個人事業主・フリーランスの休業損害:確定申告書と固定費の算入のポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 青色申告控除前所得
- 固定費の算入。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。
交通事故で負傷し、仕事ができなくなった場合、収入の減少を補償してもらうために「休業損害」を請求できます。会社員であれば給与明細をベースに比較的スムーズに計算できますが、個人事業主やフリーランスの場合、自身の収入の証明や経費・固定費の扱い方で悩む方が少なくありません。
適切な休業損害を受け取るためには、法律や保険実務に基づいた正しい知識を持つことが不可欠です。本記事では、個人事業主・フリーランスの休業損害における、確定申告書の捉え方と固定費の算入方法について詳しく解説します。
個人事業主の休業損害の基本:基礎収入の考え方
交通事故による休業損害は、原則として事故前年の現実の収入を基礎として算出します。個人事業主やフリーランスの場合、その証明資料として確定申告書が最も重要な証拠となります。
青色申告控除前の所得がベースになる
保険会社から「所得税の確定申告書の数字がベースになる」と言われた際、どの項目を見ればよいか迷う方は多いでしょう。
青色申告をしている場合、基準となるのは青色申告特別控除前の所得金額です。
- 青色申告特別控除(55万円や65万円など)は税法上の優遇措置であるため、実際の経済的な所得とはみなされません。
- 控除を適用する前の「所得金額(損益計算書の所得金額)」をベースに、1日あたりの基礎収入を算出します。
- 白色申告の場合は、総収入金額から必要経費を差し引いた所得金額が基準となります。
所得税を引く前(グロス)の金額で計算する
もう一つの重要なポイントは、税金や社会保険料を控除する前の金額(グロス)で休業損害を計算する点です。
確定申告書の最終的な課税所得から、所得税や住民税を引いた手取り額で計算されてしまうケースが散見されますが、これは誤りです。休業損害はあくまで得られるはずだった総収入に対する補償であるため、税金控除前の所得金額を日割り計算して請求するのが正当な権利です。
赤字の場合や所得が低い場合の注意点
実際の事業所得が赤字である場合や、節税のために所得を低く申告している場合、休業損害の認定において保険会社とトラブルになりやすくなります。
赤字であっても休業損害が認められるケース
確定申告が赤字であっても、事業用の固定費を支払っている場合や、潜在的な稼働能力があると認められる場合は、休業損害が認められる余地があります。
- 事故前年の確定申告が赤字であっても、客観的な資料から実質的な売上や収入が見込める場合は交渉可能です。
- 労働者と同等以上の稼働をしている場合、賃金センサスの平均賃金を参考に基礎収入が認められるケースもあります。
実態と申告所得の乖離に関するリスク
節税を優先して実際の売上に対して所得を極端に低く申告していると、保険会社から「実際の損害は少ない」と主張される原因になります。
日頃から正確な記帳を行い、実態に即した確定申告をしておくことが、万が一の事故の際にご自身を守る最大の防御策となります。
固定費の取り扱い:売上がなくても発生する経費の算入
個人事業主の休業損害で特に見落としがちなのが、店舗の家賃や機械のリース料などの固定費の扱いです。これらは事業を休止していても支払わなければならないため、損害として認められるかどうかが非常に重要になります。
固定費が損害として認められる条件
事業所得(利益)とは別に、固定費が個別の損害として認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 事業の継続や再開のために不可欠な費用であること。
- 事故による休業中であっても、支払いを免れず実際に支払った費用であること。
- 具体的な項目としては、店舗・事務所の家賃、通信費、減価償却費、従業員の給与などが該当します。
固定費算入の計算における注意点
固定費を休業損害に上乗せして請求する場合、二重請求にならないよう慎重な計算が求められます。
- 青色申告控除前の所得の中に、すでに必要経費として計上されている固定費が含まれている点を整理する必要があります。
- 売上の減少分でカバーしきれなかった赤字部分(マイナス分)や、利益が出ていない期間に持ち出しとなった固定費について、損害賠償として上乗せ主張を行います。
- 証拠として、賃貸借契約書、リース契約書、毎月の引き落とし口座の通帳コピーなどを必ず保管しておきましょう。
個人事業主・フリーランスの休業損害の算定は、税務の知識と損害賠償実務の双方の視点が求められるため、非常に複雑になりがちです。適正な金額を受け取るためにも、不安な点があれば早い段階で交通事故に強い弁護士への相談をご検討ください。
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