逆走・センターラインオーバーによる正面衝突事故の過失割合:100対0にならない特異なケース

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、弁護士による交通事故示談交渉・後遺障害等級認定の実務経験に基づき、最新の法令および裁判所基準(弁護士基準)に沿ってわかりやすく解説しています。

交通事故の中でも最も死亡率が高く、悲惨な結果を招くのが「正面衝突」です。 その多くは、対向車が居眠りやスマホ見ながら運転、あるいは無理な追い越しのために「センターラインをオーバー(はみ出し)」してきたり、一方通行を「逆走」して突っ込んでくることによって発生します。

自分は正しい車線を走っていたのに、いきなり対向車が突っ込んできた。 この場合、被害者としては「自分は一切悪くない。100%相手が悪い(100対0である)」と考えるのが当然です。しかし、示談交渉において保険会社が「あなたにも過失がある」と言い出してトラブルになるケースが後を絶ちません。

Q 対向車がセンターラインをはみ出して正面衝突してきた事故なのに、保険会社から自分にも過失があると言われて100対0にならないのはなぜですか?
A 【法律・裁判所基準の要点】原則としてセンターラインオーバーによる正面衝突事故は「100対0」になりますが、はるか手前から相手の異常運転に気付いていながら減速や回避行動をとらなかった場合などは、被害者側にも「前方不注意」や「回避義務違反」があったとみなされ、10%から20%の過失割合が主張される例外ケースがあります。
【損をしないための対策・弁護士活用のメリット】保険会社の言いなりになって過失を受け入れてしまうと、受け取れる慰謝料や賠償金が大幅に減額されてしまいます。ドライブレコーダーの映像など客観的な証拠を基に適切な過失割合を主張し、さらに弁護士基準による適正な慰謝料を獲得するためには、交通事故に強い弁護士への早期相談が最も効果的です。

原則は「はみ出した側が100%悪い(100対0)」

まず大前提として、日本の法律(道路交通法17条)では、車は道路の中央から左側を通行しなければならないという「キープレフトの原則」が厳格に定められています。

これを破ってセンターラインを越えてきた車と衝突した場合、過失割合の基本は【センターラインオーバー車:100%、正しく走っていた車:0%】となります。 なぜなら、運転手には「対向車がわざわざルールを破ってこちらに突っ込んでくることまで予測して運転しなくてもよい」という「信頼の原則」が適用されるためです。

100対0にならない(被害者にも過失が問われる)例外ケース

しかし、以下のような特定の条件が重なった場合、保険会社は「被害者側にも事故を回避できた可能性(前方不注意やブレーキ操作の遅れ)がある」として、被害者に10%〜20%の過失を押し付けてきます。

1. はるか手前から相手の異常に気付けていた場合

見通しの良い長い直線道路で、対向車がはるか数百メートル手前からフラフラとセンターラインを越えて蛇行運転をしているのが見えていたとします。 この場合、被害者は「このまま進めば衝突するかもしれない」と危険を予測し、クラクションを鳴らしたり、左側の路肩に車を停めてやり過ごすなどの「回避行動」をとる義務が生じます。これらを一切せずに漫然と走り続けて衝突した場合、被害者にも10%〜20%程度の過失が問われる可能性があります。

2. 道路の幅が狭く、お互いにはみ出していた場合(センターラインがない道路)

センターラインが引かれていない、あるいは消えかかっているような狭い道路(すれ違いが困難な生活道路など)で正面衝突した場合。 この場合は、どちらか一方が100%悪いとは認定されにくく、道路の左側端にどれくらい寄っていたか、すれ違う前に一時停止や減速をしていたかなどを総合的に判断し、「50対50」を基本として、双方の過失状況(スピード違反など)に応じて修正していくことになります。

3. こちらもスピード違反をしていた場合

いくら相手がセンターラインをオーバーしてきたとしても、被害者側も法定速度を30kmオーバーするような猛スピードで走っていた場合、「適正なスピードであれば相手を避けられた(または被害が小さくて済んだ)」として、過失相殺(10%〜20%の過失加算)の対象となります。

「もらい事故」だからこそ弁護士が必要

センターラインオーバーによる100対0の事故(もらい事故)の場合、被害者にとって決定的に不利な事情があります。 それは、「被害者側の保険会社は、示談交渉を代行してくれない」ということです。法律(弁護士法)により、保険会社は自分に支払い義務(過失)がない事故において、被害者の代わりに相手と交渉することが禁じられているからです。

つまり、大怪我を負った被害者が、自分ひとりで加害者のプロの保険会社担当者と交渉しなければなりません。そこで「あなたにも回避可能性があったから10対90です」と丸め込まれてしまうケースが非常に多いのです。

自身の過失割合がゼロである「100対0」の事故において、適正な過失割合を死守しつつ慰謝料を裁判基準へ引き上げるためには、弁護士費用特約を活用して専門の弁護士へ交渉を委任することが最も確実な解決策となります。もらい事故の被害に遭った場合は、保険会社と示談を交わす前に法律の専門家へ相談することが推奨されます。

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FAQよくある質問

Q. 相手の車が居眠りでセンターラインを大きくはみ出してきて正面衝突されました。私は左側を正しく走っていたのだから、過失割合は100対0ですよね?

A. はい、そのケースであれば基本的には100対0になります。道路交通法上、車は「キープレフト(左側通行)」が原則であり、対向車がセンターラインをオーバーしてくることまで予測して運転する義務(信頼の原則)はないとされているためです。

Q. 対向車が追い越しのためにセンターラインをはみ出して向かってきたため、慌てて左にハンドルを切りましたが避けきれず衝突しました。保険会社から「もっと早くブレーキを踏めば避けられたはずだ」と私の過失を主張されています。

A. 保険会社は賠償金を減らすために「回避可能性があった(=前方不注意である)」と主張してくることがあります。例えば、見通しの良い直線道路で、数百メートル手前から相手の異変に気付いていたのに全く減速しなかったような場合は、被害者側にも10%〜20%の過失が問われる例外的なケースが存在します。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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