自転車・歩行者事故の重大な「2つの特殊性」
歩行中や自転車の走行中に車と衝突した場合、あるいは自転車同士が衝突した場合、自動車同士の事故と比べて被害の様相が大きく異なります。解決が長期化・複雑化しやすい要因には、以下の2つの特殊性があります。
🤕 ① 生身で受けるため「重症化」しやすい
車体の保護やエアバッグがないため、転倒時に頭部を強く打つことによる「高次脳機能障害」や、首・背骨への衝撃による「脊髄損傷」、また全身の複数部位の骨折など、重篤な怪我に直結しやすく、後遺障害が残りやすいのが特徴です。
🚫 ② 加害者が「無保険(任意保険未加入)」の割合が高い
加害者が自動車ではなく自転車や電動キックボードだった場合、自動車保険のような高い任意保険の加入率はありません。そのため、相手方が「賠償金を支払う能力がない」として示談交渉が暗礁に乗り上げるケースが非常に多く発生します。
E-SCOOTER近年急増する「電動キックボード」事故の注意点
2023年7月の道路交通法改正により、一定の基準を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に分類され、16歳以上であれば免許不要・ヘルメット着用努力義務として乗ることができるようになりました。手軽さから利用者が爆発的に増える一方で、事故も急増しています。
⚠️ 電動キックボード事故で発生しやすいトラブル
- ● ルール違反による過失の対立:歩道の無謀走行、逆走、赤信号無視、2人乗り、スマートフォンの操作をしながらの運転などが多く、事故発生時の「過失割合」をめぐって深刻な争いになります。
- ● 深刻な任意保険の未加入:自賠責保険(強制保険)への加入義務はあるものの、傷害賠償を十分に補償するための任意保険に入っているキックボード運転者は極めて稀です。シェアリング事業者以外の個人所有ボードに轢かれた場合など、直接運転者個人へ賠償請求をすることになり、回収が著しく困難になります。
※電動キックボードに歩行中に跳ねられた、あるいは自動車を運転中に電動キックボードと衝突したなどの場合は、一般的な車同士の事故とは異なる特別な法的アプローチが必要です。すぐに弁護士へご相談ください。
FAULT RATIO自転車・歩行者事故における過失割合の決まり方
道路交通法上、歩行者や自転車は「交通弱者」として強く保護される立場にあるため、四輪車との事故においては原則として四輪車側の過失が大きく設定されます。しかし、以下のような被害者側の行動・状況により、「過失相殺」として被害者側の過失が加算され、受け取れる賠償額が減額されてしまうことがあります。
被害者側に不利に働きやすい「過失修正要素」
🚲 自転車側の過失増要素
- 夜間の無灯火走行
- 並進走行(横に並んで走る)
- 一時停止無視や信号無視
- イヤホン・スマホの使用、傘差し運転
- 右側通行(自転車は原則左側)
🚶 歩行者側の過失増要素
- 横断歩道のない場所での無理な乱横断
- 信号無視での横断開始
- 車の直前・直後での飛び出し
- 歩きスマホによる前方不注意
- 夜間に暗い服を着て道路上に留まる
相手方の保険会社は、被害者のわずかな隙を見逃さず「歩行者側にも10%〜20%の過失があった」と一方的に過失割合を高く提示してくることが多々あります。これに対し、当時の客観的な事故状況(見通しの良さ、道路幅、時間帯)をドライブレコーダーや防犯カメラの映像から論理的に分析し、不当な過失割合を覆す交渉を行うのが弁護士の仕事です。
PRECEDENTS自転車事故における高額損害賠償の実例
「自転車だから大した事故にはならないだろう」というのは誤りです。自転車が歩行者と衝突し、相手を死亡させたり重篤な後遺障害を負わせたりした場合、**裁判所は自動車事故と同等の極めて高額な損害賠償を命じる**判決を出しています。
📌 判例①:小学生の加害事故に「約9,500万円」の賠償命令(神戸地裁)
夜間、小学生の男児が自転車で走行中、歩行者の女性と衝突。女性は頭部外傷により意識不明の重体(寝たきり状態)となり、裁判所は少年の母親(保護者)に対し、計9,521万円の支払いを命じました。
📌 判例②:高校生の無謀運転による衝突に「約9,300万円」の賠償命令(東京地裁)
夜間、高校生がマウンテンバイクで赤信号を無視して交差点に進入、横断歩道を歩行中の男性と衝突。男性には重い後遺障害が残り、裁判所は高校生側に9,266万円の支払いを命じました。
SOLUTIONS相手が無保険だった場合の解決ルート
もしあなたが自転車や電動キックボードに衝突されて被害者になり、加害者が保険(自転車保険や個人賠償責任保険)に加入していなかった場合、何も補償を受けられないわけではありません。以下のルートを通じて解決を目指します。
🛡️ ① ご自身の保険の特約を活用する
ご自身や同居の家族が加入している自動車保険の「人身傷害保険」や「無保険車傷害保険」は、歩行中や自転車乗車中の事故であっても適用できるケースが非常に多くあります。これを使えば、相手の保険の有無にかかわらず、ご自身の保険会社から治療費や慰謝料が支払われます。
⚖️ ② 弁護士による法的な財産回収交渉
個人を相手にする示談は、当事者同士では「支払えない」の押し問答になり感情的に決裂します。弁護士が入ることで、分割支払いの公正証書を作成したり、相手の給与や所有財産の手差し押さえ(強制執行)を警告・実行することで、現実的な回収ルートを構築します。
💡 弁護士費用特約(弁特)は使えますか?
自動車保険等に付帯されている「弁護士費用特約」は、歩行中や自転車で自動車に轢かれた事故はもちろん、自転車同士の事故や電動キックボードに轢かれた事故でも利用可能である場合が多いです。この特約を使えば、最大300万円までの弁護士費用が保険から支払われ、ご自身の自己負担は0円で弁護士に依頼が可能です。特約を使っても保険等級は下がりません。