交通事故で「自宅の買い替え(引っ越し)」費用

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、弁護士による交通事故示談交渉・後遺障害等級認定の実務経験に基づき、最新の法令および裁判所基準(弁護士基準)に沿ってわかりやすく解説しています。

交通事故で「自宅の買い替え(引っ越し)」費用のポイント

交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。

  • 車椅子生活に伴う移転費用。

弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて

交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。

2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。

交通事故の被害により、車椅子での生活を余儀なくされたり、重度な後遺障害が残ったりした場合、これまでの自宅での生活が困難になるケースは少なくありません。玄関の段差、狭い廊下、浴室やトイレの構造など、自宅の改修が必要になるだけでなく、物理的に改修が不可能で「自宅の買い替え(引っ越し)」を迫られることもあります。

このような状況において、被害者やそのご家族にとって大きな負担となるのが引っ越し費用や住宅購入に関わる諸費用です。結論から申し上げますと、交通事故による自宅の買い替え(引っ越し)費用は、一定の要件を満たすことで加害者に請求できる可能性があります

この記事では、損害賠償実務の観点から、車椅子生活に伴う移転費用が認められる条件や、請求できる具体的な費用の範囲について詳しく解説します。

Q 交通事故で車椅子生活になり自宅の買い替えや引っ越しが必要になった場合、費用は加害者に請求できるのか?
A 【請求の可否と条件】交通事故による受傷で車椅子生活を余儀なくされ、従前の自宅での生活が物理的・構造的に困難となった場合、引っ越し費用や自宅の買い替えに伴う諸費用は、その必要性と相当因果関係が認められれば損害賠償として請求可能です。ただし、全額が無条件に認められるわけではなく、自宅のバリアフリー改修工事との経済的な比較や、新旧住宅の価格差・利便性の差異などが厳しく審査されます。
【適正な賠償金を受け取るための対処法】保険会社は「自宅改修で対応可能」として引っ越し費用の支払いを拒否してくるケースが多いため、医師の診断書による医学的な必要性の立証や、建築士の意見書等を準備することが重要です。泣き寝入りせず、損害賠償実務や後遺障害等級認定に精通した弁護士に早期に相談し、弁護士基準(裁判所基準)に基づいた適正な示談金交渉を行いましょう。

自宅の買い替え(引っ越し)費用が認められるための法的要件

交通事故と引っ越し費用との間に「相当因果関係」が認められるかどうかが、法的な最大の焦点となります。裁判実務において、移転費用が損害として認められるためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

1. 移転の高度な必要性があること

単に「新しい家に住みたい」「環境を変えたい」という主観的な理由では、賠償金として認められません。事故による受傷(脊髄損傷による車椅子生活など)の結果、現在の家屋構造では生活が物理的に不可能であり、医学的・生活上の観点から転居が不可避であることが必要です。主治医の意見書や、ケアマネージャーによる生活環境アセスメントなどが重要な証拠となります。

2. 自宅改修では対応できないこと

バリアフリー工事(スロープの設置、段差の解消、ドアの引き戸への変更、水回りの拡張など)を行うことで対応できる場合は、原則として自宅改修費用が優先されます。しかし、建築構造上の問題や賃貸物件であることなどの理由から、改修工事を行うことが物理的あるいは経済的に不可能な場合に初めて、自宅の買い替えや引っ越しが検討されます。

請求できる具体的な費用の範囲と注意点

自宅の買い替えや引っ越しを行う場合、すべての支出が相手方の保険会社から支払われるわけではありません。実務上、どのような項目が請求対象となり、どのような点に注意すべきかを把握しておくことが重要です。

請求できる費用の主な項目

引っ越しに関連して発生する費用には、以下のようなものがあります。

  • 移転作業にかかる費用(引越し業者の運賃、作業員の人件費など)
  • 不動産の仲介手数料や契約更新料、火災保険料などの諸費用
  • 新居への入居に伴う一時金(敷金・礼金の差額など、合理的な範囲内)
  • 新居のバリアフリー工事費用(※改修を行っていなかった場合)

自宅購入・買い替えにおける損益相殺の考え方

賃貸住宅からの引っ越しであれば比較的スムーズに認められやすいですが、「持ち家からの買い替え」となると話は複雑になります。

自宅を買い替える場合、古い自宅を売却して得た売却代金が手に入ります。そのため、裁判所は「新しい家を買った全額」を損害とは認めません。基本的には、旧自宅の売却価格と新自宅の購入価格の差額や、買い替えに伴って余分に発生した諸経費、さらには住宅ローンの借り換えに伴う不利益などが考慮されます。

また、新しい家を取得することによって被害者が得た利益(資産価値の向上など)がある場合、公平の観点から一定の控除(損益相殺)が行われるケースもあります。

保険会社との交渉を有利に進めるためのポイント

自宅の買い替えや引っ越し費用は高額になりがちであるため、保険会社は支払いを渋ったり、減額を提案してきたりすることが少なくありません。「賃貸で十分ではないか」「高額すぎる」と主張されるケースも多々あります。

適正な賠償金を受け取るためには、以下の準備が不可欠です。

  • 車椅子での生活に現在の自宅が不適格であることを示す資料(図面や写真)を揃える
  • 改修工事の見積もりと、買い替え・引っ越しの見積もりを複数取得し、買い替えの方が合理的であることを証明する
  • 医師の診断書や後遺障害等級認定の結果をもとに、身体機能の制限を明確にする

交通事故に伴う住宅環境の変更は、今後の生活の質(QOL)を左右する極めて重要な問題です。保険会社の提示する基準だけで諦めてしまわず、交通事故に強い弁護士に早い段階で相談し、法的な妥当性に基づいた適正な請求を行うことを強くおすすめします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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