交通事故で最も発生件数が多いケガが「むち打ち(頸椎捻挫・外傷性頸部症候群)」です。 治療を続けても首の痛みや手のしびれなどが残ってしまった場合、「後遺障害(こういしょうがい)」の認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。
むち打ちの場合、目指すべき等級は主に「14級9号」(または重症な場合の12級13号)となりますが、単に「痛みが残っている」と主張するだけでは決して認定されません。
本記事では、むち打ちで後遺障害14級9号を獲得するために欠かせない「3つの絶対条件」を解説します。
条件1:事故当初からの「自覚症状の一貫性・連続性」
後遺障害として認定されるためには、「その痛みが確実に交通事故によって生じたものであり、途切れることなく続いていること」が前提となります。
- 事故直後から症状を訴えているか:事故から2週間以上経ってから初めて「首が痛い」と訴えても、事故との因果関係を否定されます。
- 症状が一貫しているか:「首の右側が痛い」と言っていたのに、数ヶ月後には「左腕がしびれる」などとカルテの記載がコロコロ変わっていると、症状の信憑性が疑われます。
- 通院が途切れていないか:仕事が忙しいからと1ヶ月以上通院の空白期間(ブランク)を作ってしまうと、「その間に治っていた(または別の原因で痛くなった)」とみなされ、認定は絶望的になります。
条件2:最低でも「約6ヶ月(180日)」の通院期間と適切な通院頻度
むち打ちで後遺障害認定を受けるための実務上の目安として、「事故から症状固定(これ以上治療しても改善しない状態)まで、最低でも6ヶ月以上の通院期間」が必要です。 3〜4ヶ月程度で治療を終了して後遺障害申請を行っても、「まだ治療期間が短く、将来にわたって残る後遺障害とは言えない」として非該当になります。
また、期間だけでなく「通院頻度」も非常に重要です。 月に1〜2回しか通院していない場合、「本当はそこまで痛くないのではないか」と判断されてしまいます。目安として、最低でも月に10日前後(週に2〜3回程度)のペースで整形外科に通院している実績が必要です。(※整骨院への通院日数は、認定機関から重視されない傾向があるため注意が必要です)。
条件3:医師による「神経学的所見」などの医学的テスト
むち打ちは、骨折のようにレントゲンで一目でわかるものではありません。だからこそ、痛みの原因を医学的に裏付けるための「神経学的検査」の実施が重要になります。
- ジャクソンテスト・スパーリングテスト:頭を圧迫したり傾けたりして、首から腕にかけてしびれや痛み(放散痛)が出るかを確認するテストです。
- 深部腱反射テスト:ゴム製のハンマーで関節を叩き、神経の反射が正常に機能しているかを確認します。
これらのテスト結果が「陽性(異常あり)」として後遺障害診断書に記載されることで、単なる本人の思い込みではなく、医学的に説明可能な神経症状であるという強力な根拠になります。
非該当(認定されない)を避けるために弁護士へご相談を
後遺障害等級の認定は、書面主義(提出された書類や画像だけで審査される)です。どんなに本人が辛い痛みを抱えていても、「カルテや後遺障害診断書に正しく記載されていなければ、存在しないもの」として扱われてしまいます。
「主治医が後遺障害に協力的でない」「どのように通院すればいいか不安だ」という方は、治療中の早い段階から夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください。適切な検査のアドバイスや、医師への診断書作成依頼のサポートを通じて、適正な後遺障害等級の獲得を目指します。