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昭和33年(1958年)厚生省公脈第188号通知:予防接種での「注射器取り扱い」指導

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 「昭和33年の厚生省通知は、B型肝炎の給付金請求や訴訟でどのような証拠になりますか?」
A 【国の責任と予見可能性の証明】昭和33年の厚生省通知で「注射器の1人ごとの交換」が指導されていた事実は、国が当時から感染リスクを認識し、予防措置をとる義務があったことを示す決定的な証拠となります。これにより、集団予防接種での注射器の回し打ちとB型肝炎ウイルス感染との因果関係、および国の過失を法的に立証しやすくなります。
【スムーズな給付金受給に向けた対策】この通知に基づく国の責任を主張・立証するためには、当時のカルテや予防接種台帳の収集、さらには専門的な法的知識が不可欠です。個人での対応には限界があるため、B型肝炎訴訟に精通した弁護士に早期に相談し、資料収集や訴訟手続きの代理を依頼することが、確実かつ迅速に給付金を受け取るための最大の近道となります。

昭和33年の厚生省通知とその不徹底

集団予防接種における注射器の使い回し問題について、国の対応が徐々に変化し始めたのが昭和33年(1958年)です。この年、厚生省(現在の厚生労働省)は「予防接種実施規則」などを改正し、各都道府県知事に対して重要な通知を出しました。それが、予防接種を行う際の注射器の使用方法に関する指導です。

この通知では、これまでの「注射針の交換」だけでなく、「注射筒(シリンジ)」についても1人ごとに取り替えるか、または完全に消毒してから使用することが明確に指示されました。つまり、国はついに「注射針と注射筒の両方を1人ごとに交換しなければ、血液を介した感染症を防ぐことはできない」という事実を公式に認め、その対策を全国に指示したことになります。

なぜ感染拡大は止まらなかったのか?

しかし、昭和33年にこの通知が出された後も、B型肝炎ウイルスの感染拡大はすぐには止まりませんでした。その最大の理由は、国が通知を出しただけで、実際の医療現場において「針と筒の1人ごと交換」が徹底されているかどうかを確認し、指導監督する責任を十分に果たしていなかったためです。

当時の集団予防接種の現場(小学校の体育館や保健所など)では、依然として注射器の数が不足していたり、一人ひとり交換して消毒する手間と時間が惜しまれたりする状況が続いていました。何百人という児童を限られた時間で処理しなければならない過酷な現場の状況に対して、国の通知は単なる「お触れ」にとどまり、実効性のある支援や監視体制が伴っていなかったのです。そのため、多くの現場では従来の「使い回し」の慣習がそのまま続けられてしまいました。

訴訟における重要な立証ポイント

後のB型肝炎訴訟において、この「昭和33年の通知と現場での不徹底」は非常に重要な意味を持ちます。原告(被害者)側は、「国は遅くとも昭和33年の時点では、注射筒の使い回しによる感染の危険性を完全に認識しており、それを防ぐ義務があったにもかかわらず、現場への指導・監督を怠った」と主張しました。そして、実際の裁判では、昭和33年以降も多くの現場で使い回しが行われていた事実が立証され、国の過失責任が明確に認められることとなったのです。

国が適切な対策を講じるのを怠った結果、本来であれば防げたはずの感染が広がり、多くの方々がB型肝炎という重い病を背負うことになってしまいました。このような歴史的背景を正しく理解することは、被害者の方が自身の権利を認識し、適切な救済を受けるための第一歩となります。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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