異議申立てで「自賠責本部(東京)」へ審査が回るケースのポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 高度な判断を要する事案の集中審査。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
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交通事故の被害者が後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合、異議申立てを行うことになります。一般的な異議申立ては、管轄する損害保険料率算出機構の地域事務所などで審査が行われますが、事案の性質によっては「自賠責本部(東京)」へ審査が回るケースが存在します。
東京の自賠責本部に回る理由や、そこでどのような審査が行われるのかを正しく理解しておくことは、適切な等級を獲得するために極めて重要です。ここでは、高度な判断を要する事案がどのように審査されるのか、専門的視点から詳しく解説します。
異議申立ての審査は通常どこで行われるのか
交通事故における後遺障害の等級認定や異議申立ての審査は、原則として全国各地にある損害保険料率算出機構の調査事務所で行われます。
通常、地域の調査事務所には医学的な専門知識を持つスタッフが在籍しており、提出された診断書や画像データなどを基に妥当な等級を判断します。しかし、すべての事案が地方の調査事務所だけで完結するわけではありません。
通常の審査機関で判断が困難な理由
地域の調査事務所での審査は効率的かつスピーディーに行われますが、以下のような限界があります。
- 標準的な医学的知見だけでは因果関係の判断がつかない
- 過去の類似裁判例や複雑な法令解釈が絡む
- 担当する医師の意見が真っ向から対立している
こうした事案を地方の事務所だけで処理しようとすると、誤った判断を下してしまうリスクが高まるため、より上位の機関や専門的な組織へ回される仕組みになっています。
高度な判断を要する事案が「自賠責本部(東京)」へ回る仕組み
地方の調査事務所での判断が難しいとされたり、事案の性質が極めて特殊であったりする場合、事件は東京にある自賠責保険の中枢機関(自賠責本部や専門審査会)へと送られます。
これが、いわゆる「東京送り」と呼ばれるケースであり、高度な判断を要する事案に対する集中審査の始まりを意味します。
どのような事案が東京の本部へ回るのか
具体的にどのようなケースで東京の本部へ審査が回るのか、主なものを挙げます。
- 高次脳機能障害などの目に見えにくい脳損傷で、症状の有無や労働能力への影響の評価が極めて難しい事案
- 医療事故や複数の事故が競合し、どの怪我がどの後遺障害を引き起こしたかの因果関係の特定が困難な事案
- CRPS(複合性局所疼痛症候群)などの原因や病態が現代医学でも解明されつつある特殊な疼痛疾患に関する事案
- 過去の裁判例や通達に照らし、全国的な統一見解を示す必要がある重要事案
このように、一般的な基準では白黒つけられないグレーゾーンの事案こそが、東京の本部に集められます。
東京の本部で行われる審査の特徴と対策
東京の本部や専門の審査会に事案が回った場合、通常の審査とは異なる厳格なプロセスで進められます。被害者側としては、このステージで何を意識すべきかを把握しておく必要があります。
専門的な医学的知見に基づく徹底的な再調査
東京の本部には、各医学分野の権威である大学教授や専門医らが参画する審査会が組織されているケースが多くあります。
- 提出されたMRIやCTなどの画像データを、より高度な視点から再分析する
- 主治医だけでなく、第三者的な専門医の意見を仰ぐ
- 被害者の生活実態や事故態様に関する詳細な資料を突き合わせる
このような徹底した精査が行われるため、審査結果が出るまでには数ヶ月以上の長い期間を要することが一般的です。
専門家と連携した追加資料の提出が不可欠
東京の本部に事案が回ったということは、これまでの書類だけでは判断が覆りにくい「一筋縄ではいかない事案」であることを示しています。
ここで結果を覆し、適正な等級を獲得するためには、単に不満を訴えるだけでなく、医学的・法的に極めて説得力の高い意見書や追加資料を補強することが不可欠です。
- 専門医による詳細な診断書や医療照会への回答書
- 事故と症状の因果関係を論理的に説明する弁護士作成の意見書
- 日常生活の不自由さを詳細に記録した報告書
自賠責本部への移行を通知された場合は、一人で悩むのではなく、交通事故の損害賠償や後遺障害等級認定に精通した弁護士に早めに相談し、戦略的なアプローチをとることを強くおすすめします。
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