【給付金請求に向けた対策と弁護士の役割】当時の医療実態やカルテなどの客観的証拠を適切に収集・立証することが、国家賠償請求訴訟における要件を満たし、円滑に和解して給付金を受給するための重要なポイントとなります。専門知識を持つ弁護士への相談をおすすめします。
ディスポーザブル(使い捨て)注射器の普及と国の責任期間
B型肝炎給付金の対象となる期間は、昭和23年(1948年)7月1日から昭和63年(1988年)1月27日までに満7歳になるまでに集団予防接種等を受けた方と定められています。では、なぜ昭和63年(1988年)1月27日という日付が期限として設定されているのでしょうか。それは、医療現場における「ディスポーザブル(使い捨て)注射器」の普及が大きく関わっています。
昭和50年代の医療現場の変化
昭和50年代に入ると、日本の医療現場では、それまで主流だったガラス製の注射筒と金属製の注射針を消毒して再利用する方式から、プラスチック製で一度使ったら捨てる「ディスポーザブル注射器」への移行が徐々に進み始めました。ディスポーザブル注射器の使用は、血液を介した感染症を防ぐ上で最も確実な方法です。
しかし、集団予防接種の現場においてディスポーザブル注射器が一斉に導入されたわけではありません。高価であったことや予算の問題もあり、自治体や学校によっては従来の再利用型の注射器を使い続けているケースもまだ多く存在していました。そのため、使い回しによるB型肝炎ウイルスの感染リスクは依然として残っていたのです。
和解基準における推認の考え方
B型肝炎訴訟において、国は「いつまで使い回しが行われていたか」について、昭和63年(1988年)1月27日をもって、集団予防接種の現場で注射筒の使い回しが完全に無くなったと判断(推認)しています。この日を境に、厚生省が各都道府県に対して、ディスポーザブル注射器を使用することなどを強く指導する通知を出したためです。
つまり、裁判上の和解基準では、「昭和63年1月27日以前であれば、集団予防接種で注射器の使い回しが行われており、それによってB型肝炎ウイルスに感染した可能性が高い」と推認(事実として認めること)されることになりました。このため、対象期間内に集団予防接種を受けた方であれば、個別に「自分が接種を受けた日に、本当に使い回しがあったかどうか」を証明しなくても、国との和解が成立しやすくなっているのです。
過去の医療環境の実態と国の対応の遅れが、長期間にわたる被害を生み出しました。もしご自身が対象期間に該当している場合は、給付金を受け取る権利があるかもしれません。
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