交通事故の治療で「自賠責保険の120万円枠」を超えたら

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、弁護士による交通事故示談交渉・後遺障害等級認定の実務経験に基づき、最新の法令および裁判所基準(弁護士基準)に沿ってわかりやすく解説しています。

交通事故の治療で「自賠責保険の120万円枠」を超えたらのポイント

交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。

  • 任意保険への切り替え
  • 健康保険適用。

弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて

交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。

2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。

交通事故に遭い、治療を続ける中で「自賠責保険の120万円枠」という言葉を耳にした方は多いのではないでしょうか。この120万円は、傷害による損害(治療費や慰謝料、休業損害など)の被害者1人あたりの限度額です。

治療が長期化すると、この120万円があっという間に上限に達してしまうことがあります。枠を超えたら自己負担になるのではないかと不安になる方もいらっしゃいますが、適切な対処法を知っていれば高額な医療費を支払わずに治療を継続できます。

この記事では、自賠責保険の120万円枠を超えてしまった場合の具体的な対処法や、損をしないためのポイントを交通事故専門弁護士が分かりやすく解説します。

Q 交通事故の治療費が自賠責保険の120万円枠を超えたら、自己負担になりますか?超過後の手続きと注意点を教えてください。
A 【超過後の手続きと医療費の支払い】自賠責保険の限度額120万円を超えた場合でも、直ちに治療費の自己負担が発生するわけではありません。通常は加害者の任意保険会社による「一括対応(任意保険への切り替え)」が継続されるか、被害者自身の「健康保険を適用」して医療費を抑えながら通院を続ける方法を選択します。健康保険を利用することで、限度額の超過や保険会社からの治療費打ち切り打診リスクを効果的に抑えられます。
【治療継続と示談交渉の注意点】保険会社から一方的な治療費打ち切りを告げられたり、低い提示額(自賠責基準や任意保険基準)で示談を迫られたりするケースが多く見られます。適正な賠償金や慰謝料を受け取るためには、弁護士基準(裁判所基準)に基づいた適正な算定が不可欠です。妥協して示談する前に、交通事故問題に精通した弁護士への早期の無料相談をおすすめします。

自賠責保険の120万円枠とは何か

交通事故の被害者が受け取る賠償金は、まず自賠責保険から支払われます。自賠責保険はすべての自動車に加入が義務付けられている強制保険であり、被害者救済を目的としています。

傷害損害の限度額は120万円

治療費だけでなく、通院交通費、診断書料、休業損害、そして精神的苦痛に対する慰謝料のすべてが、この120万円の枠内から支払われます。

120万円はすぐに超える?

整形外科でのリハビリが数ヶ月に及んだり、MRIなどの精密検査を受けたり、仕事を休んで休業損害が発生したりすると、120万円という金額は数ヶ月程度で簡単に上限に達してしまいます。上限を超えたからといって治療を打ち切る必要は決してありませんのでご安心ください。

120万円を超えたときの2つの対処法

自賠責保険の枠を使い切った後、医療費をどのように処理すべきか悩む方が多いです。主に以下の2つの方法のいずれか、または両方を組み合わせて対応します。

加害者の任意保険会社による「一括対応」の継続

多くの交通事故では、加害者が加入している任意保険会社が、自賠責保険の枠を超えた分も含めて治療費を病院に直接立て替えて支払う「一括対応」を継続します。

  • 自賠責の120万円を超えても任意保険会社が支払い続けるケースが一般的です
  • 保険会社から「自賠責の枠を超えたので、ここからは任意保険の基準に切り替えます」といった連絡や説明が入ることがあります
  • 治療の必要性が認められている期間であれば、引き続き窓口負担なしで治療を受けられます

健康保険の利用に切り替える

任意保険会社が治療費の支払いに難色を示したり、治療打ち切りを打診してきたりした場合は、ご自身の健康保険を交通事故の治療に切り替えることが極めて有効です。

  • 自由診療ではなく健康保険を使うことで、医療費の総額を大幅に抑えることができます
  • 自賠責保険の120万円の枠の減りが遅くなるため、結果的に補償の枠を有効に活用できます
  • 交通事故でも健康保険は利用できるため、「使えない」と言われた場合は病院や保険者に正しく主張しましょう

任意保険会社から「治療打ち切り」と言われたときの注意点

自賠責の120万円枠を超える頃になると、加害者の任意保険会社から「そろそろ治療を終了してください(治療費の打ち切り)」と連絡が来ることがよくあります。

まだ痛みが残っている場合の対応

医師が「まだ治療が必要」と判断しているにもかかわらず、保険会社の都合だけで治療費の支払いを止められてしまうケースがあります。ここで安易に治療を辞めてしまうと、後遺障害の認定を受けづらくなるなどの不利益を被るおそれがあります。

  • 医師に相談し、本当に治療が必要な状態か医学的な意見を確認する
  • 健康保険に切り替えて自己負担(3割)で治療を継続し、後からその費用を加害者側に請求する
  • 保険会社との交渉や今後の対応に不安がある場合は、交通事故に強い弁護士に相談する

まとめ:枠を超えても慌てず適切な対応を

自賠責保険の120万円枠は、あくまで最低限の補償を定めた限度額にすぎません。枠を超えたからといって、被害者が治療費を全額自腹で払う義務はありません。

万が一120万円を超えてしまった場合は、任意保険会社との交渉や健康保険の活用を視野に入れ、冷静に対処することが大切です。ご自身の判断だけで治療を諦めず、専門家である弁護士のサポートも受けるなどして、納得のいく解決を目指しましょう。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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