提訴期限:2027年3月31日 制度解説 ❯

昭和23年(1948年)7月1日「予防接種法」施行と初期の集団接種の実施体制

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 「昭和23年の予防接種法施行当時から注射器の使い回しが行われていたのですか?」
A 【結論と歴史的背景】昭和23年(1948年)7月1日の「予防接種法」施行に伴う初期の集団接種(結核や天然痘などの予防接種)の時期から、衛生管理が不十分なまま注射器の連続使用(使い回し)が常態化していました。この法的な集団予防接種における注射器の使い回しが、後のB型肝炎ウイルス感染拡大の最大の原因となっています。
【給付金請求における重要性と対策】昭和23年以降の集団予防接種等における注射器の使い回しによって感染したと認められる場合、国に対する国家賠償請求訴訟を起こすことで、要件を満たせば最大3,600万円の給付金を受け取ることができます。ご自身やご家族が対象に該当するかどうかは、当時の接種履歴やカルテなどの資料をもとに弁護士などの専門家に相談し、正確に調査・確認することをおすすめします。

集団予防接種とB型肝炎感染の始まり

B型肝炎訴訟の背景には、かつての日本で行われていた集団予防接種という歴史的な事実が深く関わっています。昭和23年(1948年)に「旧予防接種法」が制定された当時、日本は戦後の混乱期にあり、結核や天然痘、ジフテリアなどの感染症が猛威を振るっていました。これらの感染症から国民の命を守るため、国は集団予防接種を義務化し、全国の市区町村で一斉に実施されることとなりました。

しかし、この集団予防接種の現場では、極めて重大な問題が起きていました。それが「注射器の使い回し」です。当時の医療現場では、現在のような使い捨て(ディスポーザブル)の注射器は普及しておらず、ガラス製の注射筒(シリンジ)と金属製の注射針を消毒しながら繰り返し使用するのが一般的でした。

なぜ注射器の使い回しが起きたのか

集団予防接種では、限られた時間内に数十人から数百人という非常に多くの児童や生徒に対してワクチンを接種する必要がありました。しかし、当時の医療現場では、十分な数の注射器が用意されていなかったり、消毒に手間がかかったりするという物理的な制約がありました。そのため、一人ひとりに新しい注射器を使用するのではなく、複数の児童に対して同じ注射器(注射筒や注射針)を連続して使用するという「使い回し」が日常的に行われてしまっていたのです。

この注射器の使い回しが、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染を広げる最大の原因となりました。B型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。もし、使い回された注射器の前の順番の人がB型肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)であった場合、注射針や注射筒に微量の血液が付着し、それが次の順番の人に接種されることで、次々とウイルスが感染していくことになったのです。

国の責任と被害の拡大

このように、国民を感染症から守るために国が推進した集団予防接種が、結果としてB型肝炎ウイルスの集団感染という悲劇を引き起こしてしまいました。国は集団予防接種を実施するにあたり、注射器の使い回しによる感染の危険性を認識し、それを防ぐための適切な指導や対策を講じる義務がありました。しかし、十分な対策がとられないまま長年にわたって集団予防接種が続けられたことで、推定40万人以上とも言われる非常に多くの方々がB型肝炎ウイルスに感染することとなってしまったのです。

これが、後に国を相手取って争われることとなる「B型肝炎訴訟」の根本的な原因であり、出発点となりました。現在、給付金の対象となっているのは、昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に満7歳になるまでに集団予防接種等を受けた方々です。この期間に予防接種を受けた記憶がある方や、母子健康手帳に記録が残っている方は、給付金の対象となる可能性があります。

B型肝炎給付金の手続きや対象要件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟相談窓口(0120-800-024)や法テラス、全国の弁護士会法律相談センターなど、公的な相談窓口のご利用をご検討ください。

🏛️ B型肝炎給付金に関する公的な相談窓口

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給要件、必要書類、訴訟手続きなどに関するご相談は、厚生労働省の専門窓口や中立的な公的機関をご利用いただけます。

【主な公的相談窓口】
  • 厚生労働省 B型肝炎訴訟相談窓口: 0120-800-024(平日 9:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 各都道府県の弁護士会: 全国の弁護士会法律相談センターにて専門相談窓口が開設されています。
弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

TOP