刑事事件の流れと基本の用語
2025/03/07 更新
1 刑事事件の流れ
刑事事件の一般の流れは以下のとおりです。

2 捜査弁護について
(10日)勾留(こうりゅう)
(1)警察が、被疑者を逮捕し、さらに取り調べのために警察施設での身体拘束が必要だと考えた場合、裁判所の許可を得て、被疑者を10日間、警察施設等で拘束できます。これが、(10日間)勾留(とうかかかんこうりゅう)といいます。
(2)裁判所は、その人を勾留する必要性が認められるか、審査して許可します。許可した場合には勾留状(こうりゅうじょう)を発行します。
(3)裁判所は、勾留を合計20日間まで延長できます。これを20日間勾留(はつかかんこうりゅう)と呼びます。
(4)裁判所が許可された勾留日の最終日を、(勾留の)満期日(まんきび)と呼びます。
接見(せっけん)
(1)逮捕された被疑者は、警察署の留置施設で勾留されます。
(2)その被疑者に会いに行くことを、接見(せっけん)といいます。
捜査弁護(そうさべんご)
被疑者が逮捕されてから、起訴される(起訴されないことが決まる)までの間について、弁護士がする仕事を捜査弁護(そうさべんご)といいます。
国選弁護人選任届(こくせんべんごにんせんにんとどけ)
(1)弁護士は、(刑事当番の)待機日が決まっています。法テラスが、待機日のリストをみて、その日の担当弁護士に連絡します。弁護士が承諾すれば、国選弁護人として活動することになります。
(2)法テラスが事実上、弁護士を選んで推薦し、裁判所が最終決定します。したがって、法律上、裁判所が国選弁護人を選びます。
(3)国選弁護人の場合には、裁判所が、国選弁護人選任届(こくせんべんごにんせんいんとどけ)を発行します。
大阪地方裁判所の運用では、裁判所に、 国選弁護人選任届(こくせんべんごにんせんいんとどけ)を取りに行く必要があります。
堺支部や、岸和田支部の運用では、 国選弁護人選任届(こくせんべんごにんせんいんとどけ)は郵送されてきます。
3 公判弁護について
起訴(きそ)
(1)検察官が、「この人が犯罪を犯した」ことは間違いがないので、刑事裁判を開いてほしいと求める手続を起訴といいます。
(2)起訴するかどうかは、検察官がその裁量で判断してよいことになっています(起訴便宜主義)。
保釈(ほしゃく)
(1)執行猶予なしの有罪判決が下った事件では、以下のように進行します。
逮捕 → 被疑者勾留 → 起訴 → 被告人勾留 → 裁判・判決 → 刑務所での収監
(2)刑事訴訟法には、起訴後までに捜査を終えて、捜査機関は証拠を収集し終わらなければならない、というルールがあります。逆に言えれば、起訴後、被告人を取り調べる必要性は認められないということです。
(3)したがって、「起訴後から判決の言い渡し」までの期間に限って、保釈金を裁判所に納めることで、拘置所等から身柄を解放される手続きを保釈手続といいます。
起訴状一本主義
(1)刑事事件の場合には、警察が被疑者の取り調べをして、被疑者が罪を認めた自白調書等を証拠収集しています。
(2)仮に、刑事裁判のときに、検察官が事前に裁判所にすべての証拠を送ってよいとすると、事前に、裁判所が、「証人が被疑者の犯行を目撃した内容の調書、防犯カメラの映像、被告人が自白した調書」を見ることになります。
そうなると、裁判官が、裁判をする前に、すべての証拠の取り調べが終わってしまい、実際の裁判が形骸化する、というリスクがあります。
(3)したがって、刑事事件の第一審では、公判期日前には、裁判所は起訴状以外の事件情報を取得してはならない。さらには、起訴状に余計なことを記載をしてはならない、という原則があります。
(4)これが、起訴状一本主義(きそじょういっぽんしゅぎ)です。
証拠開示(しょうこかいじ)
(1)刑事事件の第一審では、公判期日に証拠を出します。逆に言えば、公判期日前に証拠を出すことが禁止されています。
(2)そこで、公判期日前に、当事者(弁護人と検察官)が他方当事者に対し、公判期日に出す予定の書証(文書の証拠)を見せる(開示する)ということが行われます。
そして、当事者は、他方当事者が同意した書証(文書の証拠)のみしか、公判期日にて提出できないのが原則となります(伝聞証拠)。
(3)公判期日前に、検察官が、検察官証拠(検察官が公判期日にて提出を予定する証拠)の開示の準備が出来たと連絡してきます。
(4)このように、事前に証拠を開示するのが、証拠開示(しょうこかいじ)といいます。
(5)起訴後に、検察官から、「証拠開示の準備ができた。」と電話があります。
そのときには、検察庁にある記録を謄写(コピー)の手続をすることになります。できた。」
拘置所(こうちしょ)
(1)執行猶予なしの有罪判決が下った事件では、以下のように進行します。
逮捕 → 被疑者勾留 → 起訴 → 被告人勾留 → 裁判・判決 → 刑務所での収監
(2)刑事訴訟法には、起訴後までに捜査を終えて、捜査機関は証拠を収集し終わらなければならない、というルールがあります。逆に言えれば、起訴後、被告人を取り調べる必要性は認められないということです。
(3)被疑者段階では、(取り調べの便宜から)逮捕された被疑者は、警察署の留置施設で勾留されます。
(4)これに対して、起訴後、被告人は、(法務省が管理する)拘置所(こうちしょ)に移動し、そこで勾留されることになります。
(5)起訴後に、検察官から、「被告人が警察施設から拘置所に移動になりました。」と電話があります。
このときには、家族にそのことを伝えます。家族が警察署に面会に行って無駄足をふむ可能性があるからです。
公判弁護(こうはんべんご)
被告人が起訴されてると、刑事裁判裁判になります。刑事裁判において、弁護士がする仕事を公判弁護(こうはんべんご)といいます。