保険会社から「自賠責枠の120万円を使い切った」と言われたらのポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 任意保険一括対応
- 健康保険切替。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。
交通事故に遭い、治療を続けている最中に保険会社の担当者から「自賠責保険の120万円の枠を使い切りました」と突然告げられ、戸惑ってしまう被害者の方は少なくありません。
自賠責保険の傷害による補償限度額は120万円と定められています。この枠を使い切ると、保険会社から「これからは任意保険での対応(または実費負担)になります」と言われたり、治療打ち切りを匂わせるような連絡が来たりすることがあります。しかし、ここで慌てて治療を諦めたり、自己負担で高額な医療費を支払ったりする必要はありません。
法律と制度の正しい仕組みを知っていれば、適切な対処法をとることで経済的な負担を軽減し、必要な治療を継続することができます。本記事では、自賠責枠を使い切ったと言われた際に被害者が取るべき具体的な行動について、交通事故専門弁護士が分かりやすく解説します。
自賠責保険の120万円とは何を指すのか
被害者の方がまず理解しておくべきなのは、自賠責保険の120万円という金額の性質です。これは、治療費だけでなく、通院のための交通費、診断書などの文書料、そして治療期間中の休業損害や慰謝料のすべてを含めた上限額です。
そのため、通院頻度が高かったり、仕事を休んで休業損害が発生していたりすると、治療がまだ数ヶ月しか経過していなくても、あっという間に120万円に到達してしまうケースは珍しくありません。
120万円を超えた後の保険会社の対応
自賠責の枠を使い切ると、加害者の加入している任意保険会社が、自賠責から持ち出した分の支払い(通常は自賠責の一括払制度を利用しています)を停止し、自社の基準での支払いモードに切り替えます。
これが、いわゆる「任意保険一括対応」の継続、あるいは自社負担分への移行です。保険会社によっては、これを機に「もう治療費は出せません」「そろそろ治療を終了してください」と打診してくることがありますが、医学的にまだ治療が必要な状態であれば、直ちに応じる義務はありません。
任意保険の一括対応と健康保険への切り替え
自賠責の120万円を超えた後、治療を継続するための主な選択肢は大きく分けて2つあります。自身のケガの状況や保険会社との交渉状況に合わせて適切に判断しましょう。
任意保険一括対応の継続を交渉する
多くのケースでは、自賠責の120万円をオーバーした後も、加害者の任意保険会社がそのまま治療費の支払いを継続する「一括対応」を続行します。
保険会社がそのまま支払いを続けてくれるのであれば、窓口での自己負担はなく、これまで通り治療に専念することができます。ただし、保険会社が「これ以上の治療は不要である」として、治療費の打ち切り(支払いの拒否)を主張してくるリスクが高まるため注意が必要です。
健康保険に切り替えて治療を続ける
保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合や、納得がいかない対応をされた場合は、自身の健康保険を利用して治療を継続するという方法が非常に有効です。
- 健康保険を使うことで、医療費の窓口負担を3割(または1〜2割)に抑えることができます。
- 自費診療に比べて医療費の総額が低く抑えられるため、後日加害者に請求する際のトラブルを防ぎやすくなります。
- 窓口負担分は一時的に自己負担となりますが、最終的な示談交渉の際に、健康保険の自己負担分も含めて加害者側に請求することが可能です。
なお、交通事故での健康保険の使用は法律上認められています。病院から「交通事故では健康保険は使えない」と言われた場合は、健康保険の使用を希望する旨をしっかりと伝えましょう。
被害者が注意すべきポイントと弁護士への相談
自賠責枠の120万円を使い切ったと言われたタイミングは、保険会社との間で示談や治療継続を巡るトラブルに発展しやすいデリケートな時期です。不利な状況に追い込まれないために、以下のポイントに注意してください。
医師の診断を最優先にする
保険会社の担当者が「もう120万円を超えたから治療は終わり」と言ったとしても、それはあくまで保険会社の都合や支払い基準に基づく話です。治療を続けるべきかどうかの判断権は保険会社ではなく主治医の医師にあります。痛みが残っている場合は、医師と相談のうえで必要な治療を継続してください。
安易に示談書にサインしない
120万円を超えた段階で、保険会社から「これまでの分で示談にしませんか」と少額の示談金を提示されることがあります。しかし、ここで示談をしてしまうと、後から症状が悪化した場合でも追加の治療費や慰謝料を請求できなくなってしまいます。
弁護士に早めの相談を
保険会社との交渉が難航している場合や、治療の打ち切りを迫られて困っている場合は、交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。
- 弁護士が代理人となることで、保険会社からの治療費打ち切りの打診に対して適切な法的根拠を持って交渉できます。
- 健康保険への切り替えの手続きや、自賠責の被害者請求(120万円を超えた分の後遺障害申請など)のサポートを受けられます。
- 最終的な示談金についても、弁護士基準(裁判基準)を用いることで大幅な増額が期待できます。
保険会社から「自賠責枠を使い切った」と言われても、決して泣き寝入りする必要はありません。正しい知識を持って冷静に対処し、自身の身体の回復を最優先に行動しましょう。
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