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内縁の妻(夫)は死亡事故の慰謝料を請求できる?相続権と固有の慰謝料の違い

交通事故の死亡事故において、遺されたご家族にとって極めて理不尽で厳しい現実が立ちはだかるのが「内縁関係(事実婚)」のケースです。

何十年も一緒に暮らし、生活を支え合い、周囲からも完全に夫婦として認知されていたにもかかわらず、「戸籍を入れていなかった(婚姻届を出していなかった)」というただ一点の理由により、死亡事故の賠償の場面で、内縁の妻(夫)は非常に弱い立場に置かれます。

「相続権がない」という絶望的な壁

死亡事故における賠償金(死亡慰謝料、逸失利益など)は、亡くなった被害者の「遺産(相続財産)」として扱われます。

日本の民法では、法定相続人になれる配偶者は「法律上の婚姻関係にある者(戸籍上の夫婦)」に限定されています。そのため、どれほど長期間夫婦同然に暮らしていた内縁の妻であっても、相続権は「ゼロ」です。 その結果、被害者が生きていれば数千万円稼いだであろう「逸失利益」も、被害者自身の無念を慰謝する「死亡慰謝料」も、すべて血の繋がった親族(親や兄弟姉妹、あるいは前妻との子供など)が独占して相続することになります。 長年被害者を献身的に支えてきた内縁の妻には、これらの賠償金は1円も支払われません。

唯一の突破口:「近親者固有の慰謝料」の直接請求

相続の枠組みからは完全に排除されてしまう内縁の妻ですが、加害者の責任を問い、少しでも生活の糧を得るための「唯一の法的突破口」が存在します。

それが、「近親者固有の慰謝料(民法711条)」の請求です。 これは、亡くなった人の遺産ではなく、「愛するパートナーの命を理不尽に奪われたことに対する、内縁の妻自身の深い悲しみと精神的苦痛(自分の損害)」を、直接加害者に請求する権利です。

過去の最高裁の判決により、民法711条に明記されている「父母、配偶者及び子」には該当しなくても、「実質的に夫婦と同様の生活状況にあった内縁の妻」であれば、この固有の慰謝料を請求する権利が認められています。

固有の慰謝料は「いくら」認められるのか?

内縁の妻に認められる固有の慰謝料の額は、事案によって大きく異なりますが、数百万円程度となるケースが多いです。 被害者本人の慰謝料(数千万円)や逸失利益と比べればどうしても少額にはなりますが、今後の生活を立て直すための重要な資金となります。

「内縁関係の証明」は弁護士にお任せを

保険会社は、少しでも支払いを逃れるために「あなたは単なる同棲相手(恋人)であり、法的に保護される内縁関係にはない」と主張し、固有の慰謝料の支払いすら拒否してくることがよくあります。

法的に保護される「内縁関係」と認められるためには、以下の2つの要件を客観的な証拠で証明しなければなりません。

  1. 婚姻意思(夫婦として一生を添い遂げる意思があること)
  2. 夫婦としての共同生活の実態(家計が同一であることなど)

【集めるべき証拠の例】

  • 住民票の記載(続柄が「夫(未届)」や「妻(未届)」となっているか)
  • 健康保険の被扶養者になっているか
  • 結婚式や披露宴の写真、参列者の証言
  • 親族間の冠婚葬祭に夫婦として出席していた事実
  • 生活費を共通の口座で管理していた通帳記録

愛する人を突然失い、さらに相続人である親族や保険会社から「赤の他人」扱いされる悲しみは、筆舌に尽くしがたいものがあります。 夕陽ヶ丘法律事務所では、遺された内縁のパートナーの正当な権利を守るため、徹底的な証拠収集を行い、裁判基準での固有の慰謝料獲得を目指して全力で戦います。どうかお一人で悩まず、私どもに現状をお話しください。

FAQよくある質問

Q. 10年間一緒に暮らし、生計も完全に共にしていた事実婚(内縁関係)の夫が交通事故で亡くなりました。夫の両親からは「戸籍に入っていないから1円ももらえない」と言われ、相手の保険会社も相手にしてくれません。本当に請求できないのでしょうか?

A. 確かに、戸籍上の婚姻関係がない内縁の妻には法律上の「相続権」がないため、被害者本人の死亡慰謝料や逸失利益を「相続」して加害者に請求することはできません。これらはすべて相続人である夫の両親に渡ります。しかし、内縁の妻であっても「愛するパートナーを奪われた自分自身の精神的苦痛」に対する『近親者固有の慰謝料(民法711条類推適用)』を、加害者に対して直接請求できる権利が判例上認められています。

Q. 内縁関係であることを保険会社や裁判所に認めてもらうためには、どのような証拠が必要ですか?

A. 単に同棲していただけの恋人ではなく、「お互いに夫婦として一生を添い遂げる意思があったこと(婚姻意思)」と、「実際に夫婦同然の共同生活を営んでいたこと(共同生活の実態)」を証明する必要があります。具体的には、住民票(未届の妻という記載)、結婚式を挙げた事実、家計を共通にしていた通帳の記録、賃貸契約書の連帯保証人、親族の証言などが有力な証拠となります。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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