提訴期限:2027年3月31日 制度解説 ❯

遺族が受け取った給付金に対する「贈与税」のリスク:親族間で分ける際の注意点

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 「B型肝炎の給付金を代表受給したあと、他の遺族へ分けると贈与税がかかりますか?」
A 【贈与税がかかるリスクについて】代表原告が受給した給付金を単に各遺族へ仕送りのように分配した場合、税務署から個人間のお金とみなされ、贈与税が課されるリスクがあります。
【リスクを回避するための対策】受給前に相続人全員で話し合い、給付金の分配比率を明記した「遺産分割協議書」や「合意書」を必ず作成してください。正式な書類を残すことで、もともとの相続分に応じた分割と証明でき、余計な課税を防ぐことができます。

遺族が代表して給付金を受け取った後の分配について

B型肝炎ウイルスに感染されたご本人がお亡くなりになり、ご遺族が国に対して国家賠償請求訴訟を起こす場合、裁判の手続きや事務連絡をスムーズに進めるために、ご遺族の中の一人が「代表原告」となることが一般的です。
和解が成立し、給付金が支払われる際も、この代表原告の銀行口座に全額が一度に振り込まれるケースが多く見られます。しかし、このお金は代表原告だけのものではなく、配偶者やお子様など「法定相続人全員」で分け合うべき大切な賠償金です。
そのため、代表原告は受け取った和解金を、他の相続人の口座へそれぞれの取り分に応じて送金(分配)する手続きを行うことになります。

分配時の送金が「贈与」とみなされるリスク

ここで非常に注意しなければならないのが、税務上のトラブルです。代表原告の口座から他のご遺族の口座へまとまった金額(数百万円から数千万円)を送金したという事実だけを見ると、税務署から「代表原告から他の遺族へ、個人的にお金をプレゼントした(贈与した)」と誤解されてしまうリスクがあります。
これを「みなし贈与」と呼びます。もし贈与とみなされてしまうと、受け取った側に多額の贈与税が課税されてしまう可能性があります。本来、B型肝炎給付金は非課税の損害賠償金であるにもかかわらず、分配の手続きを誤ったばかりに、不当な税金を納めなければならなくなる事態は絶対に避けなければなりません。

みなし贈与を防ぐための「遺産分割協議書」や「合意書」の作成

このような税務署からの誤解を防ぐためには、送金を行う前に「遺産分割協議書」や「給付金の分配に関する合意書」といった書面を必ず作成しておくことが重要です。
この書面には、「国から受け取ったB型肝炎給付金について、誰が、どの割合で取得するのか」を明確に記載し、相続人全員が納得して署名・実印での押印を行います。送金後に税務署から問い合わせがあったとしても、この合意書や裁判所の和解調書を提示することで、「これは贈与ではなく、正当な賠償金の分配である」と客観的に証明することができます。
分配の際の書面作成は、親族間のトラブルを防ぐだけでなく、税務上のリスクを回避するためにも必要不可欠な手続きと言えます。

B型肝炎給付金の手続きや対象要件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟相談窓口(0120-800-024)や法テラス、全国の弁護士会法律相談センターなど、公的な相談窓口のご利用をご検討ください。

🏛️ B型肝炎給付金に関する公的な相談窓口

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給要件、必要書類、訴訟手続きなどに関するご相談は、厚生労働省の専門窓口や中立的な公的機関をご利用いただけます。

【主な公的相談窓口】
  • 厚生労働省 B型肝炎訴訟相談窓口: 0120-800-024(平日 9:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 各都道府県の弁護士会: 全国の弁護士会法律相談センターにて専門相談窓口が開設されています。
弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

TOP