高速自動車国道や自動車専用道路(以下、高速道路)は、車が時速80km〜100kmという極めて速いスピードで走行することを前提に作られた特別な道路です。
そのため、歩行者や自転車が存在せず、交差点もないという点で一般道とは事故の形態が異なりますが、いざ事故が起きると大惨事になりやすいのが特徴です。 高速道路での事故の過失割合は、「高速走行を前提とした厳しいルール(駐停車の原則禁止、車間距離の保持など)」に基づいて決定されます。ここでは代表的な3つの事故パターンの過失割合を解説します。
1. 高速道路上での「駐停車」への追突事故
高速道路の本線上では、危険防止などのやむを得ない理由がない限り、車を駐停車することが法律(道交法75条の8)で固く禁じられています。 それにもかかわらず、本線上に止まっていた車(先行車)に、後ろから走ってきた車(後続車)が追突してしまった場合の過失割合は、非常に複雑です。
① 「やむを得ない理由」で止まっていた場合(渋滞・事故など)
先行車が、前方の渋滞や事故を避けるため、あるいは自身の事故により動けなくなって停止していた場合。
- 基本割合【停止した先行車:0%、追突した後続車:100%】
- 渋滞の最後尾への追突は、完全に後続車の前方不注意(または車間距離不保持)とされ、100対0になります。
② 「理由なく(または過失で)」止まっていた場合(ガス欠・故障など)
先行車が、単なるガス欠や整備不良による故障などで本線上に停止し、かつハザードランプや三角表示板などで後続車に危険を知らせる義務(退避・警告義務)を怠っていた場合。
- 基本割合【停止した先行車:40%、追突した後続車:60%】
- 「高速道路で止まる方が悪い」と思いがちですが、追突した後続車の方に「前を見ていれば避けられたはずだ」として重い過失(60%)が問われます。
- ただし、先行車が三角表示板などをしっかり立てていたのに追突した場合は、後続車の過失が「80%〜100%」へと加重されます。
2. インターチェンジなどの「合流地点」での事故
インターチェンジやサービスエリアから本線に合流しようとする車(A)と、すでに本線を走っている車(B)が衝突した場合。
法律上、合流しようとする車は、本線を走っている車の進行を妨げてはならない(本線優先の原則)と定められています。
- 基本割合【合流車(A):70%、本線車(B):30%】
- 合流する側に重い責任がありますが、本線側にも「合流してくる車に注意してスピードを調整する義務」があるため、100対0にはならず30%の過失が問われます。
3. 高速道路上の「落下物」への衝突事故
トラックの荷台から落ちた積荷や、外れたタイヤなどの「落下物」に乗り上げて事故を起こした場合。
落とした側(落下主)が特定できている場合、道路に物を落として危険を生じさせた責任は極めて重くなります。
- 基本割合【落下主:60%、乗り上げた後続車:40%】
- 落下主が悪いのは当然ですが、後続車にも「車間距離を十分にとり、前方を見ていれば落下物を発見して避けられたはず」として40%の過失が問われます。
- ただし、夜間で落下物が見えにくかった場合や、前の車が急に避けて落下物が突如現れた場合などは、後続車に有利な「修正要素」として働き、過失割合が10%〜20%程度軽減される可能性があります。
ドライブレコーダーがないと「言った者勝ち」になる危険性
高速道路での事故、特に合流時の接触や、無理な車線変更(割り込み)による事故の場合、お互いのスピードが速いため、「相手がウインカーを出さずに急に割り込んできた」「いや、十分な距離をとって車線変更したのに後ろからぶつけてきた」と、主張が真っ向から対立することが頻発します。
目撃者もそのまま通り過ぎてしまうことが多いため、ドライブレコーダーの映像がなければ真実を証明することは困難です。 保険会社から提示された「高速道路の基本過失割合」に納得がいかない場合、安易に示談に応じず、まずは夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください。車の損傷の傷跡(衝突角度など)や警察の実況見分調書から事故状況を論理的に再構築し、妥当な過失割合を勝ち取るためのサポートを行います。