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民事訴訟

【論点】判例(遺言者の死亡後、もしくは生存中の遺言無効確認の訴え)

2025/04/03 更新

確認の利益

確認の訴え

(1)確認の訴えとは、ある権利関係、法律関係について本案件判決をすることが、原告の権利、法律関係に現存する不安危険を除去するために、必要かつ適切であることをいう。

(2)確認の訴えは、以下の3つに分けて考えられる、とされています。

 ①確認の訴えが紛争の解決方法として適切どうか(方法選択の適否)

 ②確認の対象として選択された訴訟物か適切か(対象選択の適否)。

 ③確認判決をすべき現実的必要性が認められるか(即時確定の必要性)。

(1)①②③の基準は、独立した基準ではなく、総合的に考慮して即時確定の必要性の有無として議論される。
(2)確認対象が「現在の」 「現在の権利関係、法律関係」 ではない場合には、かつての判例は直ちに確認の利益を否定していた。 しかし、現在の判例は、紛争解決の現実的必要性の有無を考慮して、③即時確定の必要性が認められば、訴えの利益が認められる余地がある。

①方法選択の適否

 他の紛争解決方法がより適切であるとすれば、確認の利益は認められない。給付の訴えには執行力がある。給付の訴えが可能な場合には、訴えの利益は認められないのが原則です。

②対象選択の適否

 確認の対象は現在の権利関係、法律関係でなければならない、というのが原則です(対象選択の適否)。

③即時確定の必要性

 (ア)原告が確認を求めている権利関係、法律関係が具体的かつ現実的なものであり、(イ)その地位が被告等の行為により、不安や危機にひんしていることをいう(即時確定の必要性)。

遺言者の死亡後、もしくは生存中の遺言無効確認の訴え

最判昭和47年2月15日民集26巻1号30頁

(1)遺言者の死亡後に、相続人がした遺言無効確認の訴えは適法である。

(2)上記の判例は以下のように説明できるとされている。

(3)遺言無効確認の訴えの趣旨は、(遺言が無効であることを前提として取得できる)相続財産の所有権の確認の訴えである。仮に、遺言無効確認の訴えられないとすると、相続財産を全てリストアップして、これらの個々の財産の所有権の確認を求める訴えを適する必要がある。しかし、全ての財産をリストアップして確認の訴えをて求めることは煩雑であり、かつ、漏れがでる可能性がある。したがって、遺言者の死亡後に、相続人がした遺言無効確認の訴えは適法である、と説明される。

参考

 名津井吉裕 「事例で考える民事訴訟法」47頁以下

最判平成11年6月11日判タ1009号95頁

(1)本件遺言が無効であることを確認する旨の判決を求める趣旨は、「遺言の受遺者が遺贈を受ける地位にない。」ことの確認を求めることよって、推定相続人であるXの相続する財産が減少する可能性をあらかじめ除去しようとするにあるものと認めらる。

(2)遺言は遺言者の死亡により初めてその 効力が生ずる (民法985条1項)。遺言者の生存中は遺言によって何らの法律関係も発生しない。

(3)遺言者が心神喪失の常況にあって、回復する見込みがなく、遺言者による当該遺言の取消し又は変更の可能性が事実上ない状態にあるとしても、受遺者とされた者の地位の右のような性質が変わるものではない。

したがって、こ のような受遺者とされる者の地位は、確認の訴えの対象となる権利又は法律関係には該当しない

解説
(1)判例の文言だけを見れば、「遺言者の生前中の遺言無効確認の訴え」について、遺言者が生きているので、(確認の対象とされている)受遺者とされる者の地位は、現在の権利関係、法律関係ではない、という理由で確認の利益が否定されたようにも読める判例である。
(2)しかし、他の裁判例では、確認対象が「現在の」 「現在の権利関係、法律関係」 ではない場合(方法選択の適否が否定される)場合でも、紛争解決の現実的必要性の有無を考慮して、③即時確定の必要性が認められば、訴えの利益が認められている。
(3)遺言者が心神喪失の常況にあって、回復する見込みがなく、遺言者による当該遺言の取消し又は変更の可能性が事実上ないことから、推定相続人の、受遺者に相続財産を与えなくないという利益が法律上保護に値する地位だとすれば、その地位が遺言によって危険にさらされている、として、即時確定の必要性を認めようという、考え方も可能である。
(4)したがって、遺言の無効を求めている推定相続人の地位は、遺言者の生存中は相続財産に対する法律上保護に値する地位を有しないことを根拠に、「即時確定の必要性」が否定された判例である、と理解されるべきであるとも解説される。

参考
 名津井吉裕 「事例で考える民事訴訟法」46頁、47頁以下
 「民事訴訟法判例百選(第6版)52頁以下
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