相手が「認知症で過失を理解できない」のポイント
交通事故にあわれた際、相手方保険会社との交渉や各種手続において以下のポイントを把握しておくことが極めて重要です。
- 監督義務者(家族)の責任。
弁護士基準(裁判所基準)での適正解決に向けて
交通事故の被害では、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険社内基準)と、裁判所や弁護士が適用する弁護士基準(裁判所基準)との間に大きな乖離が存在するケースが多々あります。
2020年4月の民法改正に伴う最新の法定利率(年3%)や適正な慰謝料計算基準に沿って対応することで、賠償額が増額する可能性が高まります。妥協される前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。
交通事故に遭った際、相手が無保険であることや、交渉が難航することは多々あります。中でも、相手が認知症で自身の過失を理解できない場合、被害者は「どこに損害賠償を請求すればよいのか」と途方に暮れてしまうことでしょう。
認知症ドライバーの事故で責任を問う相手とは?
交通事故の加害者が認知症である場合、その人が法律上の「責任能力」を備えているかどうかが最初の大きな争点となります。認知症の症状が重く、自分の行為が引き起こす結果を辨識する能力(責任能力)が著しく欠けていたと認められる場合、加害者本人に対して直接損害賠償(民法709条)を請求することが法的に難しくなります。
しかし、被害者が泣き寝入りする必要はありません。加害者本人に責任能力が認められない場合、法律は被害者を救済するために別の人物への賠償請求の道を用意しています。それが監督義務者や運行供用者に対する責任追及です。
責任無能力者の監督義務者の責任(民法714条)
加害者本人に責任能力がない場合、法律上その人を監督する法的な義務を負う人(通常は同居の配偶者や成人した子どもなどの家族)に賠償責任が課されることがあります(民法714条)。
これを「監督義務者責任」と呼びます。ただし、家族であれば誰でも無条件に責任を負うわけではありません。監督義務者がその義務を怠らなかったこと(つまり、鍵を厳重に管理して運転を阻止するなどの十分な予防措置を講じていたこと)を証明できた場合は責任を免れるケースもあります。近年の最高裁判所の判例では、認知症の程度や家族の関与の度合いなどを総合的に考慮して、監督義務者の責任の有無が判断されます。
自動車の運行供用者責任(自賠法3条)
もう一つの重要な柱が、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づく運行供用者責任です。
たとえ実際に運転していた本人が認知症であっても、その車を所有し、日常的に管理・使用している家族(配偶者や子どもなど)は「運行供用者」に該当します。運行供用者は、その自動車の運行によって他人の生命や身体を害したとき、原則として損害賠償責任を負うことになります。認知症の兆候がある家族に車を運転できる環境を与えていたこと自体が、運行供用者としての責任を問われる大きな要因となります。
被害者が取るべき具体的な法的手続きと対策
認知症の加害者側との示談交渉は、相手自身が状況を理解していない、あるいは家族が責任逃れをしようとするなど、通常の事故よりも複雑化する傾向があります。泣き寝入りを避けるために、被害者が実践すべき具体的なステップを解説します。
自賠責保険への直接請求を活用する
加害者側との任意の話し合いが進まない場合や、家族が連絡を断ってきた場合は、被害者自身から加害者の加入している自賠責保険会社に対して直接賠償金を請求する(被害者請求)という方法があります。
自賠責保険は、人身事故における最低限の補償を確保するための制度です。加害者の責任能力の有無に関わらず、事故によって受けた傷害や後遺障害、死亡に対する損害を請求できるため、初期の資金繰りとしても非常に有効な手段となります。
任意保険の「対人賠償責任保険」の適用を確認する
加害者が加入している自動車の任意保険会社を確認することも不可欠です。多くの任意保険には「対人賠償責任保険」がついており、認知症ドライバーが起こした事故であっても、被保険者や運行供用者に法的責任が認められれば、保険金から損害賠償が支払われます。
ただし、保険会社側が「ドライバーの責任能力がない」という理由で支払いを渋るケースもゼロではありません。このような複雑な法律上の解釈が絡む事案では、個人で交渉するのは精神的にも大きな負担となります。
交通事故専門の弁護士へ早めに相談する
相手が認知症である場合の交通事故は、民法の監督義務や自賠法の運行供用者責任など、専門的な法的知識がなければ適切に主張を組み立てることが難しい分野です。
事故直後から弁護士に代理人を依頼することで、以下のようなメリットが得られます。
- 家族や保険会社との複雑な示談交渉をすべて任せられる
- 監督義務者や運行供用者の責任を立証するための証拠を集められる
- 適正な慰謝料や損害賠償額を算出し、確実に回収できる
認知症の加害者による事故でお悩みの方は、一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で交通事情に精通した弁護士へ相談することをおすすめします。
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