【対処法・弁護士の役割】会社が存在しないからと諦める必要はありません。B型肝炎訴訟に精通した弁護士に依頼することで、消失したカルテの代替となる資料の特定や、公的機関からの記録取得をスムーズに進め、国家賠償請求訴訟を確実に有利に進めることができます。
定年退職を迎え、これまでの人生を振り返る中で、自身の健康状態や過去の健康診断の結果をきっかけに「自分はB型肝炎ウイルスに感染しているのではないか」と気づかれる高齢者の方が少なくありません。
国に対して給付金を請求するためには、幼少期の集団予防接種等における注射器の連続使用が原因であることや、持続感染している事実などを証明する必要があります。しかし、定年退職者や高齢者の方々から特によく聞かれる不安が、「若い頃に働いていた会社がすでに倒産・閉業しているけれど、資料が集められるのか?」という点です。また、「感染がわかってから長い年月が経っている(除斥期間の壁)」という悩みも多く寄せられます。
この記事では、過去の勤務先が消失している場合の具体的な公的記録の収集方法と、除斥期間の壁を克服するためのポイントについて詳しく解説します。
1. 勤務先が倒産・閉業していてもB型肝炎給付金は請求できる
B型肝炎給付金は、国が責任を認めて支払うものであるため、現在の勤務先や過去の勤務先から「加害者」として賠償金を支払ってもらう性質のものではありません。したがって、過去に在籍していた会社が倒産・閉業している、あるいはすでに法人格が消滅している場合でも、給付金の受給権利が失われることは一切ありません。
訴訟や給付金請求において問題となるのは、「会社が存在するかどうか」ではなく、「あなたが過去にどのような経緯でB型肝炎ウイルスに持続感染したか(または母子感染でないかなど)」を客観的な証拠で立証できるかどうかです。
会社を特定・証明するための代替手段
通常、カルテや母子手帳が残っていない場合などは、過去の健康診断結果や労働者としての履歴が手がかりになりますが、会社がなくなっていても以下のような公的記録を活用することで、職歴や当時の状況を証明することが可能です。
2. 勤務先消失・資料不足をカバーする公的記録の収集法
「会社の健康診断の結果を捨ててしまった」「会社の統廃合で当時の記録がない」という場合でも、国に対する訴訟では以下のような公的記録を最大限に活用して立証作業を行います。
① 厚生年金・健康保険の被保険者記録(加入記録)
日本年金機構や加入していた健康保険組合等から「加入記録(被保険者記録)」を取り寄せることで、いつ、どの事業所で働いていたのかという正確な職歴を証明できます。これにより、当時どのような環境にいたのか、またカルテ等の医療記録を探索すべき時期を特定する大きな手がかりとなります。
② 古い医療機関のカルテや診療報酬明細書
会社が閉業していても、ご自身が過去に通院していた医療機関にカルテが残っていれば、それが強力な証拠となります。医師法上のカルテの保存期間は原則として最終記載から5年ですが、病院によってはそれ以上保管しているケースや、肝疾患などの専門治療の記録が残っている場合があります。また、健康保険組合の「レセプト(診療報酬明細書)」の記録が残っていれば、過去の検査結果や病名を証明できる強力な武器になります。
③ 一次感染者(母親等)や周囲の検査結果
ご自身の母親や兄弟姉妹などの家族が生存している場合、あるいは過去に検査を受けている場合は、一親等・二親等の家族の血液検査データを取り寄せることが極めて重要です。これにより、「母親からの母子感染(垂直感染)ではないこと(=集団予防接種等による水平感染であること)」を科学的・法的に立証しやすくなります。
3. 「20年の壁」除斥期間の正しい理解と対策
高齢者の方、あるいは定年退職を迎えた世代の方が最も懸念されるのが、「発症してから20年が経過しているのではないか(除斥期間の壁)」という問題です。
法律上、B型肝炎訴訟の提訴期間(除斥期間)は、「B型肝炎ウイルスに起因する肝がん、肝硬変(重症・軽症)等を発症したときから20年」と定められています。この期間を過ぎてしまうと、原則として国に対する給付金請求権が消滅してしまいます。
しかし、ここには大きな法的解釈のポイントがあります。
無症状キャリアの場合、20年は進行しない
現在、症状がまったくなく、単なる「無症状キャリア」の状態である場合、法律上の「発症」とはみなされません。そのため、無症状キャリアの段階であれば、何歳であっても(20年経過の有無に関わらず)基本的には給付金請求の対象となり得ます。
「いつ発症したか」の法的判断は専門家に相談を
「昔から肝機能の数値が高かった気がする」「いつから病気だったのか自分では判断がつかない」という場合、カルテの初診日や医師の診断内容に基づき、法律上の「発症日」を正確に認定し直す作業が必要です。自分一人で「20年経っているから無理だ」と諦めてしまうのは非常にもったいないケースが多くあります。
4. 高齢者・定年退職者こそ弁護士に相談すべき理由
これまでの人生経験豊富な高齢者の方々の中には、「昔のことだし、資料もないから無理だろう」と、ご自身で調査を諦めてしまう方がいらっしゃいます。しかし、B型肝炎訴訟の実務に精通した弁護士であれば、以下のようなメリットを提供できます。
- 公的記録の職権・代理取得: 複雑な年金記録や医療機関への照会、行政機関からの資料集めを代行・サポートします。
- 不足資料の補完方法の提案: 母子手帳やカルテがなくても、代替となる証拠の組み合わせを見つけ出し、裁判所に認められる構成を作ります。
- 迅速な手続きの進行: 高齢の方の場合、ご自身の健康状態や体力を考慮し、できる限り負担の少ないスピード感を持った訴訟・和解手続きを進めることが可能です。
まとめ:過去の会社がなくなっていても、まずは専門弁護士へご相談を
定年退職者や高齢者の皆様にとって、過去の勤務先の倒産や、長年の経過による資料の紛失は大きな障壁に感じられるかもしれません。しかし、適切な公的記録の活用や、法律上の正しい解釈・立証活動を行うことで、給付金を受け取ることは十分に可能です。
「会社がないから無理かもしれない」「20年以上前に病気を知ったかもしれない」と一人で悩む前に、まずはB型肝炎訴訟に精通した弁護士の無料相談を利用し、ご自身のケースでどのような資料が集められるかを確認してみましょう。あなたの正当な権利を取り戻すための第一歩を、専門家がしっかりとサポートします。