事故による「気管切開」の痕と発声障害のポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 頸部醜状
- 気管ステント挿入。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。
交通事故で首に甚大なダメージを受けた際、救命措置や呼吸確保のために気管切開が行われることがあります。命が助かったことは何よりですが、その後に残る「傷痕(頸部醜状)」や「声が出しづらい・変わってしまった(発声障害)」という後遺症に、深く悩まれている被害者の方は少なくありません。
交通事故の専門弁護士として、これらの後遺症が適正な賠償を受けるためにどのように評価されるのか、詳しく解説していきます。
気管切開の痕が残す「頸部醜状」と後遺障害等級
交通事故で首を切開した痕や、気管ステントを挿入した手術痕は、治療が終わった後も消えない痕として残ることがあります。このような見た目の変化は、損害賠償実務において外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)または頸部醜状(けいぶしゅうじょう)として扱われます。
露出面と醜状の認定基準
首(頸部)は、顔面とともに日常生活で露出する部位です。労災および自賠責保険の後遺障害等級表において、外貌(顔面・頭部・頸部)に残る傷痕の大きさや形状によって、以下のように等級が定められています。
- 7級12号:外貌に著しい醜状を残すもの(手のひら大以上の傷痕など)
- 12級14号:外貌に相当程度の醜状を残すもの(長さ5センチメートル以上の線状痕など)
- 14級4号:外貌に醜状を残すもの(長さ3センチメートル以上の線状痕など)
なお、女性の場合は男性と比較して社会的評価への影響が大きいと判断され、等級や慰謝料の算定において有利に考慮されるケースもあります。傷の長さや幅、色調の変化を正確に医師にカルテや診断書へ記載してもらうことが、適正な等級認定への第一歩となります。
気管ステント挿入と発声障害の法的評価
気管の狭窄(きょうさく)などを防ぐために気管ステントを挿入した場合や、気管切開の影響が声帯や神経に及んだ場合、発声障害や呼吸機能の低下といった機能障害が残ることがあります。
発声障害(音声障害)の等級認定
声が出にくい、かすれる、あるいは全く発声できないといった症状は、神経系統の機能または精神の障害、あるいは胸腹部臓器の障害の一環として評価されます。
- 音声障害の程度や、日常生活への支障の大きさを客관的に証明するためには、耳鼻咽喉科での音声検査や、言語聴覚士による評価が不可欠です。
- 声は仕事やコミュニケーションにおいて極めて重要な要素であるため、労働能力喪失の評価においても慎重な主張が求められます。
呼吸機能障害の評価
気管ステントの挿入や気管の変形によって呼吸が制限される場合、スパイロメトリーなどの肺機能検査を行い、呼吸器の機能障害として等級(3級、5級、7級、9級、11級など)を目指すことになります。
醜状障害と機能障害の併合について
交通事故の被害者が「首の傷痕(見た目)」と「発声障害や呼吸障害(身体の機能)」の両方を負った場合、それぞれ個別の後遺障害として申請することができます。
併合手続きの重要性
自賠責保険の審査では、複数の後遺障害が残った場合、原則として併合というルールを用いて最終的な等級を決定します。
- 外貌醜状(例:12級)と神経・呼吸器の機能障害(例:12級や14級など)がそれぞれ認定された場合、併合によってより上位の等級(例:11級など)に繰り上げられる可能性があります。
- 損害賠償額(特に後遺障害慰謝料や逸失利益)は等級が1つ上がるだけでも数百万円単位で変わることがあるため、すべての症状をもれなく主張することが極めて重要です。
被害者が留意すべき実務上のポイント
事故直後は命を救うことが最優先されるため、首の傷痕や声の異常について、医師も十分にカルテへ記載できていない場合があります。
医師とのコミュニケーションと証拠固め
後遺障害診断書を作成してもらう段階で、以下の点を必ず主治医に伝えましょう。
- 首の傷の正確な長さ、幅、色、ケロイド化の有無
- 声が出にくい、または以前と声質が変わってしまった時期と現状の正確な症状
- 気管ステントによる圧迫感や呼吸困難感の有無
また、写真撮影の際は、傷痕の大きさが客観的に分かるようにスケール(物差し)を当てて撮影しておくことも有効です。保険会社から提示される示談案に安易にサインする前に、交通事故に精通した弁護士へご相談いただき、適正な等級と賠償金が確保されているか確認することをおすすめします。
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