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民事訴訟

【論点】訴訟物と実務3(これらの訴訟物理論)

2025/04/05 更新

訴訟物

(1)訴訟物とは、裁判における審判の対象のことである。

(2)旧訴訟物理論は、実体法の権利(個々の請求権や(形成原因ごとに別々に反省する形成権)ごとに訴訟物を構成すると考える。

(3)新訴訟物理論では、請求権競合の事案において、給付を求める法的地位(受給権)を訴訟物と考える。

訴訟物論の相対化

(1)実務は旧訴訟物理論で定着しているが、新訴訟物理論での批判を受け入れて修正してきた。

(2)また、どの訴訟物理論を採るのかと立場と、各手続でどのような結論をとるか必ずしも一致しない、のではないか、という批判のされている。

裁判所の釈明権の範囲(法的観点指摘義務)

(1)当事者が主張していない法的主張ではあるが、裁判所は、その主張を認定することができるのではない、と考えるとき、その点を当事者に指摘して主張・立証するする機会を与える義務が生じるときがある(法的観点指摘義務)。

(2)新訴訟物理論によれば、別の請求権についても訴訟物は同一であるから、裁判所の釈明権の許容される範囲は広くなり、かつ、行使する義務が発生する範囲も広くなる。

(3)裁判所の釈明権の許容される範囲と、行使する義務は発生する範囲については、個別の事案での妥当性が重視される。したがって、具体的な事案の積み重ねによって明確にされるべきである。

(4)もっとも、その結論を出すにあたって、新訴訟物理論の観点による分析(原告の要望を満たすような、別の法律根拠があれば、これを審理してもよいのではいか。実質的には同一の請求をするために別の請求権で後訴を提起する可能性があることを考えて、どのように訴訟指揮するべきか。)は今後も影響を与えるだろう。

訴訟物と要件事実

(1)例えば、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権(債務不履行責任)と不法行為に基づく損害賠償請求権の二つの請求根拠が考えられるとしても、原告は有利な法律構成を選択し、不利な法律構成は廃れていきます。
 裁判は社会的に妥当な解決を導く仕組みです。したがって、同じ被害事実については、どの法律構成をとっても、立証すべき事実も、立証によって請求できる金額もほぼ同じになります。
 例えば、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権(債務不履行責任)でも、不法行為に基づく損害賠償請求権でも、休業損害の計算方法も慰謝料の計算方法と同じであり、審理の方法も結果もほとんど変わらない。

(2)裁判例の蓄積結果を踏まえて、類体的に何を主張すべきか整理し周知されれば、どのような法律構成を主張すべきか。どんなことを立証すれば、いくら請求できるか明確にすることができます。そうなれば、釈明や、紛争の一括的な解決が可能である(請求できる全ての請求について主張、立証の機会を保障したことになる)。

(3)そして、裁判例の蓄積結果については、裁判所の考え方として公表されるのか、実体法への反映(法改正)に繋がるのか、いろいろな方法があるだろう。

訴訟物の範囲

(1)旧訴訟物理論と新訴訟物理論で、二重起訴や、蒸し返し訴訟の問題として、訴訟物の範囲が議論されてきました。

(2)実務は旧訴訟物理論を採用しながら、新訴訟物理論の観点での分析を踏まえて、実質的に前訴訟の蒸し返しにとなる訴訟については、信義則を活用して妥当な解決を図っている。

(3)実質的に前訴訟の蒸し返しにとなる訴訟となるかは、個別の事案での妥当性が重視されることになり、ケースの積み重ねによって明確になるべき問題です。

(4)信義則による調整がされるかについては、新訴訟物理論の観点による分析(原告の要望を満たすような、別の法律根拠があれば、これを審理してもよいのではいか。前訴で、後訴の請求について主張立証する実質的機会が与えられてたか。)は今後も影響を与えるだろう。

参考

 小林秀之「新法学ライブラリ 10 民事訴訟法 第2版」297頁

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