遺族が受け取った給付金に対する「贈与税」のリスク:親族間で分ける際の注意点
代表原告が受領した和解金を他の遺族へ送金する際、みなし贈与と疑われないための合意書作成。
遺族が代表して給付金を受け取った後の分配について
B型肝炎ウイルスに感染されたご本人がお亡くなりになり、ご遺族が国に対して国家賠償請求訴訟を起こす場合、裁判の手続きや事務連絡をスムーズに進めるために、ご遺族の中の一人が「代表原告」となることが一般的です。
和解が成立し、給付金が支払われる際も、この代表原告の銀行口座に全額が一度に振り込まれるケースが多く見られます。しかし、このお金は代表原告だけのものではなく、配偶者やお子様など「法定相続人全員」で分け合うべき大切な賠償金です。
そのため、代表原告は受け取った和解金を、他の相続人の口座へそれぞれの取り分に応じて送金(分配)する手続きを行うことになります。
分配時の送金が「贈与」とみなされるリスク
ここで非常に注意しなければならないのが、税務上のトラブルです。代表原告の口座から他のご遺族の口座へまとまった金額(数百万円から数千万円)を送金したという事実だけを見ると、税務署から「代表原告から他の遺族へ、個人的にお金をプレゼントした(贈与した)」と誤解されてしまうリスクがあります。
これを「みなし贈与」と呼びます。もし贈与とみなされてしまうと、受け取った側に多額の贈与税が課税されてしまう可能性があります。本来、B型肝炎給付金は非課税の損害賠償金であるにもかかわらず、分配の手続きを誤ったばかりに、不当な税金を納めなければならなくなる事態は絶対に避けなければなりません。
みなし贈与を防ぐための「遺産分割協議書」や「合意書」の作成
このような税務署からの誤解を防ぐためには、送金を行う前に「遺産分割協議書」や「給付金の分配に関する合意書」といった書面を必ず作成しておくことが重要です。
この書面には、「国から受け取ったB型肝炎給付金について、誰が、どの割合で取得するのか」を明確に記載し、相続人全員が納得して署名・実印での押印を行います。送金後に税務署から問い合わせがあったとしても、この合意書や裁判所の和解調書を提示することで、「これは贈与ではなく、正当な賠償金の分配である」と客観的に証明することができます。
分配の際の書面作成は、親族間のトラブルを防ぐだけでなく、税務上のリスクを回避するためにも必要不可欠な手続きと言えます。
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