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民事訴訟

【論点】判例(将来の継続的不法行為の訴えの利益)

2025/04/05 更新

将来給付の訴え

(1)将来給付の訴えは、口頭弁論終結時に、期限が到来していない給付の訴えである。

(2)将来の給付の訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、訴えの利益が認められる(135条)。

(3)具体的には、以下のような場合には、訴えの利益が認めらられる。

第135条 (将来の給付の訴え)
 将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。

紛争の存在

 債務者が債務の存在または態様を争っているときには、将来の給付の訴えが認められる。

損害が甚大

 債務の不良によって甚大な損害ができる場合にも、将来の給付の訴えが認められる。

大阪国際空港事件(最判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁)

事実の概要
 大阪国際空港の周辺住民が、 空港設置・管理者である国に対し、騒音による損害を主張し、過去の損害だけでなく、将来の損害(口頭弁論終結後の損害)があると主張した。

判決の内容
(1)民訴法135条は、「あらかじめ請求する必要 があることを条件として将来の給付の訴えを許容しているが、同条は、およそ将来に生ずる可能性のある給付請 求権のすべてについて前記の要件のもとに将来の給付の訴えを認めたものではなく、 主として、いわゆる期限付請求権や条件付請求権のように、既に権利発生の基礎をなす事実上及び法律上の関係が存在し、ただ、これに基づく具体的な給付義務の成立が将来における一定の時期 の到来や債権者において立証を必要としないか又は容易に立証しうる別の一定の事実の発生にかかっているにすぎず、将来具体的な給付義務が成立したときに改めて訴訟により右請求権成立のすべての要件の存在を立証することを必要としないと考えられるようなものについて、 例外として将来の給付の訴えによる請求を可能ならしめたにすぎないものと解される。
(2)このような規定の趣旨に照らすと、継続的不法行為に基づき将来発生すべき損害賠償請求権についても、例えば不動産の不法占有者に対して明渡義務の履行完了までの賃料相当額の損害金の支払を訴求する場合のように、右請求権の基礎となるべき事実関係及び法律関係が既に存在し、その継続が予測さ れるとともに、右請求権の成否及びその内容につき債務 者に有利な影響を生ずるような将来における事情の変動 としては、債務者による占有の廃止、 新たな占有権原の 取得等のあらかじめ明確に予測しうる事由に限られ、しかもこれについては請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止しうるという負担を債務者に課し ても格別不当とはいえない点において前記の期限付債権等と同視しうるような場合には、これにつき将来の給付の訴えを許しても格別支障があるとはいえない
(3)しかし、たとえ同一態様の行為が将来も継続されることが予測される場合であっても、それが現在と同様に不法行為を構成するか否か及び賠償すべき損害の範囲いかん等が 流動性をもつ今後の複雑な事実関係の展開とそれらに対する法的評価に左右されるなど、損害賠償請求権の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することができず、具体的に請求権が成立したとされる時点においてはじめてこれを認定することができるとともにその場合における権利の成立要件の具備については当然に債権者においてこれを立証すべく、 事情の変動を専ら債務者の立証すべき新たな権利成立阻却事由の発生としてとらえてその負担を債務者に課するのは不当であると考えられるようなものについては、前記の不動産の継続的不法占有の場合とはとうてい同一に論ずることはできず、かかる将来の損害賠償請求権については、冒頭に説示し たとおり、 本来例外的にのみ認められる将来の給付の訴えにおける請求権としての適格を有するものとすることはできないと解するのが相当である。」
 本件についてみると、「将来の侵害行為が違法性を帯びるか否か及びこれによってXらの受けるべき損害の有無程度は、Xら空港周辺住民につき発生する被害を防止、軽減するため今後Yにより実施される諸方策の内容、実施状況、Xらのそれぞれにつき生ずべき種々の生活事情の変動等の複雑多様な因子によって左右されるべ 性質のものであり、しかも、これらの損害は、利益衡量上被害者において受忍すべきものとされる限度を超える場合にのみ賠償の対象となるものと解されるのであるから、明確な具体的基準によって賠償されるべき損害の 変動状況を把握することは困難といわなければならない」。 本件将来給付請求は 「権利保護の要件を欠くもの というべきであ〔る〕」。

解説
 本判決は、将来給付の訴えは、「本来であれば、実際に不法行為がなされたあとに被害者が損害賠償請求をするべきところ、逆に、加害者が不法行為を行わなくなった後に、請求異議訴訟をしなければならない、という訴訟提起等の負担を移転させる。」訴えである。したがって、この負担の転換を被告に強いることを正当化できる場合はどのような場合なのかを定めたものといわれている。
 本判決は、その要件として、①同一態様の行為が将来も継続されることが予測されること、②請求権の成否及び額をあらかじめ一義的に明確に認定することができること、③請求権の消滅事由が予め明確になっているため請求異議などでの消滅事由の主張が容易であることであるとした (最判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁)。

参考
 名津井吉裕 「事例で考える民事訴訟法」38頁以下

継続的不法行為 

(1)不動産が不法占有されている場合,その所有者は、占有者に対し、当該不動産の明渡しと共に、明渡時までの損害賠償 (賃料相当損害金)を請求することができる。この損害賠償請求のうち、口頭弁論終結日の翌日以降の分は将来請求である。 

(2)かかる将来請求が認められる理由は、①同一態様の行為が将来も継続されることが予測されること、②請求権の成否及び額をあらかじめ一義的に明確に認定することができること、③請求権の消滅事由が予め明確になっているため請求異議などでの消滅事由の主張が容易であることである (最判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁)。 

参考

 岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 総論・民法1」116頁以下

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