会社経営者が「自分の代わりに臨時の社員」を雇った費用のポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 経営者休損に代わる代替人件費賠償。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。
交通事故によって会社経営者が負傷し、事業を休業せざるを得なくなった場合、大きな問題となるのが「会社の売上や自身の収入の補填」です。一般の給与所得者と異なり、経営者は「休業損害」の算出方法が複雑になります。
その中で、経営者自身が働く代わりに臨時の従業員(代替人件費)を雇った場合、その費用を相手方の保険会社に請求できるのかどうかは、実務上非常に重要なポイントです。この代替人件費が賠償の対象となるのか、法律上の条件と実務対応について詳しく解説します。
会社経営者の休損と「代替人件費」の基本概念
交通事故の被害者が会社経営者である場合、休業損害の請求方法にはいくつかの選択肢があります。その一つが、自身が休んだことによる「現実の収入減」を請求する方法です。しかし、会社の規模や事業内容によっては、経営者個人の給与を簡単に下げられないケースや、事業を継続するために他者の労働力を急遽確保しなければならない事態が生じます。
ここで問題となるのが「代替人件費(だいたいじんけんひ)」です。経営者の労働力の穴を埋めるために臨時の社員を雇い入れた場合、その人件費を損害として加害者に請求できるのかという法的解釈が問われます。
代替人件費が認められる法的な根拠
損害賠償法(民法709条)の原則に基づき、被害者が被った「相当因果関係のある損害」は加害者に請求できます。経営者が負傷したことにより、会社の事業継続や売上維持のために臨時の人員を配置せざるを得ず、実際に給与等を支払った場合、その費用は事故と因果関係のある経済的損害とみなされます。
ただし、どのような場合でも全額が無条件に認められるわけではなく、法的な要件を満たしていることが厳格に審査されます。
代替人件費の請求が認められるための重要な要件
臨時の社員を雇った費用を相手方保険会社に認めさせるためには、いくつかのハードルをクリアしなければなりません。適正な賠償金を受け取るために、以下の要件を確認しておきましょう。
1. 業務遂行における「必要不可欠性」
もっとも重視されるのが、その代替人員の雇用が本当に必要不可欠であったかという点です。
- 経営者自身が現場の作業や営業の最前線に立っており、その労働力が直接的に売上を生み出していたこと。
- 他の既存の従業員ではその穴埋めがどうしてもできなかったこと。
これらが証明できない場合、「単に会社が規模拡大のために人を増やしただけではないか」と保険会社から反論されるおそれがあります。
2. 現実に臨時雇用し、費用を支払っていること
代替人件費は、実際に「雇い入れて給与を支払ったという実費」であることが大前提です。
- 雇用契約書が正しく交わされていること。
- タイムカードや賃金台帳、給与振込の履歴などの客観的な証拠が存在すること。
- 家族を従業員として雇った形式にしている場合、実際の勤務実態や給与の相当性が厳しくチェックされるため、より一層の証明資料が必要です。
3. 「本人自身の休業損害」との二重請求の禁止
ここが実務上最も注意すべき点です。経営者であるあなた自身が「私の休業損害(役員報酬の減額分や逸失利益)」をフルで請求しながら、同時に「臨時の社員を雇った費用(代替人件費)」の全額を請求することは、損害の二重取りとみなされ認められません。
裁判例の傾向としても、以下のような調整が行われます。
- 代替人件費を全額認める代わりに、経営者個人の休業損害は減額する。
- もしくは、会社全体の利益減少額と代替人件費のバランスを見て、合理的な範囲内の金額に限定して認定する。
会社の規模や、経営者の役割が「労働提供型」か「純粋な資本家・投資型」かによっても判断が分かれるため、慎重な法的分析が求められます。
代替人件費を請求する際の実務上の注意点と弁護士の役割
会社経営者の交通事故における損害賠償請求は、個人の示談交渉とは異なり、決算書、確定申告書、法人の売上台帳、雇用関係の証明など、膨大で専門的な資料の提出が必要になります。
保険会社は、会社の利益構造や役員報酬の仕組みについて素人である被害者に対し、支払いを渋る傾向があります。「臨時の人を雇ったけれど認められなかった」という事態を避けるために、以下のステップを踏みましょう。
証拠書類を徹底的に残す
事故直後から、臨時雇用した社員の業務内容、勤務記録、支払った賃金の証拠を確実に保管してください。また、経営者本人がどのように業務から離れざるを得なかったのかを示す医師の診断書や作業日報も重要な証拠となります。
交通事故に強い弁護士への相談
会社経営者の休業損害や代替人件費の請求は、個別の事業形態によって主張の組み立て方が180度変わります。適正な賠償額を勝ち取るためには、企業の財務や損害賠償法務に精通した交通事故専門の弁護士に早い段階で相談し、法的に妥当な請求額を算出して交渉を任せるのが最も確実な解決策といえます。
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