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昭和40年(1965年)「予防接種実施要領」の改正と学校集団接種の拡大

昭和40年(1965年)「予防接種実施要領」の改正と学校集団接種の拡大

昭和40年代の高度経済成長期における小学校・中学校での集団予防接種徹底と感染拡大。

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

高度経済成長期における集団予防接種の実態

日本の歴史において、昭和40年代(1960年代後半から1970年代前半)は「高度経済成長期」と呼ばれ、社会全体が大きく発展し、人口も増加していた時代です。この時期、日本の公衆衛生対策も強化され、乳幼児から小中学生に至るまで、国民の多くが様々な感染症から身を守るために集団予防接種を受けることが当たり前となっていました。

小学校や中学校では、体育館や保健室に児童や生徒が一斉に集められ、列を作って次々と予防接種を受ける光景が日常的に見られました。多くの方にとって、幼い頃の記憶として残っているのではないでしょうか。しかし、この大規模かつ効率的な集団予防接種の裏側で、B型肝炎ウイルスの感染被害は静かに、そして確実に拡大し続けていたのです。

変わらなかった「使い回し」の慣習

前述の通り、国は昭和33年の時点で「注射針と注射筒の1人ごと交換」を指導する通知を出していました。しかし、昭和40年代に入っても、その指導は多くの現場で徹底されていませんでした。

当時、使い捨て(ディスポーザブル)の注射器はまだ普及しておらず、高価であったため、各自治体や学校の現場で大量に用意することは困難でした。また、限られた時間内に何百人もの児童に接種を終えなければならないというプレッシャーから、「針だけを変えて筒はそのまま使う」あるいは「針も筒も連続して使い回す」という危険な接種方法が、暗黙の了解として続けられていたケースが数多く存在しました。

感染拡大のピークと潜在的な被害者

この昭和40年代は、集団予防接種によるB型肝炎ウイルスの感染が最も拡大した時期の一つと考えられています。非常に多くの子どもたちが、知らず知らずのうちにウイルスに感染し、自覚症状のないまま「無症候性キャリア(持続感染者)」となっていきました。B型肝炎ウイルスは、感染してから数十年後に突然、慢性肝炎、肝硬変、あるいは肝がんとして発症する恐れがある恐ろしいウイルスです。

現在、B型肝炎の給付金制度の対象となっているのは、昭和23年から昭和63年までの間に集団予防接種を受けた方々です。特に昭和40年代に小学生や中学生だった世代の方々は、ご自身の記憶や母子健康手帳の記録を確認していただくことが非常に重要です。もし感染が判明した場合、国が過去の過失を認め、創設した制度に基づいて給付金を受け取ることができる可能性があります。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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