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80歳以上の母親のHBs抗原陰性データが一次感染証明に使えない「80歳の壁」の医学的理由

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 80歳以上の母親のHBs抗原陰性データが一次感染証明に使えない「80歳の壁」とは何ですか?
A 【「80歳の壁」の医学的理由】加齢や自然治癒に伴うウイルスの自然消失(セロコンバージョン)によって、高齢期の検査で陰性化することが医学的に立証されているため、国への給付金請求において80歳以上の陰性データは原則として一次感染の証明として採用されないルールのことを指します。
【給付金請求に向けた対策と専門家の役割】この壁に直面した場合でも、他のきょうだい等の陽性データや、母子手帳、カルテなどの代替資料を用いて集団予防接種等の痕跡を立証することが可能です。B型肝炎訴訟に精通した弁護士に早めに相談することで、状況に応じた最適な立証ルートや資料収集のサポートを受けることができます。

母子感染の否定と「母親の血液検査」の重要性

B型肝炎訴訟において給付金を受け取るための重要な要件の一つに、「母親からの母子感染ではないこと」の証明があります。 これを証明するための最も一般的な方法は、ご自身の母親の血液検査を行い、「HBs抗原が陰性(あるいはHBc抗体が陰性など)」であることを示すことです。母親がウイルスに感染していなければ、当然ながら出産時の母子感染も起こり得ないという医学的な判断に基づいています。 しかし、この証明方法において、訴訟の実務上注意しなければならない「80歳の壁」と呼ばれる特別なルールが存在します。

「80歳の壁」とは?加齢によるウイルスの自然消失

「80歳の壁」とは、「母親の年齢が80歳以上になってから採血された血液検査の結果は、原則として母子感染を否定する証拠として認められない」というルールです。

なぜこのようなルールがあるのでしょうか。それは、B型肝炎ウイルスの医学的な性質に関係しています。 B型肝炎ウイルスに持続感染している方でも、年齢を重ねるにつれてご自身の免疫力が働き、血液中からウイルスが極端に減少して検査で検出されなくなる(自然消失、またはセロコンバージョン)ことがあります。 特に80歳以上になると、このウイルスの自然消失が起こる確率が医学的に高まるとされています。そのため、「80歳の時点で検査をして陰性だったとしても、ご自身を出産した当時の若い頃には陽性(感染状態)だった可能性がある」と国に判断されてしまい、確実な母子感染の否定材料としては不十分とみなされてしまうのです。

母親が80歳以上、または他界されている場合の対処法

「母親がすでに80歳を超えている」「母親が他界していて血液検査ができない」という場合は、どうすれば良いのでしょうか。 その場合でも給付金を諦める必要はありません。母親の血液検査に代わる証明方法として、ご自身の「一番年上の兄(または姉)」の血液検査を実施し、持続感染していないことを証明する方法などがあります。(※一番年長のきょうだいが感染していなければ、そのきょうだいを出産した当時の母親も感染していなかったと推測できるためです) きょうだいがいない場合や、検査にご協力いただけない場合でも、他の医学的データやカルテの記録を総合的に組み合わせて証明できるケースが存在します。

個別の状況によって必要となる証明方法は大きく異なりますので、まずは専門知識を持つ弁護士に状況をご相談いただくことが解決への第一歩となります。

B型肝炎給付金の手続きや対象要件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟相談窓口(0120-800-024)や法テラス、全国の弁護士会法律相談センターなど、公的な相談窓口のご利用をご検討ください。

🏛️ B型肝炎給付金に関する公的な相談窓口

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給要件、必要書類、訴訟手続きなどに関するご相談は、厚生労働省の専門窓口や中立的な公的機関をご利用いただけます。

【主な公的相談窓口】
  • 厚生労働省 B型肝炎訴訟相談窓口: 0120-800-024(平日 9:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 各都道府県の弁護士会: 全国の弁護士会法律相談センターにて専門相談窓口が開設されています。
弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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