顔の傷・手術痕(醜状障害)の後遺障害等級基準と男女差撤廃のポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 傷の長さ
- 男女差別撤廃判例
- 仕事への影響。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
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交通事故によって顔や首、腕や脚などの露出部に傷や手術痕が残ってしまった場合、それは「醜状障害(しゅうじょうしょうがい)」として後遺障害の認定を受けることができます。特に顔の傷は精神的な苦痛も大きく、その後の人生や仕事に深刻な影響を及ぼすケースが少なくありません。
ここでは、顔の傷や手術痕に関する後遺障害の等級基準や、近年の重要な法改正である男女差撤廃の判例、そして仕事への影響について、交通事故専門弁護士の視点から詳しく解説します。
顔の傷(醜状障害)の等級基準
交通事故による顔の傷は、外貌(がいぼう:頭部、顔面部、頸部などの日常的に露出する部分)の醜状として評価されます。後遺障害の等級は、傷の大きさや形、目立ちやすさに応じて以下のように分類されます。
外貌の醜状の主な等級
顔面部などの露出部に残った傷痕については、その程度に応じて以下の等級に該当するかどうか審査されます。
- 第7級12号:外貌に著しい醜状を残すもの(手のひら大以上の傷や、直径5センチメートル以上の円形こぶなど)
- 第9級16号:外貌に相当程度の醜状を残すもの(長さ5センチメートル以上の線状痕など)
- 第12級14号:外貌に醜状を残すもの(長さ3センチメートル以上の線状痕など)
ここで重要なのは、単に「傷がある」だけでなく、それが医学的に「醜状」と評価される基準を満たしているかという点です。また、衣服に隠れる部位かどうかも判断の分かれ目となります。
男女差撤廃に至った歴史と現在の基準
かつての後遺障害認定基準では、男性と女性で外貌の醜状に対する等級や基準に大きな違いが設けられていました。「男性は顔の傷が仕事や社会生活に与える影響が女性よりも小さい」という古い社会通念に基づいていたためです。
しかし、この男女別の基準は法の下の平等に反し不合理であるとして裁判で争われ、男女差を設けた基準は違法・無効であるとする画期的な判決が下されました。
現在の公平な審査基準
この司法判断を受け、現在では等級認定の基準における男女差は完全に撤廃されています。
- 性別に関係なく、傷の大きさや長さ、位置だけで一律に審査される
- 男性であっても、女性と同等の基準で高等級の獲得が可能になった
- 過去の不合理な基準に縛られず、公平な損害賠償請求ができる
男性被害者であっても「男だからこれくらいの傷は仕方ない」と諦める必要は一切ありません。適正な基準に基づき、正当な権利を主張することが可能です。
醜状障害が仕事や日常生活に与える影響と賠償
顔の傷や手術痕は、身体的な痛みだけでなく、精神的な苦痛や社会生活上の不利益を長期にわたってもたらします。
労働能力喪失と逸失利益の主張
特に接客業、営業職、芸能関係、モデルなど、人と対面する職業においては、顔の傷が直接的な仕事への影響(労働能力の喪失)につながることがあります。
- 外見上の印象の変化により、売上や昇進に悪影響が出るケースがある
- 転職や求職活動において不利に働く可能性がある
- 後遺障害等級が認定されると、逸失利益(将来得られるはずだった収入の補償)が認められやすくなる
また、目に見える傷に対する後遺障害慰謝料は、被害者が受けた精神的苦痛の大きさに応じて支払われます。等級が上がれば上がるほど、慰謝料の金額も高額になります。
顔の傷や手術痕で適正な補償を受けるためには、事故直後からの正確な写真記録や、形成外科など専門医による適切な治療と診断書が不可欠です。少しでも疑問や不安がある場合は、交通事故に強い弁護士へ早めにご相談ください。
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