肘関節の骨折(肘頭骨折等)後の可動域制限と痛みのポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 肘の伸長・屈曲の制限角度計測。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
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交通事故で肘を強く打ったり、転倒して手をついたりした際に受傷しやすいのが、肘関節の骨折(肘頭骨折や上腕骨遠位端骨折など)です。治療が終わった後も、「肘が完全に伸びない」「曲げにくくて日常生活に支障が出る」といった後遺症に悩まされる被害者の方は少なくありません。
肘関節の可動域制限や痛みは、その後の生活や仕事に大きな影響を与えるため、適切な医学的証明と後遺障害等級認定の手続きが不可欠です。
肘関節の骨折と可動域制限が残る原因
交通事故による強い衝撃で肘周辺の骨が折れると、関節の滑らかな動きが失われます。特に肘頭骨折や関節内骨折の場合、骨が元の形状に戻らないまま癒合したり、関節面が不整になったりすることが原因で可動域制限が発生します。
また、骨折部の治癒過程や長期の固定によって、関節を包む袋(関節包)や周囲の筋肉・腱が硬くなることも大きな要因です。
肘の主な動きと正常値
肘関節の主な動きは、腕を伸ばす「伸展(しんてん)」と、腕を曲げる「屈曲(くっきょく)」です。
日常生活を送る上で必要とされる可動域は、一般的に屈曲が120度、伸展が30度制限(完全に伸びない状態から30度手前で止まる状態)程度と言われています。この基準を下回る制限が残った場合、後遺障害の対象となります。
可動域制限の角度計測方法と等級認定の基準
後遺障害として認められるためには、医師による正確な角度計測が欠かせません。計測は原則として「角度計(ゴニオメータ)」を使用し、医学的な基準に則って行われます。
計測にあたっては、以下の点に注意する必要があります。
- 他動値(医師が動かした角度)と自動値(自身の力で動かした角度)の双方を確認する
- 痛みのために動かせないのか、骨や組織の硬化によって動かないのかを区別する
- 健側(負傷していない方の肘)の可動域と比較して制限の程度を算出する
後遺障害等級の目安
肘関節の機能障害における後遺障害等級は、制限の程度に応じて以下のように区分されます。
- 上肢の三大関節中の1関節に用廃をのこすもの(8級):肘が全く動かない、またはそれに近い状態
- 関節の機能に著しい障害をのこすもの(10級):健側の可動域角度の2分の1以下に制限されている場合
- 関節の機能に障害をのこすもの(12級):健側の可動域角度の4分の3以下に制限されている場合
測定値が数度の違いで等級が変わることもあるため、主治医に対して正確な計測をしてもらうことが極めて重要です。
痛みが残る場合の対応と神経症状の申請
可動域制限の数値だけでなく、骨折部に残る「痛み」や「しびれ」も重大な後遺障害の対象となります。
レントゲンやCT画像で骨が癒合していても、軟骨の損傷やインプラント(プレート等)の刺激、周囲の神経圧迫などによって、持続的な痛みが引き起こされるケースは少なくありません。
痛みに対する後遺障害の考え方
可動域制限の基準には達しないものの、痛みが残存している場合は、「局部に神経症状を残すもの(12級13号)」または「局部に神経症状を残すもの(14級9号)」の認定を目指します。
痛みを立証するためには、MRI検査などの画像所見のほか、主治医の診断書に痛みの原因や性質を具体的に記載してもらうことがポイントになります。
肘の骨折で後遺障害を適正に認定してもらうために
肘関節の骨折後に残る可動域制限や痛みは、被害者の労働能力や日常生活の質を大きく低下させます。しかし、保険会社が提示する示談案にそのまま応じてしまうと、本来受け取れるはずの適正な賠償金を受け取れないおそれがあります。
正確な角度計測に基づいた後遺障害診断書の作成や、適切な等級認定を受けるためには、医学的知識と交通事故実務に精通した弁護士への相談が有効です。早期に専門家に相談し、適正な解決への第一歩を踏み出しましょう。
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