交通事故の通院で「病院の待ち時間」は休業損害になるかのポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 通院に必要な半日・全休の認められ方。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
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交通事故で負傷した場合、治療のための通院は早期回復のために不可欠ですが、仕事をしている方にとっては、その「時間」が大きな負担となります。特に、予約をしていても数時間待たされることが多い総合病院などに通う場合、「この待ち時間も休業損害として請求できるのだろうか」と疑問に思う方は少なくありません。
結論からお伝えすると、通院のための待ち時間や移動時間も含めて休業損害が認められるケースは十分にありますが、そのためにはいくつかの条件や適切な証明方法を知っておく必要があります。
病院の待ち時間は休業損害の対象になるのか
交通事故の被害者が請求できる休業損害とは、事故による怪我の治療や検査のために仕事を休み、収入が減少した損害を補償するものです。では、実際に仕事の合間や特定の日に仕事を休んで通院した場合、待ち時間はどのように扱われるのでしょうか。
治療のための「必要不可欠な時間」として扱われる
損害賠償の実務において、通院に要する時間は、治療のために不可欠なプロセスとみなされます。病院までの往復移動時間だけでなく、診察やリハビリを受けるための待ち時間も、怪我を治すために費やされている時間であるため、基本的には休業損害の算定対象に含まれます。
ただし、「待ち時間が長かったからといって、その時間分だけ何時間でも無制限に請求できる」という意味ではありません。勤務形態や休みの取り方によって、認められ方が異なってきます。
半日休や全休を取得した場合の考え方
実際に仕事を休んだ単位によって、保険会社との交渉や法的評価が変わります。
- 半日休を取得して通院した場合、実際の通院・待ち時間・移動時間と、仕事に穴を空けた時間が合理的につながっているかがポイントになります。
- 全日休を取得した場合、待ち時間が長い病院であっても、1日分の収入減として認められやすい傾向にあります。
しかし、保険会社は「待ち時間は実際の治療行為ではない」として、待ち時間分の給与カット分を支払う難色をしめすことがあります。そのため、論理的な説明と証拠の提示が必要不可欠です。
半日・全休が認められやすくなるためのポイント
仕事を休んで通院した分の休業損害をしっかりと受け取るためには、単に「病院にいました」と主張するだけでは不十分です。以下のポイントを意識して対応しましょう。
勤務先との調整と「休業損害証明書」の活用
会社員やパート・アルバイトの場合、勤務先に作成してもらう休業損害証明書が極めて重要になります。
- どのような単位(半日、時間休、全日など)で仕事を休んだのかを明確に記載してもらいます。
- 勤務先の人事や上司に、通院のためにその時間帯(またはその日)の勤務が不可能であったことを証明してもらうことで、保険会社からの不当な減額を防ぐことができます。
有給休暇を使って通院した場合でも、法律上は「労働者が本来得られたはずの経済的利益を使用しなかっただけ」とみなされるため、休業損害として請求することが可能です。この場合も、有給休暇を取得して通院した事実を証明する必要があります。
「待ち時間が長いこと」の証明と必要性の立証
なぜその病院を選んだのか、なぜそれほど待ち時間がかかるのかについても説明できるようにしておくことが大切です。
- 専門的な治療を受けるために、自宅や職場から離れた特定の医療機関に通わざるを得なかったという正当性があれば、移動時間や待ち時間の長さに合理性が認められやすくなります。
- 通院日時は医師の指示や治療計画に基づいているため、予約票や診察券の記録、あるいは診療報酬明細書(レセプト)に残る滞在時間などを確認できるようにしておきましょう。
自営業者やフリーランスの待ち時間の扱い
給与所得者とは異なり、シフト制や成果報酬型、あるいは自営業者やフリーランスの場合、待ち時間の扱いはさらにシビアに見られることがあります。
実際の収入減少とタイムスケジュールの関係
自営業者等の場合、実際に仕事のスケジュールをどれだけ圧迫したかが証明の鍵となります。
- 待ち時間があったために、その日に予定していた顧客対応や業務ができず、直接的な売上減少につながったことを示します。
- 確定申告書や過去の売上台帳などをベースにしつつ、通院日のタイムスケジュールを詳細に記した報告書を作成することが有効です。
「待ち時間も仕事の一環として拘束されている時間である」という認識を持ち、自身の労働が制限されたことを立証できるように準備を進めましょう。
まとめ:待ち時間の補償で損をしないために
交通事故の通院における待ち時間は、怪我の治療という不可避の状況から発生するものです。保険会社から「待ち時間は休業損害の対象外です」と言われたとしても、それをそのまま鵜呑みにする必要はありません。
通院に要した具体的な時間、勤務形態の制約、そして実際の収入への影響を正しく証明できれば、適正な休業損害を受け取ることが可能です。もし保険会社との交渉で折り合いがつかない場合や、正当な計算方法に不安がある場合は、交通事故に強い弁護士への相談を検討してみてください。専門家のサポートを受けることで、納得のいく解決に近づくことができます。
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