交通事故で「休車損(事業用車両の営業損失)」を請求する条件のポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 代車(予備車)がないことの立証。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。
タクシーやトラック、あるいは配達用の軽自動車などの事業用車両が交通事故に巻き込まれた場合、修理期間中に車が使えなくなることで生じる営業損失が休車損です。
事業用の車は、毎日稼働して利益を生み出すための重要なツールです。そのため、車が使えない期間の収入減少は、被害を受けた事業者にとって死活問題となります。しかし、保険会社へ請求すればスムーズに全額が認められるとは限りません。
休車損を正しく請求し、適正な賠償金を受け取るためには、法的な要件と厳格な立証作業が必要不可欠となります。
交通事故における「休車損」とは何か?
休車損とは、事故の損害によって営業車が使用できなくなった期間、本来得られるはずだった利益(営業上の利益)が失われたことに対する補償です。
自家用車の場合、原則として「代車を借りる必要性」が認められなければ代車料は請求できず、休車損は基本的に認められません。これに対し、緑ナンバーの営業用トラックやタクシーなどの事業用車両は、車自体が利益を直接生み出すため、休車損の請求が法律上認められています。
休車損の基本的な計算方法
休車損の金額は、一般的に以下の計算式によって算出されます。
- (1日の平均売上 - 1日の経費削減分)× 営業不能日数
ここで重要となるのは、ガソリン代や高速代、ドライバーの人件費など、事故によって「かからなくなった経費」が売上から差し引かれるという点です。単純に「一日の売上金全額」を請求できるわけではないため注意しましょう。
また、営業不能日数についても、無制限に認められるわけではありません。客観的に見て妥当な修理期間、あるいは買い替えに必要な相当期間に限定されます。
休車損を請求するための最大のハードル「代車がないことの立証」
休車損を保険会社に請求する際、最も大きな争点になり、被害者側が立証責任を負うのが「他に代車(予備車)がなかったこと」の証明です。
加害者側の保険会社は、支払い額を抑えるために「自社に他の予備車があったのではないか」「他の空いている車を回して営業できたのではないか」と主張してくることが多々あります。
この主張に対抗し、休車損を正しく受け取るためには、自社に代替車両が存在しなかった事実を客観的な証拠をもって示さなければなりません。
予備車がないことを証明する具体的な証拠
代車(予備車)がなかったことを立証するためには、以下のような資料を準備する必要があります。
- 保有車両一覧表(自社名義の車両が全車稼働していることの証明)
- 車検証の写しや運行管理記録(全車両が他の業務で使用されている事実)
- リース契約書やレンタル車両の状況を示す書類
- 同業他社からの車両調達が困難であった事情を示す書面
もし、事業所に数台の予備車があり、そのうちの1台を事故車両の代わりに稼働させることが物理的に可能であったと判断されると、休車損の請求は認められにくくなります。
「すべての車がフル稼働しており、事故車両の穴埋めをする余裕が一切なかった」という状況を、運行記録や受注実績などの客観的資料を添えて主張することが重要です。
休車損の請求で注意すべきその他のポイント
休車損を巡るトラブルを防ぎ、確実に賠償金を得るためには、立証責任の他にもいくつか押さえておくべき重要な実務上のポイントがあります。
修理期間の遅延分は請求できない
事故車両の修理工場への入庫や部品の取り寄せが、何らかの理由で不当に遅れた場合、その遅延した期間全体の休車損が認められるとは限りません。
- 事故後、速やかに修理手続を行ったか
- 部品供給の遅れなど、やむを得ない事情があったか
これらが審査の対象となります。被害者側の過失で修理着手が遅れた日数の分は、休車損の対象外とされるため、事故後は速やかに修理の手配を進めることが賢明です。
全損(廃車)となった場合の休車損の期間
事故の衝撃が大きく、車両が全損となってしまった場合、修理をして再び営業に戻ることはできません。この場合、休車損は「新しい代替車両を購入し、事業に使用できる状態になるまでの期間」に限定されます。
一般的には、新車の納車待ちや中古車の選定・登録手続きにかかる「相当な期間(通常は1か月程度が目安)」が対象となります。
ただし、運送業やタクシー事業などで、どうしても手配に長期間要むやむを得ない事情がある場合は、その合理性をしっかりと主張・立証していく必要があります。
交通事故による事業用車両の休車損請求は、売上データの分析や経費の計算、さらには予備車の有無に関する立証など、専門的な知識と緻密な準備が求められます。保険会社との交渉に不安を感じる場合は、交通事故の損害賠償に詳しい弁護士へ早めに相談することをおすすめします。
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