この記事の要点まとめ
一般的な歯科治療や手術歴は、集団予防接種との因果関係を否定する理由にならないことの反論。
手術歴や歯科治療歴が及ぼす給付金請求への影響
B型肝炎給付金を受け取るための条件の一つに、「母子感染や、集団予防接種以外の感染原因(他原因感染)がないこと」という項目があります。 B型肝炎ウイルスは血液を介して感染するため、患者様の過去のカルテ(診療録)に、大臓器の手術歴や、出血を伴う歯科治療歴(抜歯など)が記載されていると、国から「その治療の際にウイルスに感染したのではないか」という指摘(疑義)を受けることがあります。
しかし、日本国内でごく一般的な医療行為を受けただけで「それが感染原因である」と断定されてしまっては、ほとんどの人が給付金を受け取れなくなってしまいます。そのため、適切な反論を行うことで、これらの治療歴があっても給付金を受け取ることが可能です。
「他要因非該当」を主張するための反論方法
手術や歯科治療が感染原因ではないことを証明し、集団予防接種との因果関係を認めてもらうためには、以下のようなアプローチで反論を行います。
1. 治療前の「持続感染」の証明
最もわかりやすい反論は、手術や歯科治療を受けるよりも「前」の段階で、すでにB型肝炎ウイルスに感染していたことを示すデータ(HBs抗原陽性の検査結果など)を提出することです。これにより、その治療が原因ではないことが論理的に証明されます。
2. 国内の一般的な医療行為であることの主張
治療前のデータがない場合でも、日本国内の一般的な病院や歯科医院で受けた通常の治療であれば、「通常、それらの医療機関では適切な器具の消毒・滅菌が行われており、感染のリスクは極めて低い」と主張します。単なる抜歯や虫歯治療などの一般的な歯科治療歴は、通常、集団予防接種との因果関係を否定するほどの強力な理由にはなりません。
3. 「他要因非該当」の医師意見書の作成
国からの指摘が強い場合や、大規模な手術等で輸血の可能性が疑われる場合などは、主治医や専門医に「医師意見書」を作成してもらうことが非常に有効です。 意見書には、「本件の手術や歯科治療において、B型肝炎ウイルスに感染するような医療事故や不適切な衛生管理があった記録はないこと」「現在の患者の病態やHBc抗体高力価などのデータから見て、幼少期の集団予防接種による持続感染と考えるのが医学的に妥当であること」などを専門的な見地から記載してもらいます。
カルテ精査と事前準備の重要性
給付金請求において、カルテの提出は必須となります。弁護士は、提出するカルテの中に「国から指摘されそうな治療歴」がないかを事前にくまなくチェックします。 もし該当する記載があれば、国から指摘を受けた後に慌てて対応するのではなく、あらかじめ意見書や反論の準備をしてから裁判に臨むことで、スムーズに和解(給付金の認定)へと進めることができます。
まとめ
カルテに手術歴や歯科治療歴が残っていても、適切な反論や医師の意見書を提出することで、集団予防接種による感染であることを証明できます。「過去に手術をしたから対象外だろう」と諦めず、まずは専門家にカルテの内容を確認してもらうことが大切です。
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