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交通事故による脊髄損傷の症状別等級(1級~12級)と将来介護費用の請求

交通事故の衝撃によって首や背中の骨(頸椎、胸椎、腰椎)が折れたり脱臼したりすると、その中を通っている中枢神経の束である「脊髄(せきずい)」が深く傷つくことがあります。これを「脊髄損傷」と呼びます。

脊髄は一度損傷すると現代の医学では回復(再生)することが難しく、損傷した部位より下半身に、麻痺(動かなくなること)、感覚障害、さらには排泄のコントロールができなくなる膀胱直腸障害など、被害者の人生を一変させる極めて重篤な後遺症が生じます。

脊髄損傷における後遺障害等級(1級〜12級)

脊髄損傷の後遺障害等級は、主に「麻痺の程度(四肢麻痺、対麻痺、単麻痺など)」「日常生活における介護の必要性」によって、1級から12級(または神経症状としての14級)まで分類されます。

  • 第1級1号(常に介護を要する)
    • 症状の例:頸髄損傷による極めて高度の四肢麻痺など。
    • 状態:食事・入浴・排泄・着替えなど、生命維持と日常生活のすべての動作において、常に他人の介護が必要な状態。
  • 第2級1号(随時介護を要する)
    • 症状の例:高度の対麻痺(両足の麻痺)など。
    • 状態:日常生活の動作の多くは自力で行えるが、排泄などの特定の動作や、外出時などに随時(部分的に)他人の介護が必要な状態。
  • 第3級3号(一生労務に服することができない)
    • 症状の例:中等度の四肢麻痺など。
    • 状態:介護までは不要(自力で日常生活は送れる)が、障害により一生仕事に就くことができない状態。
  • 第5級2号(極めて軽易な労務にしか服することができない)
    • 症状の例:軽度の四肢麻痺、中等度の対麻痺など。
  • 第7級4号(軽易な労務にしか服することができない)
    • 症状の例:軽度の対麻痺など。
  • 第9級10号/第12級13号
    • 症状の例:麻痺まではないが、脊髄の損傷による神経症状(痛みや痺れ)が局所に残っている場合。

賠償額を大きく左右する「将来介護費」

脊髄損傷で最も重い1級・2級に認定された場合、被害者とご家族の今後の人生を支えるために最も重要になるのが「将来介護費」の請求です。

将来介護費とは、症状固定後から被害者の平均余命(亡くなるまでの予測期間)までの間、毎日必要となる介護の費用をまとめて請求するものです。 この金額は、「1日あたりの介護日額 × 365日 × 平均余命に対応するライプニッツ係数」で計算されます。

  • 近親者介護(家族が介護する場合):1日あたり約8,000円
  • 職業付添人介護(ヘルパー等のプロに依頼する場合):実費(1日1万数千円〜2万円以上など)

保険会社は賠償額を抑えるため、「家族が介護するのだから、安い近親者介護の基準のみで計算すべきだ」と主張してくることが多々あります。しかし、数十年間にわたる重介護をご家族だけで担うことは肉体的・精神的に限界があり、現実的ではありません。 弁護士が裁判基準で交渉・訴訟を行うことで、「家族の負担軽減のため、将来の一定期間は職業ヘルパーを利用する前提」や「家族が高齢化した後は施設に入所する前提」での、現実に即した高額な将来介護費を獲得することが可能になります。

住宅改造費・車両改造費・装具代の請求

車椅子での生活を余儀なくされた場合、生活環境を整えるための費用も損害賠償として請求できます。

  1. 住宅改造費(家屋改造費) 自宅を車椅子で移動できるようにするためのバリアフリー化費用(スロープ設置、廊下の拡張、エレベーター設置、浴室・トイレの全面改修など)。数百万〜一千万円以上が認められるケースもあります。
  2. 車両改造費(福祉車両) 車椅子ごと乗り込める福祉車両の購入費、または既存の車を改造する費用。通常の車輛との差額分が認められるのが一般的です。
  3. 装具・器具等の費用 車椅子(室内用・室外用)、介護用ベッド、特殊マット、電動吸引機、使い捨てカテーテルや紙おむつなどの消耗品について、耐用年数に基づく将来の買い替え費用も含めて請求します。

脊髄損傷の賠償解決は、経験豊富な弁護士へ

脊髄損傷の事案は、将来介護費や逸失利益、家屋改造費などが加わるため、賠償総額が1億円〜数億円に達することも珍しくありません。 しかし、金額が巨額になる分、保険会社側の抵抗も極めて激しく、過失割合や介護の必要性を巡って裁判で激しく争われるのが通常です。

被害者様とご家族の「今後の生涯にわたる生活の安定」を守り抜くためには、脊髄損傷という特殊な医療知識と、巨額賠償の裁判経験を併せ持つ弁護士の力が絶対に不可欠です。夕陽ヶ丘法律事務所では、重度後遺障害事案に特化したサポート体制を整えております。ご家族だけで抱え込まず、まずはご相談ください。

FAQよくある質問

Q. 脊髄損傷で四肢麻痺となり、1級が認定されました。一生家族が介護しなければなりませんが、プロの介護士を頼む費用は請求できるのでしょうか?

A. 請求可能です。後遺障害1級(または2級の一部)で常時介護が必要と認められた場合、近親者(家族)による介護を前提とした「近親者介護分(1日あたり約8,000円)」だけでなく、プロの介護ヘルパーや施設を利用する前提での「職業付添人介護分(実費相当)」を組み合わせて将来の介護費用を算定し、相手方に請求することが裁判実務でも認められています。

Q. 車椅子生活になったため、自宅をバリアフリーに改築したり、介護用の車両を購入する必要があります。これらの費用も払ってもらえますか?

A. はい、請求可能です。脊髄損傷によって車椅子での生活が不可欠となった場合、自宅の段差解消やスロープ設置、浴室やトイレの改造にかかる「家屋改造費」、および車椅子を載せられる「福祉車両の購入費・改造費(通常車両との差額分など)」は、必要かつ相当な範囲内で損害賠償として認められます。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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