Q 主尋問の目的を教えて下さい。
2026/06/05 更新
主尋問の目的
(1)主尋問の目的は、3つです。
(2)一つは、当事者として、出来事(紛争)全体について、ストーリー(一つの物語)として説明することです。
二つは、当事者として、動機(なぜ、このようなことをしたのか)(なぜ、このようなことになったのか。)を説明する。
三つは、事実上の争点について、当事者が矛盾なく、かつ、合理的な説明ができることを示すことです。
(例えば、過失があるかは、裁判所が評価することです。これは法律上の争点です。しかし、信号の色は事実上の争です。)
主尋問のコツ
1 テーマを決める。
(1)主尋問は、当事者が事実を語ってもらう手続きです。
(2)最後に、仮に、「以上だとすれば、〇〇だから△△なんですね。」という質問ができるということをイメージして、言いたいこと(テーマ)を決めましょう。
(3)テーマは数をしぼり、短いほど強烈になります。
(4)なお、上記の質問は、事実を聞く質問ではないために、許されません。
2 弁論要旨を意識する。
(1)尋問は何のためにするのか。それは、最後に出す書面(弁論要旨)で引用するためです。
(2)尋問事項を決めるときには、箇条書きでもよいので、一緒に、最後に出す書面(弁論要旨)を作りましょう。
3 人間性と時系列を述べる。
(1)裁判員裁判では、尋問時間が長く、事件に入るまでに、人間関係や、前提の事実を聞きます。
この際に、当事者の人間性が分かるエピソードを一つ聞きましょう。
例えば、息子さんはお一人なんですね。「〇〇さんが、息子さんとの関係で、印象深い話を一つ教えて下さい。」もしくは、「息子さんの良いところは何ですか。」「なぜ、そう思うのですか。」等の質問をすれば、当事者の関係性等もクリアーになります。
(2)通常事件では、尋問時間は10分程度なので、すぐに本題に入る必要があります。
(3)事件について時系列で聞きましょう。このためには、一度、当事者の陳述書(私がこの事件を起こしたのは、〇〇です、という当事者視点で時系列で事実をまとめた文書)を作成して、これをQ&Aで分解する手法が適切です。
4 争点を意識する
(1)検察官は、被告人の主張は不自然である、という主張をしてきます。検察官の主張を先回りして、証拠について、本人に説明してもらうことも大切です。
(2)このためには、検察官の主張や、証拠の確認が必要です。
事実を聞く、主張はしない。
(1)「証人の意見は、矛盾しませんか。」これは2流の質問です。
(2)先ほど〇〇と言ってましたよね。しかし、証拠ではこうなっています。どうしてこうなったのでしょうか。
これは質問です。
(3)あくまで、事実(過去にあった事実)を聞きだし、「聞き手(裁判官)に不自然だと思ってもう」のが目的です。
自分の意見を主張する場ではありません。
適切な誘導
1 誘導質問の禁止
(1)質問者が「〇〇ですか。」と聞いて、回答者が「はい。」答えるだけの尋問では、聞いている者には実際のところが分かりません。これは誘導尋問であり、反対尋問を除いて禁止されていいます。
(2)回答者に具体的に自分の言葉で回答してもらう必要があります。
2 質問の意図や、回答の範囲
質問者が、質問の意図や回答の範囲を適切に設定する必要があります。
ダメな例
弁護士の質問
「Aさんは、Cさんに初めてあったとき、Cさんは何をしていましたか。」
訂正例
弁護士の質問
「Aさんは、Cさんに初めてあったとき、Cさんはどんな仕事をしていましたか。」
解説
何を聞くのか、回答の範囲を限定して聞くのが鉄則です。限定することで、証人は、何について質問されているのか理解して回答しやすくなります。
参考
中村真「若手法律家のための民事尋問戦略」82頁以下






