スーパーマーケット、コンビニ、ショッピングモールの駐車場内で発生する交通事故は、通常の公道での事故とは少し異なる厄介な特徴を持っています。
駐車場事故はスピードが出ていないため大きなケガ(人身事故)になりにくい反面、「過失割合の決定」においては公道以上に揉めるケースが非常に多いのです。ここでは、駐車場内事故特有のルールと対策を解説します。
なぜ駐車場内の事故は過失割合で揉めるのか?
駐車場での事故が揉めやすい最大の理由は、「明確な交通ルール(センターライン、信号、一時停止の標識など)が存在しないから」です。
公道であれば「赤信号を無視したから過失100%」と明確に線引きできますが、駐車場のような私有地内(※不特定多数が利用する場合は道交法上の「道路」とみなされますが、実質的な標識は法的な効力を持たないことが多い)では、双方が「自分はルールを守っていた(相手が突っ込んできた)」と主張し合い、水掛け論になりやすいのです。
駐車場事故の代表的なパターンと基本の過失割合
過去の裁判例から、駐車場内の事故もいくつかのパターンに分類され、基本の過失割合が設定されています。
1. 四輪車同士の「バック(後退)」の接触事故
駐車場で最も多いのが、駐車スペースに入れようとバックした車と、出ようとバックした車が接触するケース、あるいは通路を走行している車にバックで出ようとした車が接触するケースです。
- バック同士の事故: 基本は50対50です。双方が死角となる後方の確認義務を怠ったとみなされます。
- バック車 vs 通路を直進する車: 基本はバック車70:直進車30などになります。「通路を直進している車」の方が優先度が高く保護されます。
2. 通路の交差部分での「出会い頭」事故
駐車場内の通路が交差する場所での事故です。公道のような「左方優先」や「広い道路優先」のルールを適用しづらいため、基本的には50対50からスタートし、それぞれの徐行義務違反や見落としの程度によって修正要素を加味していくことになります。
3. 駐車スペースに「完全に停止している車」への接触
完全に駐車枠内に停まっている(エンジンを切っている、あるいは駐車完了している)車にぶつかった場合は、当然ながらぶつかった側が過失100%(10対0)となります。
「50対50」を覆すための修正要素
保険会社は、駐車場内の事故と聞くとすぐに「お互い様ですから50対50ですね」と済ませようとする傾向があります。しかし、具体的な状況によっては過失割合を有利に修正することが可能です。
【過失を有利に修正できるポイント(立証が必要)】
- 完全停止の立証: 相手が迫ってくるのに気づき、危険を回避するためにクラクションを鳴らして「完全に停止して待っていた」のに相手がぶつかってきた場合、過失は大きく下がります(0になる可能性もあります)。
- 通路の優先性: 駐車場のメインの通路(幹線通路)を走っていた場合、支線通路から出てきた車よりも優先されるべきと主張できます。
- 一時停止の無視: 駐車場内にペイントされた「止まれ」の表示は法的な一時停止標識ではありませんが、それを無視して飛び出してきた相手には安全配慮義務違反(著しい過失)を問うことができます。
これらの修正要素を認めさせるためには、ドライブレコーダーの映像や、駐車場の防犯カメラ映像が必須となります。駐車場で事故が起きた場合は、すぐに店舗の管理者に「防犯カメラの映像を消さずに保存しておいてほしい」と要請することが重要です。
駐車場事故で「お互い様」で済まされそうになり納得がいかない方は、客観的証拠の分析を得意とする夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください。