交通事故の後遺障害申請を行い、何ヶ月も待った結果、届いた通知書に「非該当(等級には当てはまらない)」と書かれていて絶望する被害者の方は少なくありません。
しかし、最初に出た結果が絶対ではありません。審査機関の判断に不服がある場合は、「異議申し立て(いぎもうしたて)」を行って再審査を求めることができます。ここでは、異議申し立てを成功させて結果を覆すための正しい手順を解説します。
異議申し立てが失敗する「よくあるパターン」
異議申し立ての成功率は一般的に10%未満と言われるほど狭き門ですが、失敗する人の多くは「間違ったやり方」をしています。
最もやってはいけないのが、「私はこんなに痛いんです!審査が間違っています!」という被害者の感情的な手紙(陳述書)だけを添えて、同じ診断書でもう一度申請してしまうことです。 後遺障害の審査は「医学的・客観的な証拠」のみで判断されます。被害者の主観的な痛みの訴えだけでは、絶対に結果は覆りません。
異議申し立てを成功に導く4つのステップ
結果を覆すためには、以下のステップを踏んで周到な準備を行う必要があります。
Step 1: 「非該当理由書」を徹底的に分析する
結果通知書には、必ず「なぜ非該当になったのか」の理由が書かれています。
- 「他覚的所見に乏しい(画像で異常が見えない)」
- 「通院期間・頻度が少ない」
- 「症状の連続性がない(通院が途切れている)」 など、自賠責側が「足りない」と判断したポイント(弱点)を正確に把握することがすべての出発点です。
Step 2: カルテの全件開示(取り寄せ)を行う
後遺障害診断書には書かれていなかった「被害者に有利な事実」を探すため、事故直後から症状固定までのすべてのカルテ、看護記録、リハビリ記録のコピーを病院から取り寄せ(開示請求)ます。 カルテの中に「事故直後からずっと同じ部位の痛みを訴え続けていた記録」や「診断書に書き漏れていた神経学的テストの異常所見」が見つかれば、強力な反論材料になります。
Step 3: 新たな「医学的証拠(医師の意見書等)」を獲得する
ここが最も重要です。Step 1で判明した弱点を補うための「新しい客観的証拠」を用意します。
- 新たな画像検査: MRIを撮っていなかった場合は新たに撮影する。画質の荒いMRIだった場合は、より高性能な機器(3.0テスラ等)がある病院で撮り直す。
- 医師の意見書(照会回答書): 「画像には現れにくいが、治療経過からみて神経症状が残存しているのは医学的に妥当である」といった主治医の専門的な見解をまとめた意見書を作成してもらう。
- 画像鑑定報告書: 専門の放射線科医にMRI画像を鑑定してもらい、「ここに神経圧迫の所見がある」というレポートを作成してもらう。
Step 4: 弁護士が論理的な「異議申立書」を作成し提出する
集めた新たな証拠に基づき、「なぜ前回の認定が間違っており、今回の証拠によって何級が認定されるべきか」を論理的・法的に構築した「異議申立書」を作成し、自賠責損害調査事務所へ提出します。
異議申し立ては「交通事故専門の弁護士」の腕の見せ所
お分かりの通り、異議申し立ての手続きは極めて高度な医学的・法的知識が要求されます。「どの検査を追加すべきか」「医師にどう頼んで意見書を書いてもらうか」は、数多くの交通事故事案を解決してきた弁護士でなければ判断できません。
一度「非該当」になってしまったからといって諦める前に、その結果通知書と後遺障害診断書のコピーを持って、夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください。私たちが反撃の糸口を見つけ出します。