交通事故の示談交渉において、「自分は一時停止した」「いや、止まらずに突っ込んできた」「信号は青だった」「そっちが赤だ」と、当事者双方の主張が真っ向から対立し、水掛け論に陥るケースは日常茶飯事です。
加害者(保険会社)は、自分の支払いを少しでも減らすために平気で嘘をつくことがあります。この水掛け論を打ち破り、自分が正しいこと(過失が少ないこと)を証明するためには、言葉ではなく客観的な「証拠」がすべてです。
最も強力な証拠は言うまでもなく「ドライブレコーダーの映像」ですが、もし自分の車にドラレコが付いていなかった場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか?
ドライブレコーダーに代わる「3つの決定的な証拠」
自分にドラレコがなくても、以下の証拠を集めることができれば、過失割合をひっくり返すことは十分に可能です。
1. 周辺店舗等の「防犯カメラ映像」
事故現場の交差点に面したコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、マンション、個人の住宅などに設置されている防犯カメラに、事故の瞬間が映り込んでいるケースが非常に増えています。 これが確保できれば、ドラレコと同等の決定的な証拠となります。
【映像確保の最大の壁と「タイムリミット」】 防犯カメラのデータは、容量の都合で「数日から1週間程度で上書き消去」されてしまうものが大半です。事故に遭ったら一刻も早く映像を確保しなければなりません。 しかし、被害者本人がコンビニの店長に「カメラの映像を見せてください」と頼んでも、ほぼ100%「警察から言われないと見せられません(個人情報保護のため)」と断られます。
【解決策】 すぐに弁護士に依頼し、「弁護士会照会(弁護士法23条の2に基づく公的な情報照会制度)」を利用して店舗に映像の提出を求めたり、店舗に対して「上書きをせずにデータを保存しておいてほしい」と弁護士名で強く要請(証拠保全の準備)を行う必要があります。スピードが命です。
2. 「車の損傷箇所」から物理的に証明する
「相手がスピードを出して突っ込んできた」「相手が無理に車線変更をしてきた」という事実は、車の「傷のつき方」を見れば嘘がバレることがあります。
- 衝突角度や傷の深さ:物理法則(工学鑑定)に基づき、どちらがどれくらいのスピードでぶつかったのかを計算します。
- 塗料の付着方向:傷が前から後ろについているのか、後ろから前についているのかで、どちらが動いていたのか(あるいは停止していたのか)を証明します。 車の修理を始める前に、あらゆる角度から損傷箇所の写真を撮影しておくことが重要です。
3. 目撃者の証言
事故現場で第三者(通りすがりの歩行者や後続車の運転手など)が目撃していた場合、その人の証言は利害関係がないため非常に強力な証拠となります。事故直後に名刺をもらったり、連絡先を聞いておくことが鉄則です。
警察の「実況見分調書」は絶対ではない
人身事故になると、警察が現場で事故状況を記録した「実況見分調書」が作成されます。保険会社は通常、この調書をベースにして過失割合を決定します。
しかし、被害者が救急車で運ばれて現場にいない間に、加害者の「自分に都合の良い嘘の証言」だけを元に実況見分調書が作られてしまうことがあります。 一度作成された調書を覆すのは容易ではありませんが、上述した防犯カメラ映像や物理的な矛盾点を弁護士が綿密に解析し、裁判で警察の調書の誤りを立証することは決して不可能ではありません。
「自分は悪くないのに、相手が嘘をついている」「警察の調書がおかしい」と悔しい思いをされている方は、映像データが消えてしまう前に、一刻も早く夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください。証拠集めの初動から徹底的にサポートいたします。