「物件事故報告書」と「実況見分調書」の違いと過失割合への影響のポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 簡易な物件事故証明の限界
- 人身切り替えの必要性。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。
交通事故に遭った際、警察が作成する書類の扱いは、その後の示談交渉や損害賠償請求において極めて重要な意味を持ちます。特に「物件事故」として処理されたままになっている場合、被害者にとって不利な状況が生じることが少なくありません。
この記事では、物件事故報告書と実況見分調書の決定的な違いや、過失割合への影響、そして「人身切り替え」の必要性について、交通事故専門弁護士の視点から分かりやすく解説します。
物件事故報告書と実況見分調書の基本的な違い
警察が作成する事故証明書には、大きく分けて物件事故と人身事故の2種類があります。それぞれの書類が持つ性質と記載内容には大きな違いがあります。
物件事故報告書(物件事故証明書)とは
物件事故とは、負傷者がおらず、物的損害(車の破損など)のみが発生した事故のことです。この場合、警察は「交通事故証明書」を発行しますが、そのベースとなるのは簡易的な「物件事故報告書」です。
物件事故証明書には、当事者の連絡先や車両の損壊程度、発生場所などは記載されますが、「どのように事故が起きたのか」という具体的な過失の有無や原因についての詳しい記載はほとんどありません。そのため、事故の詳細を証明する客観的な証拠としては不十分と言わざるを得ません。
実況見分調書とは
一方で、人身事故として処理された場合に作成されるのが実況見分調書です。これは、警察が事故現場で当事者立ち会いのもと、車両の位置やブレーキ痕、視界などを実測し、事故の状況を詳細に記録した刑事記録です。
実況見分調書には、事故の具体的な原因や当事者の動きが克明に記されており、裁判や示談交渉において非常に強力な証拠として扱われます。
事故証明が過失割合に与える影響
交通事故の示談交渉において、最も揉めやすいのが当事者間の「過失割合(責任の度合い)」です。この過失割合の決定において、警察の作成する書類は決定的な影響力を持ちます。
物件事故だと過失割合の立証が困難になる理由
物件事故のままでいると、警察が事故の詳細な実況見分を行っていないため、保険会社同士の話し合いが「言った・言わない」の水掛け論になりやすくなります。
相手方が「自分は悪くない」「相手のスピード違反が原因だ」などと主張を変えてきた場合、物件事故報告書だけでは客観的な反証が難しくなり、本来得られるべき適切な過失割合を獲得できなくなるリスクが高まります。
実況見分調書が持つ証拠としての価値
これに対し、実況見分調書が存在していれば、客観的な事実に基づいた過失割合の主張が可能になります。
- 道路の状況や一時停止などの規制標識が明確になる
- 衝突時の位置関係やブレーキの有無が客観的に証明される
- 相手方の嘘や矛盾した主張を論理的に崩すことができる
このように、過失割合を有利に進めるためには、警察に正確な事故状況を記録してもらうことが不可欠なのです。
被害者が取るべき「人身切り替え」のステップ
もし事故当初に「大したケガではないから」と警察に告げて物件事故として処理されてしまっても、後から人身事故へ切り替えることは可能です。適切な賠償を受けるために、以下の手順を踏みましょう。
医師の診断書を取得する
まずは速やかに病院を受診し、医師の診察を受けて診断書を取得してください。交通事故による痛みや違和感は、数日経ってから現れることも少なくありません。
警察署へ診断書を提出し切り替えを依頼する
取得した診断書を、事故を管轄する警察署の交通課へ持参し、「人身事故への切り替えをお願いしたい」と申し出ます。
- 事故から時間が経ちすぎていると、事故とケガの因果関係が疑われることがあるため、受診や切り替えはできるだけ早めに行うことが大切です。
- 警察が受理すると、改めて実況見分が行われるか、既存の記録を基に人身事故への切り替え手続きが進められます。
物件事故のままで示談を進めてしまうと、後から覆すことは極めて困難になります。少しでも体に痛みがある場合は、泣き寝入りすることなく、人身事故への切り替えを行いましょう。過失割合や損害賠償金のことでお悩みの場合は、早い段階で交通事故に強い弁護士へ相談することをおすすめします。
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