弁護士が使う「赤本」「青本」とは?
裁判基準のバイブルを解説

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、弁護士による交通事故示談交渉・後遺障害等級認定の実務経験に基づき、最新の法令および裁判所基準(弁護士基準)に沿ってわかりやすく解説しています。

交通事故の慰謝料についてインターネットで調べていると、「赤本(あかほん)」「青本(あおほん)」という言葉を頻繁に目にすると思います。

これらは、交通事故の損害賠償問題を扱う弁護士や裁判官にとって、なくてはならない「実務のバイブル(基準書)」です。ここでは、赤本と青本の正体と、示談交渉における絶大な影響力について解説します。

Q 交通事故の示談交渉でよく聞く「赤本」とは何ですか?青本との違いや慰謝料増額への影響を教えてください。
A 【赤本とは】赤本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)とは、過去の膨大な裁判例をもとに慰謝料や逸失利益などの算定基準をまとめた「裁判基準(弁護士基準)」のバイブルであり、保険会社が提示する低額な任意保険基準とは異なり、被害者が本来受け取るべき最高額の賠償額を算出するための最強の基準です。
【損をしないための対策】保険会社の最初の提示額は自賠責基準や独自基準であり、赤本(弁護士基準)とは数倍の差が生じるケースが多々あります。個人で保険会社と交渉しても赤本基準を引き出すことは極めて困難なため、交通事故に強い弁護士に示談交渉を依頼し、赤本基準に基づいた適正な賠償金を請求することが最も確実で損をしない解決策となります。

「赤本」とは何か?(最強の裁判基準)

交通事故実務で最も重要視されているのが「赤本」です。 正式名称は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」といい、公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部が毎年発行している、表紙が真っ赤な分厚い本です。

赤本には何が書かれているのか?

赤本には、過去の東京地裁における交通事故の膨大な裁判例(判例)を分析し、「どのようなケガで何日通院したら、慰謝料はいくらが妥当か」「後遺障害何級なら、慰謝料はいくらか」といった「裁判所の相場(裁判基準・弁護士基準)」が表や基準として明確にまとめられています。

全国どこでも通用する最強の基準

元々は東京地裁の基準として作られましたが、現在では日本全国の裁判所や弁護士が、交通事故の損害賠償額を算定する際の「事実上の全国標準ルール」として使用しています。 弁護士が「弁護士基準で計算すると慰謝料はこれだけ増額しますよ」と言うときの根拠は、100%、この赤本の算定表に基づいています。

「青本」とは何か?

青本(あおほん)の正式名称は「交通事故損害額算定基準」といい、同じく日弁連交通事故相談センターが発行している青い表紙の本です。こちらは本部(全国版)が2年に1回発行しています。

赤本との違い

  • 赤本: 金額が「ピンポイント(例:110万円)」で記載されており、明確で使いやすいため、実務の9割以上はこちらを基準に交渉が進みます。

  • 青本: 金額が「幅(例:100万円〜140万円)」で記載されており、個別の事故の事情(加害者の悪質性など)を考慮して金額を調整しやすいという特徴があります。赤本を補完する形で、より詳細な解説書として使われます。

なぜ赤本基準(裁判基準)だと慰謝料が高くなるのか?

保険会社が提示してくる慰謝料(任意保険基準)は、自社の利益を守るために極端に低く設定されています。

一方、赤本の基準は「被害者が受けた精神的・肉体的苦痛に対して、裁判所が法的に妥当だと判断した本来あるべき正当な金額」です。そのため、保険会社の提示額と比較すると、赤本基準で計算した慰謝料は2倍から3倍(場合によってはそれ以上)に跳ね上がるのが当たり前なのです。

本を買うだけでは意味がない!「弁護士の交渉力」が必要

赤本は書店やネットで一般の人でも購入できます。しかし、被害者本人が赤本を読み込んで「赤本の〇ページにこう書いてあるから、この金額を払え!」と保険会社に要求しても、全く相手にされません。

保険会社の担当者は「それは弁護士さんが裁判を起こした場合の基準ですよね。お客様は弁護士ではありませんし、裁判も起こさないでしょうから、当社は自社の基準でしかお支払いしません」と冷たくあしらってきます。

赤本の基準(裁判基準)を引き出すためには、「この要求が通らなければ、我々はいつでも裁判を起こす準備がある」というプレッシャー(法的措置をとる能力)が必要です。 交通事故に強い弁護士が代理人として介入し、初めて保険会社は「裁判をされるよりはマシだ」と譲歩し、赤本基準での支払いに応じるのです。

「自分の慰謝料は赤本基準だと本当はいくらになるのか?」を知りたい方は、示談書にサインする前に、ぜひ夕陽ヶ丘法律事務所の無料相談をご利用ください。

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FAQよくある質問

Q. 保険会社との交渉で、自分で「赤本」を買って勉強して主張すれば、弁護士に依頼しなくても高い慰謝料をもらえますか?

A. 赤本自体は一般の方でも購入可能ですが、それを読んで保険会社に主張しても、保険会社は「当社は赤本基準ではお支払いできません」と一蹴します。なぜなら、保険会社が恐れているのは「赤本」そのものではなく、「赤本を武器に本当に裁判を起こしてくる弁護士の存在」だからです。弁護士の代理権が伴って初めて、赤本の基準は交渉力を持ちます。

Q. 交通事故の相談に行くと、弁護士さんが赤い本を見ながら計算していましたが、あれは何ですか?

A. それが「赤本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)」です。日弁連交通事故相談センター東京支部が毎年発行しており、過去の裁判例に基づいた慰謝料や休業損害などの「正当な相場(裁判基準)」が網羅されています。私たち弁護士は、この赤本の基準をベースにして、保険会社の不当に低い提示額を覆していきます。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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