交通事故の損害賠償について、弁護士が介入すると、賠償金は最も高額な「裁判基準(弁護士基準)」で計算されるため、大幅な増額が見込めます。
多くの場合、弁護士が保険会社と交渉すれば、裁判を起こさなくても「示談」の段階で裁判基準に近い金額を引き出すことが可能です。 しかし、保険会社が頑なに支払いを拒否し、やむを得ず「裁判(訴訟)」を起こして「判決」まで戦い抜いた場合。被害者には、示談では絶対に得られない「2つの強力な上乗せ(ボーナス)」が与えられます。
それが、「弁護士費用相当額」と「遅延損害金」の相手方負担です。
上乗せ①:弁護士費用相当額(賠償額の約10%)
日本の法律では、原則として「自分の弁護士費用は自分で払う」のがルールです。 しかし、交通事故のような「不法行為(被害者が一方的に損害を受けた事件)」の裁判において、被害者が勝訴判決を得た場合、例外的なルールが適用されます。
裁判所は、「加害者が事故を起こしたせいで、被害者はやむを得ず弁護士を雇うはめになったのだから、弁護士費用の一部も加害者が損害として負担すべきである」と判断します。
実務上、この加害者に負担させる弁護士費用(弁護士費用相当額)は、「認容された賠償額の約10%」と決まっています。
- (例)判決で「3,000万円」の賠償が認められた場合、その10%である「300万円」が弁護士費用相当額として上乗せされ、合計3,300万円を加害者に請求することができます。 ※あくまで「相当額」であり、実際に被害者が弁護士に払う契約額とは異なります。この上乗せ分を弁護士費用に充てることで、被害者の手出し(費用倒れ)を大きく防ぐことができます。
上乗せ②:遅延損害金(年利3%)
交通事故の賠償金は、本来であれば「事故が発生したその日」に全額支払われるべきものです。 しかし、実際には治療や後遺障害の認定、示談交渉に時間がかかり、賠償金が支払われるのは事故から1年後、2年後になるのが普通です。
法律上、これは「加害者が賠償金の支払いを遅延(借金を滞納)している状態」と同じとみなされます。 そのため、裁判で判決が下されると、「事故が発生した日」にさかのぼって、賠償金全額に対して年3%(※)の遅延損害金(利息)が加算されます。 (※令和2年4月1日以降に発生した事故の場合。それ以前の事故は年5%です)。
- (例)賠償額が「5,000万円」で、事故発生から判決が出るまでに「3年」かかった場合。 5,000万円 × 3% × 3年 = 450万円 この450万円が「利息」として賠償金にドンと上乗せされます。
「示談」と「裁判」の決定的な違い
重要なのは、この「弁護士費用相当額(10%)」と「遅延損害金」は、裁判を起こして【判決】が出た場合にしか原則として認められないということです。
裁判を起こす前の「示談交渉」の段階で、保険会社が「遅延損害金も払います」と認めることは100%ありません。保険会社からすれば「判決を出されたらこれらを強制的に上乗せされて大損するから、その前に示談で終わらせたい」と考えているのです。
「判決」ではなく「裁判上の和解」で終わる場合は?
裁判を起こしたものの、途中で裁判官から「和解案」が提示されて和解で終了した場合(裁判の約7割が和解で終わります)。 この場合、和解案の金額の中には、遅延損害金や弁護士費用の「一部」が考慮(調整金として上乗せ)されることはありますが、判決のように「キッチリ10%と年利3%を満額上乗せ」されることは少なく、少し減額して丸められる傾向にあります。
裁判を起こすべきかの判断は弁護士に
「それなら、どんな事故でも絶対に裁判を起こして判決をもらった方が得ではないか」と思われるかもしれません。 しかし、裁判には1年以上の長い時間と精神的な負担がかかります。また、裁判をした結果、もしこちらの過失割合が不利に判断されたり、後遺障害が否定されたりすれば、示談の提示額よりも低くなってしまう(敗訴リスク)もゼロではありません。
夕陽ヶ丘法律事務所では、事案の見通しを厳密に分析し、「示談で早期解決すべきか」「裁判を起こして遅延損害金等の上乗せ(徹底抗戦)を狙うべきか」、被害者にとって最も手元に残るお金が多くなる最適な戦略をご提案します。迷われている方は、ぜひ一度ご相談ください。