後遺障害逸失利益の「労働能力喪失期間」制限(むちうち5年等)

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、弁護士による交通事故示談交渉・後遺障害等級認定の実務経験に基づき、最新の法令および裁判所基準(弁護士基準)に沿ってわかりやすく解説しています。

後遺障害逸失利益の「労働能力喪失期間」制限(むちうち5年等)のポイント

交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。

  • 14級は5年以内
  • 12級は10年以内の制限。

弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて

交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。

2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。

交通事故で後遺障害が残った場合、将来得られるはずだった収入の補償として「後遺障害逸失利益」を請求することができます。この逸失利益の金額を大きく左右するのが、収入が減少すると認められる期間である労働能力喪失期間です。

特に、むちうちなどの比較的軽い等級(14級や12級など)においては、裁判実務上、この労働能力喪失期間に一定の制限(原則としての年数制限)が設けられることが少なくありません。

本記事では、後遺障害逸失利益における労働能力喪失期間の制限について、等級ごとの傾向や、期間制限を打破して長期の認定を勝ち取るためのポイントを交通事故専門弁護士が解説します。

Q 後遺障害14級や12級の労働能力喪失期間には、なぜむちうち5年等のような年数制限があるのですか?保険会社の提示額で妥協せず期間を延ばす方法はありますか?
A 【労働能力喪失期間の制限理由】後遺障害14級のむちうち等は原則5年以内、12級は原則10年以内という制限が設けられるのは、時間の経過とともに症状が軽減・消失すると裁判実務上考えられているためです。しかし、保険会社が提示する期間は自賠責基準や任意保険の独自基準に基づく低めの設定であることが多く、本来得られるはずの適正な賠償額を大きく下回るケースが多々あります。
【期間延長と弁護士基準による適正解決】被害者の年齢や具体的な職種、症状の固定状況、永続性によっては、原則の年数制限を超えた長期の労働能力喪失期間が認められる可能性があります。示談交渉の際は、2020年4月の民法改正に伴う法定利率や弁護士基準(裁判所基準)に精通した交通事故専門弁護士に早めに相談し、適正な主張を行うことで逸失利益の増額を勝ち取ることが極めて重要です。

後遺障害逸失利益における「労働能力喪失期間」の基本

後遺障害逸失利益は、「基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」という計算式で算出されます。

このうち「労働能力喪失期間」は、原則として症状固定時から定年(通常は67歳)までとされています。しかし、すべての等級や症状で一律に67歳までの期間が認められるわけではありません。

等級ごとに設けられる一般的な制限

特に神経症状(むちうちなど)が残存した場合、労働による身体的機能の低下が時間とともに回復・適応するとみなされ、以下のような年数制限がかけられるのが実務の傾向です。

  • 後遺障害14級9号:原則として5年程度(場合によっては3年とされることも)
  • 後遺障害12級13号:原則として10年程度

このように、等級が下がるほど、また医学的な他覚所見が乏しいとされるむちうち等の症状であるほど、労働能力喪失期間は短く制限されやすくなります。

なぜむちうち等の等級には期間制限があるのか

保険会社や裁判所が、14級や12級のむちうちに対して期間制限を設ける理由は、時間の経過とともに症状が軽減・消失するか、あるいは被害者がその症状に労働上適応していくと考えられるからです。

永久に収入への影響が継続するとは医学的・経済的に証明しにくいという理由から、一律にある程度の区切りを設けて計算することが慣例化しています。

しかし、この制限は絶対的な法律の規定ではありません。あくまで「原則」であるため、個別の事情を主張・立証することで、この年数制限を超える期間が認められる余地は十分にあります。

期間制限を打破して長期の逸失利益を認めさせるポイント

原則として5年や10年と制限されがちな労働能力喪失期間ですが、以下のような事情を的確に主張・立証できれば、制限を超える期間(あるいは症状固定から定年までの全期間)の認定を引き出せる可能性があります。

職種による特殊性

デスクワーク中心の仕事であれば、むちうちによる身体への影響は比較的少ないと判断されやすいです。

  • 肉体労働や、常に首や腰に負担がかかる職種(美容師、プロドライバー、建設作業員など)であること
  • 症状が直接的に日々の業務遂行能力や売上に直結していること

このような職種上の特殊性を詳細に主張することで、長期の労働能力喪失が認められやすくなります。

症状の頑固さと客観的証拠

単に「痛い」と主張するだけでは、5年以上の期間制限を覆すことは困難です。

  • 医師の診断書や診療報酬明細書から、長期にわたり一貫して治療や通院を継続していることが読み取れること
  • 画像所見(MRIやレントゲンなど)で神経圧迫などの他覚的所見が明確に確認できること(特に12級の場合)

これらを揃えることで、症状が長期間継続し、将来にわたって労働能力を制限し続ける強い根拠となります。

実際の収入減少の事実

実際に昇進が遅れた、減給された、あるいは特定の業務から外されたといった具体的な不利益(労働上の支障)の存在も重要な要素です。

期間制限に納得がいかない場合は弁護士へご相談を

保険会社から提示される示談案では、14級なら5年、12級なら10年という制限が機械的に適用され、低い金額で計算されていることが大半です。

しかし、ご自身の仕事内容や症状の重さを適切に主張すれば、この制限を打破できるケースもあります。保険会社の提示額をそのまま受け入れる前に、一度交通事故に精通した弁護士へご相談ください。適切な法的アプローチによって、本来受け取るべき適正な逸失利益の獲得を目指すことができます。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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