交通事故の治療が終了(症状固定)すると、しばらくして加害者の任意保険会社から「損害賠償額のご提示(示談案)」という書類が送られてきます。
そこには、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料などの項目が細かく記載され、いかにも「専門的で正当な計算」がされているように見えます。担当者も「当社の規定に基づく最大限の金額です」と丁寧に説明してくるでしょう。
しかし、この書類に書かれている慰謝料の金額は、適正な相場からかけ離れた極めて低い金額です。この数字の正体こそが、保険会社が自社の利益を守るために作った「任意保険基準」なのです。
交通事故における「3つの基準」のおさらい
交通事故の慰謝料計算には、金額が低い順に以下の3つの基準が存在します。
- 自賠責基準(国が定めた最低限の補償。被害者救済の最低ライン)
- 任意保険基準(各保険会社が独自に定めている非公開の内部基準)
- 弁護士基準・裁判基準(過去の判例に基づく適正で法的な基準。最も高額)
「任意保険基準」の正体とは?
かつて(平成11年頃まで)は、すべての保険会社が共通の統一基準を用いていました。しかし現在ではその基準は撤廃され、各保険会社が自由に慰謝料の計算基準を設定しています。これが「任意保険基準」です。
保険会社は営利企業です。被害者に支払う賠償金を少なくすればするほど、会社の利益(利益率)は大きくなります。そのため、任意保険基準による慰謝料の提示額は、自賠責基準(最低ライン)に毛が生えた程度の金額か、場合によっては自賠責基準と全く同じ金額に設定されています。
なぜ自賠責基準と同額で提示してくるのか?
保険会社は、被害者に支払った賠償金のうち、自賠責基準の範囲内の金額(傷害部分で120万円まで)については、後から自賠責保険(国)に全額請求して回収することができます。 つまり、保険会社の「自腹」を切らずに済む金額内で示談をまとめようとするため、被害者に対して自賠責基準ギリギリの金額を「任意保険基準」として提示してくるケースが非常に多いのです。
被害者が個人で交渉しても「弁護士基準」にはならない
保険会社から低い提示を受けた被害者が、インターネットで調べて「弁護士基準(裁判基準)ではもっと高いはずだ!この金額では納得できない!」と担当者に直接抗議したとします。
しかし、相手の担当者は交渉のプロです。「お客様のおっしゃる弁護士基準は、あくまで弁護士が裁判を起こした場合の基準です。個人のお客様同士の示談交渉では、当社の基準でしかお支払いできません」と冷たくあしらわれ、少しだけ金額を上乗せ(数万円程度)して、示談を急がせようとします。 保険会社は、「素人の被害者が、自力で面倒な裁判を起こすわけがない」と高を括っているのです。
弁護士が介入するだけで態度が一変する理由
このように足元を見られている状況を打破する唯一かつ最強の方法が、「弁護士に依頼し、代理人として交渉させること」です。
夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が受任通知を保険会社に送ると、担当者の態度は一変します。 なぜなら、弁護士が出てきたということは「このまま不当な低額提示を続ければ、本当に裁判を起こされ、最終的には裁判所に高額な弁護士基準での支払いを命じられる上に、遅延損害金(利息)や弁護士費用の一部まで負担させられる」という明確なリスクを保険会社が突きつけられるからです。
その結果、保険会社は裁判を回避するため、示談交渉の段階であっさりと弁護士基準(またはその9割程度の金額)への大幅な増額に応じるのです。
保険会社から送られてきた示談書にサインをしてしまうと、後から「やっぱり弁護士基準で払い直してくれ」と言っても絶対に覆りません。示談書(免責証書)が届いたら、サインをする前に必ず当事務所の無料査定サービス・無料相談をご利用ください。