 不透明な審査プロセス: 保険会社が「どのような資料を添えて」審査機関に提出したのか、被害者には分かりません。
- 有利な証拠を出してくれない: 保険会社は「自社の支払いを減らしたい」立場です。被害者に有利になるような追加の医学的意見書や、日常生活の不便さを訴える陳述書などをわざわざ集めて提出してくれることは絶対にありません。結果として「非該当」にされやすい傾向があります。
2. 被害者請求とは?(自分で直接申請する方法)
「被害者請求」とは、自賠責法16条に基づき、被害者自身が加害者の自賠責保険会社に対して直接、後遺障害の申請を行う方法です。
被害者請求のメリット(推奨する理由)
- 透明性と納得感: 自分自身で書類を揃えて提出するため、手続きがブラックボックス化しません。
- 有利な証拠を自由に追加できる: 認定率を上げるために、主治医の意見書、カルテ、整骨院の施術証明書、被害者本人の陳述書など、「審査員にアピールしたい有利な資料」を無制限に添付して提出できます。これが最大のメリットです。
- 賠償金の一部(自賠責分)が先払いされる: 等級が認定されると、最終的な示談を待たずに、自賠責保険の限度額(14級なら75万円など)が被害者の口座に直接・迅速に振り込まれます。当面の生活費として非常に助かります。
被害者請求のデメリット
- 手続きが非常に煩雑で素人には困難: 自賠責保険特有の請求書式の作成、印鑑証明書の取得、病院からの画像データやカルテの取り寄せなど、膨大な手間と専門知識が必要です。
結論:適正な等級を得るなら「弁護士による被害者請求」一択
上記を比較すると、認定される確率や獲得できる賠償額の観点から、絶対に「被害者請求」を選ぶべきです。
しかし、デメリットでお伝えした通り、被害者自身が働きながらこの複雑な手続きを行うのは現実的ではありません。そこで登場するのが弁護士です。
交通事故に強い弁護士に依頼すれば、被害者請求の煩雑な手続きをすべて弁護士が代行します。弁護士は「どの証拠を追加すれば認定されやすいか」を知り尽くしているため、事前認定とは比べ物にならないほど質の高い申請パッケージを作り上げることができます。
相手の保険会社から「後遺障害診断書を送ってください」と言われたら、送る前に一旦ストップし、夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください。あなたのための最適な被害者請求をサポートいたします。