交通事故で「むちうち」などのケガをして通院治療を始めたものの、「仕事が忙しい」「痛みが少し引いてきた」などの理由で、つい整形外科に行くのをサボってしまい、気づけば前回の通院から「1ヶ月以上(約30日以上)」間隔が空いてしまった――。
このような「通院の中断(空白期間)」は、その後の損害賠償請求において被害者に致命的な不利益をもたらす危険な行為です。ここでは、通院間隔が空くことの恐ろしいリスクと、万が一空いてしまった場合の対処法を解説します。
1ヶ月以上通院が空くことの「3つの大リスク」
1. 事故とケガの「因果関係」が否定される
損害賠償実務において最も恐ろしいのが「因果関係の断絶」です。 1ヶ月以上病院に行かなかった場合、保険会社は「1ヶ月も病院に行かなくても平気だったのだから、事故によるケガはすでに治っていたはずだ。今痛いと言っているのは、事故とは無関係の寝違えや仕事疲れが原因だろう」と判断します。 これにより、再開後の治療費は一切支払われなくなります。
2. 「症状固定(治療終了)」とみなされ、治療費が打ち切られる
保険会社は被害者の通院履歴を毎月チェックしています。通院実績がない月があると、即座に「治療は終わった(症状固定した)」と判断し、一方的に一括対応(治療費の直接支払い)を打ち切ってきます。
3. 後遺障害の認定が絶望的になる
後遺障害(14級9号など)が認定されるための最低条件は、「事故発生から症状固定まで、適切な頻度で継続して通院していること」です。 治療期間中に1ヶ月以上の空白期間がある場合、「継続した治療」とはみなされず、審査機関から「後遺症が残るほどの重傷ではなかった」と判断され、非該当になる確率が跳ね上がります。
もし通院間隔が空いてしまった場合のリカバリー方法
もし、やむを得ない事情で通院が1ヶ月空いてしまい、まだ痛みが残っている場合は、以下の手順で直ちに行動してください。
① 今すぐ整形外科を受診する(整骨院はNG)
「もう1ヶ月空いてしまったから行きづらい」と放置すればするほど状況は悪化します。明日すぐに、これまで通っていた整形外科を受診してください。 そして医師に、「間が空いてしまった理由(仕事でどうしても抜けられなかった等)」と「痛みがずっと継続していること」を正直に伝えてください。「痛みが再発した」と言うと因果関係を否定されやすいため、「ずっと痛かったが我慢していた」と伝えることが重要です。
② 保険会社には「通院を再開する」と伝える
医師の診察を受け、まだ治療が必要と診断されたら、保険会社の担当者に「仕事でどうしても通院できなかったが、痛みが引かないので医師の指示で通院を再開する」と伝えます。 保険会社が治療費の支払いを拒否した場合は、健康保険を使って自費で通院を続けてください。
③ 弁護士に相談する
1ヶ月の空白期間ができてしまった案件は、保険会社の対応が非常に硬化するため、被害者本人での交渉は極めて困難になります。弁護士が介入し、カルテの記載内容や仕事の状況(休業損害証明等)を基に「通院できなかった合理的な理由」と「治療の必要性」を論理的に主張することで、治療費の支払いや後遺障害申請の道を切り開ける可能性があります。
「どんなに忙しくても、最低でも月に2回以上は必ず整形外科を受診する」。これが交通事故治療における鉄則です。すでに通院が途切れてしまって保険会社と揉めている方は、手遅れになる前に夕陽ヶ丘法律事務所までご相談ください。