交通事故の慰謝料についてインターネットで調べていると、「赤本(あかほん)」や「青本(あおほん)」という言葉を頻繁に目にすると思います。
これらは、交通事故の損害賠償問題を扱う弁護士や裁判官にとって、なくてはならない「実務のバイブル(基準書)」です。ここでは、赤本と青本の正体と、示談交渉における絶大な影響力について解説します。
「赤本」とは何か?(最強の裁判基準)
交通事故実務で最も重要視されているのが「赤本」です。 正式名称は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」といい、公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部が毎年発行している、表紙が真っ赤な分厚い本です。
赤本には何が書かれているのか?
赤本には、過去の東京地裁における交通事故の膨大な裁判例(判例)を分析し、「どのようなケガで何日通院したら、慰謝料はいくらが妥当か」「後遺障害何級なら、慰謝料はいくらか」といった「裁判所の相場(裁判基準・弁護士基準)」が表や基準として明確にまとめられています。
全国どこでも通用する最強の基準
元々は東京地裁の基準として作られましたが、現在では日本全国の裁判所や弁護士が、交通事故の損害賠償額を算定する際の「事実上の全国標準ルール」として使用しています。 弁護士が「弁護士基準で計算すると慰謝料はこれだけ増額しますよ」と言うときの根拠は、100%、この赤本の算定表に基づいています。
「青本」とは何か?
青本(あおほん)の正式名称は「交通事故損害額算定基準」といい、同じく日弁連交通事故相談センターが発行している青い表紙の本です。こちらは本部(全国版)が2年に1回発行しています。
赤本との違い
- 赤本: 金額が「ピンポイント(例:110万円)」で記載されており、明確で使いやすいため、実務の9割以上はこちらを基準に交渉が進みます。
- 青本: 金額が「幅(例:100万円〜140万円)」で記載されており、個別の事故の事情(加害者の悪質性など)を考慮して金額を調整しやすいという特徴があります。赤本を補完する形で、より詳細な解説書として使われます。
なぜ赤本基準(裁判基準)だと慰謝料が高くなるのか?
保険会社が提示してくる慰謝料(任意保険基準)は、自社の利益を守るために極端に低く設定されています。
一方、赤本の基準は「被害者が受けた精神的・肉体的苦痛に対して、裁判所が法的に妥当だと判断した本来あるべき正当な金額」です。そのため、保険会社の提示額と比較すると、赤本基準で計算した慰謝料は2倍から3倍(場合によってはそれ以上)に跳ね上がるのが当たり前なのです。
本を買うだけでは意味がない!「弁護士の交渉力」が必要
赤本は書店やネットで一般の人でも購入できます。しかし、被害者本人が赤本を読み込んで「赤本の〇ページにこう書いてあるから、この金額を払え!」と保険会社に要求しても、全く相手にされません。
保険会社の担当者は「それは弁護士さんが裁判を起こした場合の基準ですよね。お客様は弁護士ではありませんし、裁判も起こさないでしょうから、当社は自社の基準でしかお支払いしません」と冷たくあしらってきます。
赤本の基準(裁判基準)を引き出すためには、「この要求が通らなければ、我々はいつでも裁判を起こす準備がある」というプレッシャー(法的措置をとる能力)が必要です。 交通事故に強い弁護士が代理人として介入し、初めて保険会社は「裁判をされるよりはマシだ」と譲歩し、赤本基準での支払いに応じるのです。
「自分の慰謝料は赤本基準だと本当はいくらになるのか?」を知りたい方は、示談書にサインする前に、ぜひ夕陽ヶ丘法律事務所の無料相談をご利用ください。