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刑事弁護の流れ

Q 刑事事件で、証人が取調べ調書に記載のない供述をしたときに、どうすべきか手順を教えて下さい。その2

2026/06/06 更新

自己矛盾供述

(1)証人が「A」と証言したが、取調べ調書には「B」と記載されていた。「取調べ調書作成時には、Bと供述していたのではないか。」と質問したところ証人は「いいえ。Aと供述した。」と答えました。この場合には、自己矛盾供述でです。

(2)弁護士会の見解では、「証人の証言が供述録取書と矛盾するとき(自己矛盾供述である)ときには、刑訴法規則199条の10に規定する物として示すものであるから、該当する裁判所に許可を得なくても、弁護人は証人に対し、供述録取書の「自己矛盾供述供」部分を示すことが許される(刑事訴訟法規則199条の10)。」と考えます。

刑事訴訟法第199条の10 書面又は物の提示
1項 訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。
2項 前項の書面又は物が証拠調を終つたものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。

実際の尋問の様子

弁護人 
 証人は、「証人のお尻を触った手が右手だった。」と供述されましたよね

弁護人
 犯人を見つけるには、あなたが見た手は重要な手がかりですね。

弁護人
 不自然な感触があれば、そこに目が行きますよね。

弁護人
 10分以上触られていたのですよね。

 重要な事実であることを確認するための質問をしています。
 重要でない事実については供述録取書に記載されてなくても不自然ではありません。重要な事実であること、その重要な事実が取調べ調書に記載されていないことに意味があります。

弁護人 
 〇月〇日に警察署で調書を作成されていますよね。

 〇月〇日は、事件の次の日ですよね。

 〇月〇日の記憶は事件後直後で鮮明ですよね。

 警察官が、あなたから聞いた話をまとめてくれましたよね。

 警察官は、調書の内容を読み上げて、内容が間違いが無いか確認してくれましたよね。

 証人が、内容に間違いがないことを確認してししましたよね。

弁護人
 〇月〇日に作成された警察官調書を証人に示します。
 警察官調書を私が読み上げますので、そこに、「証人のお尻を触った手が右手だった。」という記載があったかどうか確認してもらうためです。

裁判官
 検察官、ご意見は

検察官
 しかるべくです。

裁判官
 弁護人が警察官調書を示す趣旨としては、被害状況の供述内容を読み上げて、そこに、「証人のお尻を触った手が右手だった。」という記載があったかどうか確認してもらうためですね。

弁護人
 はい。

裁判官
 許可します。

供述内容と、取調べ調書の矛盾を確認するものであり、これは、同一性の確認です。
弁護士会の見解としては、同一性の確認である以上は、裁判官の許可は不要ということになります。
もっとも、実務上は、上記のような流れとなります。

弁護人

 (弁護人は供述調書を証人に示す。)

 日付と署名を確認して下さい。
 これは、〇月〇日に証人が警察官の取調べを受けて、そのときに作った調書ですよね。

 3頁目から、証人が被害に遭った事実が記載されています。

 私が該当箇所を読み上げます。私が調書を読み上げますが、間違っていないか、確認してくださいね。

 (省略します。)

弁護人

 「〇月〇日の調書では、あなたのお尻を触ったのが右手である。」とは書かれていませんよね。」

 (以下 省略 )

 「取調べ調書に記載がない。」ことの証拠化は、例えば、取調べ調書を作ったのが1通だけであれば、そのことを質問し、その場面について書かれた部分を読み上げて、確かにその旨の記載がないことを確認することになります。
 後日、弁護人が、公判で証人は〇〇と証言したが、取調べ調書についてはこれに該当する記載が一切ない、という報告書を弁号証として出す等の対応が考えられます。

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