提訴期限:2027年3月31日 制度解説 ❯

昭和25年(1950年)厚生省通達:ツベルクリン反応・BCG注射針の1人ごと交換指導

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 「昭和25年の厚生省通達で注射針の交換が指導されたのに、なぜB型肝炎に感染したのですか?」
A 【通達の限界と注射筒の使い回し】昭和25年に厚生省がツベルクリン反応やBCG接種時の「注射針の1人ごと交換」を指導したものの、肝心の「注射筒(シリンジ)」については交換が徹底されず使い回しが続けられました。この不十分な衛生管理体制が、ウイルス感染を拡大させた原因であり、国が責任を負うべき法的根拠の重要な歴史的背景となります。
【給付金請求への影響と弁護士への相談メリット】この通達と実際の使い回しの実態は、集団予防接種等による感染被害を立証するうえで極めて重要な意味を持ちます。当時の接種状況やカルテ等の立証に不安がある場合でも、B型肝炎訴訟に精通した弁護士に相談することで、国に対する国家賠償請求および給付金受給へ向けたスムーズな資料収集と手続きの代行が可能になります。

昭和25年の通達と注射器使い回しの実態

B型肝炎の集団感染を引き起こした集団予防接種の問題は、国が危険性を全く認識していなかったわけではありません。実は、早くも昭和25年(1950年)の段階で、国は注射器の使い回しに関する一定の指導を行っていました。当時、結核予防のためのツベルクリン反応検査(ツ反)やBCG接種が広く行われていましたが、この際に注射針を使い回すことによって感染症が広がる危険性が指摘されるようになったのです。

そこで厚生省(現在の厚生労働省)は、昭和25年に「ツベルクリン反応検査及びBCG接種における注射針は、1人ごとに取り替えるか、または消毒して使用すること」という趣旨の通達を出しました。これは、感染防止のために注射針を交換する必要性を国が公式に認めた重要な通達です。

注射筒(シリンジ)の使い回しという盲点

しかし、この昭和25年の通達には大きな落とし穴がありました。通達で指導されたのは「注射針」の交換のみであり、「注射筒(シリンジ)」の交換については明確な指示が出されていなかったのです。

予防接種では、注射筒の中にワクチン液を吸い上げ、そこに注射針を取り付けて接種を行います。もし、接種を受けた人がB型肝炎ウイルスのキャリアであった場合、接種時の圧力の変化や微細な血液の逆流などによって、ウイルスを含む血液が注射針だけでなく、注射筒の内部にまで入り込む可能性があります。そのため、たとえ注射針だけを新しいものに交換したとしても、注射筒をそのまま使い回してしまえば、内部に残ったウイルスが新しい注射針を通じて次の人に感染してしまう危険性が残るのです。

現場で続けられた危険な接種方法

当時の医療現場では、限られた資材と時間の中で大量の接種をこなす必要があったため、この「注射針だけを交換し、注射筒は使い回す」という方法、あるいは「注射針すらも交換せずに連続して接種する」という方法が、依然として多くの場所で続けられていました。国が注射筒の交換まで含めた徹底した指導を行わなかったため、結果としてB型肝炎ウイルスの感染拡大を食い止めることができなかったのです。

後のB型肝炎訴訟において、この「注射筒の使い回し」に対する国の指導不足は、国の責任を問う上で非常に重要な争点の一つとなりました。国は、感染の危険性を認識し、予防措置を講じる義務があったにもかかわらず、その義務を十分に果たしていなかったと判断されることになります。

このように、集団予防接種における感染拡大の背景には、不十分な安全対策と現場への指導不足という国の過失が存在していました。もしご自身やご家族が、この時期に集団予防接種を受けてB型肝炎ウイルスに感染している可能性がある場合は、国に対して給付金を請求できる権利があるかもしれません。

B型肝炎給付金の手続きや対象要件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟相談窓口(0120-800-024)や法テラス、全国の弁護士会法律相談センターなど、公的な相談窓口のご利用をご検討ください。

🏛️ B型肝炎給付金に関する公的な相談窓口

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給要件、必要書類、訴訟手続きなどに関するご相談は、厚生労働省の専門窓口や中立的な公的機関をご利用いただけます。

【主な公的相談窓口】
  • 厚生労働省 B型肝炎訴訟相談窓口: 0120-800-024(平日 9:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 各都道府県の弁護士会: 全国の弁護士会法律相談センターにて専門相談窓口が開設されています。
弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

TOP